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第4話 殺戮

今回はPCで書いたので少し表記がおかしいかもしれません

※今回からは基本、主人公視点です

※今回も残酷な表現が含まれてます。ご注意ください

「返せ……返せよぉぉおおおおッ!!!!」

”俺”の叫びに呼応するかのように黒いオーラが空を、地面を、世界を覆う。


「クソッ、やつを殺せ!!」

カストリアが周りの兵士に命令する。


「「「うおおおおおおおおおおおお!!!!」」」

槍、剣、盾を手に兵士が押し寄せてくる……が、俺にとっては道端に転がってる石ころと何ら変わりはない。

無造作に右腕をふるう。すると黒の斬撃が放たれその直線状にいた兵士達の体が一刀両断された。


「…………へ?」

自分が斬られたことに気付いていないのか、間抜けな声をあげ地面に倒れこむ。

俺はそれを無視しヤツを殺すために前へ進む。


「カストリア様に近づけるな!!」

馬に乗った隊長格の男が声を張り上げる。それに対し周りの兵士たちの士気があがる。

先にアイツを殺したほうが良さそうだ。俺はその場を跳躍し、男の前に降り立つ。


「隊長が狙われてるぞ!! お守りし……グペッ!?」

言い終わる前にソイツの頭を引き抜き、脊髄ごと取れたソレを男に向けて投げる。


「ひっ!? ば、化け物め!」

一瞬怯える男だが腰に携えた剣を引き抜く。


「我こそはカストリア・オエンス子爵近衛騎士隊長、ケイベル・スリ━━━━!?」

俺の腕が男の頭蓋骨を突き破り、貫通する。

自己紹介をわざわざ待ってやる義理はない。

手に付いた血を振り払い、カストリアがいるであろう最奥部を見る。だがやはり、大勢の兵士に行く手を遮られている。 


「邪魔をするなああああ!!!!」

俺の邪魔をするやつは全員殺す。


殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す

殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す


殺意に反応したのか、ドス黒いオーラが兵士たちを包み込む。

その様子を警戒して眺めていた兵士達だが、突如一人の兵士がもがき苦しみ、白目を剥いて倒れた。

それから一人、また一人と倒れていく。


「何だ!? 何が起こっている!?」

状況を飲み込めていないのか焦る。

やがてカストリアのみを残し全ての兵士が死んだ。

兵士たちの体から白いモヤが飛び出し、俺の中に吸い込まれていく。


「1万だぞ!! それがたった一人に……!!!」

カストリアは悔しそうにこちらを睨む。


俺の『大切』を奪ったコイツだけは……

「お前だけはああああああああ!!!!!」

両腕を天にかざす。すると俺の頭上からゴロゴロ……と雲が鳴る。


ズドォォォォォォォォォォォン!!!

 

俺の隣に黒の稲妻が落ち、炎があがる。


「ひっ!? く、くそっ!」

馬上から転げ落ち、腰を抜かすカストリア。


無様だな。だが俺の苦しみはこんなものじゃない。

掲げていた両腕を下ろし、右腕でカストリアの体を持ち上げる。


「ひぃ!! た、た、助け……」

顔を体液で汚し、命乞いをしてくる。

だが俺はそれを無視し、両腕を引き千切る。


「ぎゃああああああ!! 痛い、痛い……腕が、腕がぁ……」

股間を濡らしながら悲鳴を上げ、のたうち回るカストリア。

俺は冷ややかな目で見下ろしながら千切った腕を放り投げ、今度は両足を引き千切る。


「ああああああああッッッ!! うっ、ぐ……おええぇぇ」

四肢を失くしたカストリアは、吐瀉物を吐き散らしながら地面で蠢く。


「だ……だず、げでぇ……」

だがまだ生温い。さらに俺は足で喉笛を踏み潰す。


「グボッ!? ヒュー……ヒュー……」

これで叫ぶこともできなくなったはずだ。

俺は最後の仕上げに頭上で待機させていた雷を叩き落とす。


「堕ちろ、『黒雷帝』」

黒の雷がカストリアめがけて一直線に落ち…………世界から音が消えた。



✴︎✴︎✴︎



”僕”は夢を見た。 夢というのも断片的な映像━━━━


雲一つない晴れ渡った青い空。そこに浮かぶ神々しい白の輝きを放つ太陽。

眼下には美しい街。その中心には巨大な時計台がそそり立ち、時刻は13時30分で止まっている。

映像は、どこか聖堂のような場所に移り変わる。

そこには金髪の美しい女性がその透き通る様な碧い瞳で僕を見ていた。なぜか彼女を見ていると胸が締め付けられるように苦しい。彼女もまた、ひどく悲しそうで、辛そうで…………

そこで映像は途切れ、視界が白一色で染め上げられる。

目を開けると、そこには黒い男が立っていた。漆の様な艶のある黒髪、血よりも紅い瞳。背中には黒い翼、右手には漆黒の鎌を持っており、その出立ちはまるで死神のよう。


「僕は死んだのか……」

僕の大切な人達は殺され、最後にはあっけなく僕も心臓を一突きにされた。


「いや、確かに死んだがお前は生きている」

黒い男が唐突にしゃべりだした。


「どういうこと?」

「大切な記憶を代償にお前は生き返る」

この男の言っている意味が分からない。

大切な記憶を代償? 生き返る?


「お前はまだ死んではいけない」

「ちょっと待って! 言ってる意味が分かんないよ!!」 

だが男は僕の言葉を無視し、続ける。


「生き返ったら村を出ろ。そこから先はコイツが教えてくれる」

そういうとどこからともなく一羽のカラスが飛んできた。


「さあ、そろそろ時間だ」

僕の体が次第に透けていく。


「待って! 君は……君は誰なの?」

聞きたいことがたくさんあるのに、出てきたのはそんな言葉だった。


「俺は堕天使ルシフェル━━ウルベスだ」

悲しみを含んだような男の言葉を最後に、僕の意識は途切れた。



✴︎✴︎✴︎



薄れていた意識が浮上する。

体が冷たい……腕、足がとてつもなく重く、強烈な睡魔が僕を襲う。

だが周りに充満する血のにおいで僕の意識は覚醒する。

重い体を起こし周りを見渡す。


「あれ……ここどこ……?」

そこは地面が赤一色で染まった大きなクレーターで、その中心に僕はいた。その外側にある木は生気を失ったかのように枯れ果てている。


「なんで僕はここに……うっ!!」

思い出そうとすると強烈な頭痛が僕を襲う。たとえ思い出そうにもモヤがかかったように分からない。

もしかすると思い出さないほうがいいのかもしれない。

だけど━━━━


「なんで僕は泣いてるんだ?」

一筋の涙が頬を伝っていた。

なにか大切なことを忘れたようで、胸が苦しい。


「なん……でっ……」

涙が止まらない。胸にポッカリと穴が開いたようになにか物足りない。

その時━━━━


━━━━泣かないで……


少女の声が聞こえた。

知らない声なのにひどく懐かしく、温かい。

少女の声を聞いた途端、何かがはじけたように、僕は大声で泣いた。

声が枯れるまでただひたすらに……泣いた。












 


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