出会い
15歳春、今日から高校生になる
正直新しい環境で新しく何かするってのは誰でも不安にはなると思う
俺、黒瀬春樹も例外ではなかった…
もう春とはいえ少し肌寒い、セーターでも着るんだったかなぁ
高校につくと既にたくさんの新入生が正門で集まっていた
「お、春樹じゃん!おーい!」
人混みの中から同じ中学だった奏汰と司に話しかけられた
「すごい人混みだなこりゃ、よく見つけたなお前ら…」
「仕方ねえよ、入学式だからな」
「彼女できるかなー」
「司は顔はいいけど性格がな…」
「確かに…」
「なんだよそれ!おい!」
なんて他愛のない話をしてると
「新入生の皆さんは教室を確認して各自向かってくださいー」
と教員に言われ次々と生徒達が校内へ入っていった
「俺達も行くか、同じクラスだといいな」
「そうだね、俺のクラスはー…7組だったわ、お前らは?」
「俺も7組、奏汰は?」
「俺もだったわ、良かった良かった」
「とりあえず教室向かうか」
3人が4階にある1年7組の教室に向かうと
既に何人か生徒が居た
どれも知らない顔ばかり
やはり中学とは違って全く知らない人ばかりだ
奏汰と司とくだらない話で盛り上がってると予鈴がなった
「おっと、そろそろ席に座っておくか」
「そうだな、初日から説教なんてごめんだしな」
奏汰は窓際の前の方
司は廊下側の後ろの方
俺は真ん中辺りになった
他にも同じ学校だった奴らも居たけど近くはなかった
席に着いて興味本位で隣の席の子を見てみた
目が合ったその子はニコッと笑いかけてくれた
一瞬胸が大きく鳴り、思考が止まってしまった
「私、岸谷未来っていうのよろしく」
「あ、えっと、俺は黒瀬春樹、よろしく」
それから7組の担任が入って何かの説明をしていたけど全く頭に入ってこなかった
入学式も終わり下校の時間になるとまた奏汰と司が声をかけてきた
「いやーめんどかったなぁ、帰ろうぜ」
「そうだなー、ん?どうした春樹?」
「え?あ、あぁ、帰るか」
「お??どうしたどうしたー早速好きな人でもできたか?」
「う、うるせえよ、違うわ」
「あ、これは出来てる奴ですわ、詳しく聞かせろ!」
その後、事情聴取をされたが初日なのであまり話すことも無くすぐに解放してもらえた
家に帰ってからあの子のことをずっと考えてた
「こんな時に頼りになるやつがいな…いたわ」
俺はケータイを取り出してある人に電話をかけた
「はーい?どしたの春ちゃん」
「もしもし、汐里?ちょっと相談なんだけど」
「お、恋の相談かなー?」
「相変わらず勘が鋭いな…」
こいつは幼馴染の栗原汐里
よく相談に乗って貰っていて中学も同じだけどクラスは違った
「実は隣の席の人に一目惚れしてしまってだな」
「ほー!いいねいいねーどんな子?」
「いや、一目惚れだから具体的には言えないんだが…」
数時間前にもこんな事があった気が…
案の定、汐里にも事情聴取されたが奏汰と司とは違いしつこく追求された
「そんなことはともかく、女の子が振り向いてくれるようなこと教えてくれよ」
「振り向いてくれるようなことかー…さり気なくボディタッチとかしてみたら?あ、過度なのはダメだよ!」
「ボディタッチか…他に何かある?」
「後は目をよく見ることかなぁ、春ちゃんすぐ逸らすから」
「う…わかった、ありがと、参考にするわ」
やはりこう言うのは同性より異性に聞くのが1番答えが出やすいものだ
電話を切ったあと、どんな話をすればいいか考えてみた
あんまりマイナーな話題はダメだし食いついてくれそうな話題…
「全然わっかんね…」
悩みに悩んでいるうちに気付いたら寝てしまっていた。