木靴の少女の想い 続き
真理亜は、自ずから色々な事を理解するようになる。
「私は、別の時代をいきていたワタシに、身体を半分貸してあげているのかもしれない。」
真理亜は、自分の感情とは別に、突然何かに揺り動かされるように、様々な想いが、迸る。
ウイスキーのCMで、画像と音楽が流れてきたときも、そう。
真理亜は、グラスに注がれた琥珀色の耀きを見つめながら、切ない気持ちで押し潰されそうになった。
その感情は、両親にも説明する事が出来ない。
自分でも、何故、そんなにも哀しい感情が溢れ出すのか、理由が分からなかった。
私が哀しいのではなく、別の時代を生きたワタシが、切なくツラいのだ。
それはどうしようもない。
真理亜は、木靴を探していたワタシが共存している自分自身を、否が応でも受け容れざるを得なかった。
前世の夢は、本当によく見た。
ある日の夢の話。
真理亜は、天秤ばかりをオモチャにして、色々なものを載せて、バランスを取って遊んでいた。
片方に、胡桃、もう片方に、イヤリング。
天秤ばかりの、ある場所をスライドさせ調節したら、元々、重量が違うもの同士が、均衡なバランスを保つ。
バランスが取れた瞬間は、物凄い快感である。
真理亜は、何度も何度も、天秤ばかりのバランスをとる遊びを繰り返す。
本当に、夢中なひと時だった。
夢は、何時も、良い場面で終わってしまう。
「あ〜あ。折角楽しかったのに。」
目覚めた真理亜は、枕元に、天秤ばかりのオモチャがないことに、がっかりした。