夢と現実
ある夢を見た
俺は未来と手を繋いであの桜の並木道を歩いていた
けど、もう片方の手も誰かとつながっていた
何故か顔は見えなかったけど昔から知っている人のようで安心した
3人で手を繋いで並木道を歩いていると突然未来が手を離して走り出す
未来が楽しそうに走って行くの見ていると、知らない男が出てきて抱き合った
その時の未来は俺と居るよりもずっと幸せそうで、胸が締め付けられた
抱き合いながら一瞬こっちを見た未来は初めてあった時と同じようにニコッと笑って、そのまま知らない男とキスをした
そこで目が覚めた、酷く汗をかいていたのと、また涙が出ていた
体を起こすと隣で座ったまま布団もかけずに姉が寝ていた
気を使ってそのままで居てくれたのだろうか
起こさないように静かにソファーから離れ部屋から布団を持ち出しかけてあげた
「いつもありがとな」
そういって布団をかけると姉が優しく笑った
弟から見ても惚れてしまいそうになるくらい可愛かった
時計を見ると2時半
ケータイを開くとメールが来ていた
未来からだった
件名:
本文:遅れてごめん!また家のことでバタバタしちゃってた(笑)
ちゃんと帰れたよ!
メールを見ると安心してしまった
きっとさっきの事は勘違いなんだ、そう言い聞かせ部屋に戻り再び寝ることにした
メールの音で目が覚めた、時刻は8時
二回も寝たおかげで昨日のことはあまり気にしなくなっていた
そういえばメール返してなかったな…
件名:ごめん
本文:怒ってるかな…?
怒ってるはずがない、俺は急いで返事を打つ
件名:
本文:ごめん!今起きたとこ!怒ってないよ(´ω`)
-----送信が完了しました-----
今日は日曜日、休日は嬉しいけどやることがない
さすがに2日連続で未来を呼ぶのは…隣町だし…いやでもやはり会いたい…ダメ元でメール帰ってきたら聞いてみるか…
立ち上がり部屋を出ようとしたところ、ケータイがなる
未来からだ
件名:
本文:そっかそっか…心配したよ…ほんとよかった(泣)
このメールを見て昨日のことは嘘なんだと思えてきた
汐里が嫉妬して俺に振り向いてもらおうと、別れさせようとしたのだ
件名:
本文:大丈夫大丈夫(笑)そんなんじゃ怒らないよ!
ところで今日は暇だったりする?
メールも送り終わり家の掃除を始める
母と父はまだ帰ってないようだった
姉ももう起きてるようだったが見当たらなかった
リビングには洗い終わってない皿があったからそこから始めることにした
皿を洗いながらぼーっとしてるとチャイムがなった
「こんな朝から誰だろ…」
ドアを開けると未来がいた
「春くんおはよ!どうしても会いたくて来ちゃった」
「えっ、あ、ありがとう!?毎回来てもらってごめんね?どうぞ入って」
「うん、お邪魔します」
「ちょっと皿洗ってるから先に部屋いっててよ」
そういってリビングに向かいさっさと洗い物を終えお茶注ぎ部屋に向かう
隣町なのにこんな朝から来るなんてすごい行動力だ…
「お待たせ…って何してるの」
「んー?春くんの匂いするなーって」
部屋に戻ると未来が俺のベッドで横になっていた
「春くんおいでー!一緒に寝よー!」
「え!?一緒にって!?え!?」
「恋人なんだからー!早く早くー!」
もうどうにでもなれ…そう思って未来とは反対を向いてベッドに入ると後ろから抱きついてきた
なんか色々当たって…
「春くんの背中大きいねー安心する、こっち向いてよ」
「えっ恥ずかしいんだけど」
「顔見えないから平気だよ、早く早く」
流されるまま未来の方を向く、上目遣いの未来がこれ以上ないくらい可愛かった
「えへへ、春くーん!」
少し照れくさそうに抱きついてくる
抱き返すと嬉しそうに笑った
そのまま、何も言わずにキスをした
昨日とは違って長いキスだった
「ねえ春くん」
「どうしたの未来?」
「えっとさ……こういうの興味…ある?あんまり大きくないけど…」
未来は顔を真っ赤にしてそういうと胸元を広げてきた
突然の出来事に耳まで赤くなる
「なーんてね、冗談だよ」
肉食過ぎてむしろ困る
俺は熱の上がった顔を冷ますためにリビングに向かう
「ちょっと顔洗ってくるわ…」
「あはは、いってらっしゃーい」
納得出来ない
というかやられっぱなしじゃないか…
顔を洗いながら仕返しを考える
「ちょっと可哀想だけど無視してみるか…」
もしかしたら機嫌を損ねてしまうかもしれない、その時は全力で謝ろう
そう決め、部屋に戻る
「あ、春くんおかえり」
「………」
「ん?どうしたの春くん?」
「………」
「あ、わかった、私のこと無視する気だな?いいよ、受けて立つぞ!」
そういうとベッドに座り誇らしそうにこちらを見てきた
これは機嫌を心配しなくても大丈夫そうだ
無視してそのまま部屋の掃除を始める
「いつまで持つかな?私こういうの得意だよ?」
鼻歌を歌いながら俺が掃除しているのを眺める
………無視を始めて30分が経過する
未来の様子といえば…
「春くんそろそろいいでしょ?返事してよ」
少し不安になってきたようだ
これなら仕返しもできたと言いたいところだが、もう少しだけ反応を楽しもうと思った
「さっきの事は謝るから、お願い、返事して、ごめんなさい」
そろそろ可哀想なのでこの辺でやめておくか
「少しは反省したかな?」
若干未来が泣いているのに気付いた
「あ、ごめん、泣くまでやるつもりはなかったんだけど…」
「春くんー!!」
「本当に嫌われちゃったのかと思って…私…ごめんなさい…」
泣きながら抱きついてくる未来
「俺こそごめんね、さすがにやりすぎた」
頭を撫でながらベッドに座る
やはり昨日のことなど嘘だったんだ
そう確信した
こんなにも好いて、デレて、いい子なのに浮気なんかするわけがない
ずっと幸せな日々が続く
そう思っていた