魂の月
身を護る手段は無くなった。だが、俺が地から昇り降り落ちる黄金の雨に貫かれることは無かった。
「―――ァあ…?」
俺には胡散臭い迷信以外に魂の在り方なんて分からない。
だけど。
《やっぱり繫げられたな…。これなら》
これなら。
これなら――‼
「輝白…‼」
「…‼」
輝白はやや狼狽したようだが、すぐに攻撃を再開した。
一対一。
黄金を腕に纏わせ、籠手のように造形し、さらに拳を黄金に染めて、直接的に殴りくる輝白。
対して俺もまた。直接的な打撃で応じる。
バギィィイイッッ‼‼
と、黄金と『武白』が衝突する。
魂の接続。
カリナが提案したのは、彼を媒体として、俺とメイナ・センラ二人とで魂を接続する方法だった。誰も試したことは無いが、成功だった。
これなら…‼
――打ち合える‼‼
武白の能力を疑似的に纏い、輝白と衝突する。
打ち合い、避わし、打ち、打たれ、黄金と赤が混じり、散る。
武白の能力は対人制圧。白の光は、本来は攻撃と防御の両方の性質を兼ねている。半自動で生成される光は、自分が打った際に反動をなくし、破壊力を強化する。防御性はセンラに継がれた方の能力。相手が九狼でもなければ、あらゆる『攻撃』を無効化する。
対して輝白。黄金を自在に操り、物量とも鋭さとも意のままである。
「…ッ‼」
黄金を打ち、砕く。
武白の能力で打てば、黄金を砕くなぞ容易い。
対し輝白は、
「――ッ‼」
戦法を変えた。
メイナとは違う、一時的で限定的だが、完全に『武白』を顕現させたらば、物量で制圧するよりも、集中させて強固にした方が有効と判断したらしい。
センラの魂の宿る防御性。その防護もまた、重ねて、分厚く、強固になるようだ。加速する戦場。一対一の純粋な戦闘。
制約があるとすれば――
「…ぐ…ッ」
輝白はメイナからの傷が残る。
そして俺もまた、
《…早く決着を着けろ…‼もたないぞ…》
時間は限られる。今は、肉体が死んでからまだどうにか留まっている魂を、強引に引き込んでいるに過ぎない。来るべき時が来れば、それも使えなくなってしまうわけだ。
「…っ‼」
先に仕掛けたのは輝白。
ドンッッ‼‼
輝白の背後から打ちあがったのは…
「…‼」
確認する間もなかったが、すぐにでも正体は分かった。
『槍』だ。
メイナとセンラは、カリナが残った体積で守っている。ならば、心配はない…。
「…ぁア‼」
蹴り抜いた。確実に急所を避ける通りさえ判れば構わない。
…例え、操られた『黄金』の槍が、防護を貫き、左の肩から先を抉り取ろうとも。
隙を開けず、残った腕で、殴り抜く。
武白の攻撃性を集中し、咄嗟に輝白の黄金で作った盾をも貫いて――。
勝負はあった。
今度は――、俺が……――




