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黎明の白
あれからどれくらいの時間が経ったのか、誰も計りはしなかった。出来なかった、とも表現はできなくないが、そんな愚行は無かった。
ただ、辺りが既に明るみをもっていたということだけが、嘘を吐かない事実だった。
センラは暖かな雫に目を醒ました。
頬に伝うその雫は、自分のものではないとわかっていた。己が涙は既に枯れ、尽きていたからだ。そして、この暖かく優しい匂いは、センラのよく知っている匂いだった。
悲しみが吹き返す前に、ゆっくりとした動作で、単純に、静かに目を開けた。
そこにあったのは、涙に崩れた、よく知った少年の顔であった。




