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サイハテハードコアライフ  作者: レアチーズ
2/4

第二話 悪夢の続き

しばらくサボってました。

運が無い。

私は余りに運が無さ過ぎて中学生時代に「アンラッキーガール」という謎の異名を付けられた事がある。

「小娘…誰の土地に侵入したか分かっているのか?」

「!?!?!??!?」

テンパって言葉が上手く出てこない。

代わりに出てくるのは「あー」とか「え、そのぅ……」という訳のワカラナイ擬音ばかりだった。

「貴様はこの場所に来るべきではなかった。さらばだ!」

全く持ってわけが分からない。

なぜそんなに怒られるのか。

いかがわしい本でも奥に積まれているというのか。

ゆらゆらと巨影が動く。

鼓膜が破れてしまいそうなほどに大きい爆音が響き、小柄な体が為すすべなく吹き飛んだ。

160?の身長があれば持ちこたえただろうと思うと心が痛む。

ああ、身長、ほしいなあ……。

「って!違う違う!これからどうするか考えなくちゃ!」

不思議な事に、自分でも驚くほど落ち着いていた。

そして文字通り落ちていく。

逆さまに、真っ暗闇に。


次の一瞬に、私の体は水と泡に包まれていた。


「!?」

バタバタと慌しく手足を動かす。

こんなことをするよりも何もせずに浮き上がるのを待てばいいなどどは全く考えられなかった。

光が次第にはっきり射し出した。

何とか頑張ってもがくが、やけに衣服が重たい。

だが一つ、違和感に気付く。

こんな服を持っていない。

「ぷはあっ!」

激しく咳き込みながら陸に上がる。

「ど、どういうこと!?こんな服は無かったのに!」

疑問?、持ってない服を身に着けている。

「って、靴履いてないや……い、いたた!」

地面がやけにトゲトゲしていた。

痛みに耐えながら駆け足で移動する。

もはや、跳ねているという表現のほうが正しいかもしれない。

疑問?、不可解な自分の挙動。

「ま、まあいいか……とりあえずは」

何か食べたい。

グルグルと音を立ててお腹が鳴る。

きりきりと脇腹が痛む。

しかしまだ棘地帯を抜けたばかりなのだ。

太らないのに代謝が良いのをいつもありがたく思っていたが、この時は恨むしかなかった。

後で水場を見つけたら体を洗おう。

すっかり汚れて―――

「髪が、ピンク色だ……」

疑問?、体の変化。

間違いない。

ファンタジーとかでよく見るやつだ。


転生。


きっとそういうことだろう……と思いたい。

「はあ…とことんツイてないや…」

体がぶるぶると震える。

風邪だろうか?

「…もうちょっと休まないと…」

すでに声が涙声だった。

ゆっくりと瞼を閉じる。

「…本当か?このあたりでエネルギーを感じたというのは?」

男の人の声が聞こえた。

勢いよく起き上がり、周囲をきょろきょろと見回す。

右側の壁から声が聞こえる。

残る力を振り絞って壁をドンドン叩く。

「……おい!誰だ?そこにいるのは!?」

「た……助けてくださいぃ………」

弱々しい声で言った。

こんなに弱々しい声が出るのか。

「よし!工事道具を貸せ!」

ガンガンと音を立てて岩が削れる。

「あ……あれは!!」

向こうから声が聞こえる。


〜監車〜


「なんで!?」


未だに理解できないが、捕獲されたらしい。

近くの鉱夫(?)がぺらぺら喋っている。

「くくく……ラッキーですぜ、親分!こりゃ大金星ですよ!」

「ああ、間違いない。報酬も弾んでもらえるだろう」

ううう……なんでこんなにツイてないんだろう。

首をふるふると横に振った。

しかしポジティブに考えれば、しばらくは危険から守られ……。

「ひっひっひ!随分と上玉じゃねえか!可愛がってやるよ!」

新しい危険!?

どうしよう。また心臓がバクバクしだした。

「やれやれ……まあ、逆らわなくて良かった。」

もう一人が言う。

……そう言えば、私は何で立ち向かわなかったんだろう?

お腹が空いてたから?

相手が悪いから?

いや、もっと単純だ。


今までを変えるのが嫌だった。それだけ。


どうするべきか、答えは自然に出てきた。

「今までの私と、サヨナラしよう」

今はまだ待とう。

焦らなくっていいんだ。

そう思うと自然に安心して、瞼が重くなった。

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