表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/15

プロローグ(序章)

誰もが知る有名な童話の視点を変えて描いたラブストーリー。時は中世の欧州、ある一人の女性のお話です

…「わたし」はすごく臆病な人間だったと思う


わが家は父と母、姉とわたしの四人家族だった


わたしの母親は没落してたとはいえ貴族出身のせいか、どこか品があり綺麗だった


ただ、気位が高く、家の再興を願う気持ちも強いことは幼いわたしでも解ってた


姉はそんな母親の願いの元に大切に育てられ、母と同じような性格になった


母が姉を可愛がった。理由は性格が似てたからだけではない。なにより姉は美しかった。それが母の自慢だった


いずれは姉はその美貌を活かし、しかるべき貴族の御子息と結婚し、そして我が家を再興する。それが母の願いでもあり、姉の願いにもなってた


姉はどこか華やかな雰囲気があり、気難しい性格も逆に華やかさを際立たせてた


姉を見てると我が家の再興も夢ではないように思えた


わたしは自分がどういう存在であるかは、母のわたしに対する態度でわかった


姉は新しいものを与えられ、わたしは姉が飽きたものか、着れなくなったものを与えられた


わたしはわたしが地味で、人並の器量しかないことを誰よりも知ってた


わたしには家の再興を願う母の思いに応えられるものがなかった


わたしは姉の強い光の中に消えた


わたしができることは母と姉の邪魔をしないことしかなかった


わたしは母と姉の機嫌を取り褒められることが、わたしの唯一の存在意義になった


父親は優しい人だったが、どこか口下手なとこがあり、母や姉の行き過ぎる行為にも何も言わず我慢するような人だった


だが、ある日初めて口喧嘩をしたかと思うと、そのまま家を出ていった


出ていく父はわたしを見つめると、わたしの頭をそっと優しく撫でてくれた




それが父との最後の記憶になった





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ