霊感少女、真理亜 続き
続けて真理亜は言った。
「私の宝物を入れる箱にしたいから。」
絹江は、すんなり
「いいわよ。」と答えた。
直ぐに、真理亜は、お気に入りのシールやメモ帳、紙で出来た着せ替え人形を入れた。
尺で測ったように、ピッタリサイズだった。
真理亜は、その箱を欲しがった本当の理由を、母には言うことが出来なかった。
ザビエルの箱の触り心地が、夢の中のワタシが触っていた、お父さんの洋服に似ていた、そんな話をしたら母が怒ると思った。
そう、真理亜は、不思議な話を絹恵にすることが出来なかった。
以前、真理亜が無邪気に、幽霊さんや、天使さんの話を、母にしようとした時がある。
そのとき母に言われ一言を、ずっと引きずってた。
物凄い剣幕で母に言われた。
「そんな話してたら、お友達が一人もいなくなるよ。」
お母さんは、不思議な世界の話を信じない人。
真理亜の心は、頑なに閉ざした貝のようだった。
真理亜は、現実では受け入れられないであろう話を沢山抱え込んでいたが、誰にも打ち明けることは出来ずにいた。
ザビエルの箱を大事にしていた時もそう。
「私が私になる前、ワタシが生きていた頃の話、当然お母さんが解って貰えるはずがない。」
真理亜は、ザビエルの箱を毎日触った。
「そう。そう。この柔らかさ。すべすべして気持ちいい。夢の中で触っていた、あの感じにそっくり。」
何度も何度も、確認するように、、、。