表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/12

チェックメイトの代償(終)

千葉県警に戻った時には空はカラスが飛ぶと同色するほど暗くなっていた。

しかし月は満月だ。ここからでも見えるぐらいに俺を照らす。

血だらけな俺を照らしてくれる。ピンク色パーカーの子が心の傷を癒すかのように。

恐らくこの部屋は取調室で使われるのであろう。灰色で統一された無機質な壁に小さな机が一つ。

俺は県警につくと寄り道なくこの部屋にぶち込まれた。

彼女の笑顔を思い出すと悔しさのあまり椅子を蹴り飛ばしてしまう。


ありがとう


彼女の言葉が脳裏を張り巡り、身体を蝕む。思わず頭を抱えて崩れ落ちる。

涙も止まらない。思わず叫ぶこともあった。





今回の習志野芸術ホール立てこもり事件は結果として俺が彼女を追って会場から出ていった数分後、橘さんがすぐに4人目のウィッチを発見し5000人近くの客全員が軽傷で済んだ。lovetrickの四人は現在集中治療中。命に別状は無いとのこと。

客への取り調べで分かったことは事件の元凶はやはりlovetrickだということだ。ウィッチに対しての過剰なアンチパフォーマンスをしたところから客の意識が無いらしい。

lovetrickをミイラ化させようとしていたウィッチ二人は鋼山の追撃により死亡。四人目は橘さんとの交戦の末、死亡。ピンク色パーカーの彼女も大量出血により死亡と聞いた。


そう、俺は彼女の死にゆく姿を見れなかった。抱きかかえた時、彼女はまだ息があった。


でも言葉は出ていなかった。ショックでしゃべれなくなったのだろう。

それでも覚えている。俺が強制的に班長に身柄を拘束されてロビーに向かう際、彼女は俺に向かって何か伝えようと口をパクパクさせていたこと。

言葉にできなくても俺だけには伝わった言葉


ありがとう


また思い出してしまった。封印しようとしても脳裏から剥がれない。

ガチャ、と扉が開く音で崩れた感情から我に返る。

夜明班長がファイルを持って入ってきた。俺の姿を確認するとそっと向かい側に座った。蹴り飛ばした椅子を元に戻して羽雪も着席する。

ゆっくりファイルを開くと夜明は口を開いた。


「胡蝶羽雪捜査官、今回のウィッチ逃亡に加担しことによる不始末についての説明を求める」


「……」


俯く羽雪は黙秘を続ける。夜明も黙って口が開くのを待った。


「……どうしても」


やがてうなだれる様な声で話し始めた。


「どうしても殺さなきゃ駄目でしたか?」


夜明は開いていたファイルを閉じて落としていた目線を羽雪に向けた。


「情でも沸いたか」


「彼女は魔法が使えませんでした」


「ほら吹きだったらどうする」


「そうでなかったら班長は殺さないんですか」


夜明はため息でワンクッション置く。


「魔法使いの血を引く時点で潜在犯だ。いつ、どのタイミングで魔法が目覚めるかわからない以上、殺さざるを得ない人間だということを捜査官として忘れるな」


羽雪は俯きながら不気味に笑った。


「何がおかしい」


「いえ、別に。上級捜査官なんてあなたみたいな出世ばっかり考える自己中人間ばかりと思うと悲しすぎて笑えるだけですよ」


頭に血が上った夜明は険しい表情で羽雪の胸倉に掴みかかる。羽雪は涙を出しながらも訴えた。


「俺はまだなりたての捜査官です。歳だって16歳で成人すらしてない。本当なら高校生やっているところだ。判断能力だってまだまだガキだし社会を知らない人間と言われればそこまでです……そんな俺でも立場は違えどあなたと同じ捜査官なんすよ……」


「だからなんだ」


涙の訴えは魂の訴えと化する。


「だからあんたに捜査官としてをとやかく言われる筋合いなんてねぇんだよ!!捜査官なら……いや、捜査官だけでも彼女のような存在の声を信じなくて誰が信じるんだ!?」


すべてを出した。空っぽになるまで訴えた。やることはやった。


夜明は険しい顔をしつつも胸倉を投げ飛ばすように放すとファイルを持って立ち上がり、そのまま扉に手を掛ける。夜明は腕時計で時間を確認すると背中越しに羽雪に言った。


「9時半までに津田沼の駅前にある居酒屋に来い」


そう言うと夜明は取調室を後にした。









「ったくよ~、な~んで俺がぁ!入りたての新人なんかにぃ!説教されなきゃなんね~んだよぉ~」


……何だ


「いやいやいや~、そんなんはぁ~夜明っちがぁ~月9主人公級にイケメンだから嫉妬してるんやてぇ」


……何がおきている


「ん~なわけないでしょ~がぁ~、あんたりゃ飲みすぎなのよぉ~…店長!おかわり!」


……なんなんだこの緊張感の欠片も無い空間は!?


仕事終わりのサラリーマン達がわらわらとする居酒屋の店内。畳式のテーブルと通常の椅子テーブルタイプがほぼ店内のスペースを占め、ちょこっとだけカウンターが存在する王道中の王道を貫く居酒屋だった。そこまで広いわけでもないが年季の入った木で出来ているテーブルなどは居心地がよい。


いや、よいはずなのに……よろしくはない。


畳のテーブルでは羽雪、琴音、小鳥の未成年組みに加えて鋼山。カウンターにはすでにとてつもない酔いが回り始めた零崎、橘、夜明班長が吸い込まれるようなハイペースで酒を注文して店長を困らせている。

ベロベロに酔った三人はあからさま周りの客に迷惑なはずだ。そんなモンスターゲストと同じスーツを着ているがために身内だと認識されるのがとてつもなく不愉快だ。

羽雪はせめてもでSIFバッチをはずす。


「あの……羽雪くんに琴音ちゃんどうしたの?さっきからずっと顔引きつってるけど」


この居酒屋にとてつもなく不釣合いな少女、小鳥がオレンジジュースをストローで吸いながら問う。


「き、きにしないでくれ。目の前の光景を現実として受け止められないだけだから」


「そ、そうだね。右に同じ」


小鳥は真顔をキープしていた。


「ふーん。大変な病気だね、治療ファイト!」


「何科が取り扱う病気だ、このやろう」


わははと腹を押さえて笑う鋼山。思わず睨みつけてしまう胡蝶兄妹。


「いやーわりぃわりぃ。小鳥の天然っぷりにつっこむ奴なんて初めてだからさぁ……あ、そうだ」


鋼山はわざとらしく咳払いをして改まった。


「俺は鋼山省吾朗だ。よろしく。そんでこのKY少女が」


「KYじゃないもん。それに自己紹介ぐらいできる」


小鳥は羽雪、琴音を見るとにこっと笑った。


「小鳥咲葉です。年齢は14歳。出身大学は慶応です。よろしくっ」


……ん?


「ところでお二人さんは」


「ちょいちょいちょい!!待ててぇい!」


思わず同じ突っ込みを入れる胡蝶兄弟。


「わぁ、やっぱり双子だね。動きが全く同じ」


「やかましい!」


またしても腹を押さえてゲラゲラ笑う鋼山。


「そっか、驚くのも無理はないか……小鳥はなぁ、天然でKYだが小学生の過程で大学課程まで終えてるウルトラエリートなんだ」


鋼山の紹介に煽てられた小鳥は目元でブイサインを作ってイエーイとアピールしているが俺たちは脳がついていかずにパニックだ。見かけによらない。そんな言葉がよくお似合いなこって。


「まぁそれについては今度話すとしてよぉ、どうだったお二人さん?初仕事の味は……まぁ、兄さんにとってはちょいと苦かったか」


何故か鋼山はドヤ顔だった。

そりゃそうだ。このメンバー全員が俺がしようとした行動を知っているに決まっている。

当然、隣の琴音もだ。


「いやぁ、災難でしたけど大丈夫っすよ。これも仕事っすもんね」


笑ってごまかそう。理解なんてどうせされないのだから。


「おい」


鋼山は持っていた箸を置いた。笑っていた表情はどこかへ消えていた。


「何のための飲みだと思ってんだ?一日の不満をぶちまけるためだろうが」


鋼山はカウンターの三人を親指で指さす。


「あいつらだってそうだ。今日一日で理由は違えど不満が溜まってるに決まってんだろ。橘は事情聴取の際に多数あった客のクレーム対応、夜明班長は俺たち部下がムカつく程自己中思考で上手く動かせないことに、零崎は……まぁ、俺の知らんところでなんかあったんだろ。そうでなきゃあいつはあんなに飲まねぇ」


琴音がじっと俺を睨んでいる視線を感じる。

そうだ。俺だ。恐らく原因は俺が無駄に暴言吐いたり作戦に反抗したりしたことだろう。


「俺たちSIF夜明班の心得は振り向くな、だ。いちいち後ろを見ていたら一向に前に進めない。解決に繋がらない……だから不満があればここでぶちまける!飲んで忘れる!わかったか!?」


鋼山の迫力に思わず言葉を失う。


「うわぁ!」


琴音の声の先には酔っぱらった零崎、橘、夜明が畳テーブルに置いてあるから揚げやら枝豆をつまみ食いしながらいつの間にかくつろいでいた。


「そ~だぞぉ~、言いたいことあんなら言っちまいなぁ~」


「夜明さんはまず、さっきまでのシリアスを返してください」


酔っ払いきった夜明が俺の肩に腕を回して体重をかけるが、酒臭さが尋常じゃない。

でも……まぁそうだな。


「言いたいことっていうか、やりたいことがあるんすけどいいっすか?」


「ん?別にいいんやないかぁい?なぁ、真美姉さん?」


「う~ん、問題ナッシングぅ~……んでぇ、何やるのぉ?お姉さんと野球拳?」


「それはまたの機会にお願いします…では、夜明班長」


「はい!なんでしょーかぁ!」


今度はハイテンションか。ほんとめんどくせぇ。


「その場で起立お願いします」


「はぁい!」


しゅぱっと夜明が立つと羽雪も遅れて立ち上がる。

全員、何が始まるのかとそわそわしているがその中でも小鳥はとんでもなく目がキラキラして机から身を乗り出している。


「それでは、目を閉じてください」


「ん!?それは困るなぁ~羽雪お兄様ぁ。俺がいくらぁイケメンといえどぉ悪乗りのキッッスなんてぇ」


「殴ります」


「殴るぅ!?」


最終通告を告げた羽雪はイグナイトは使わずに思いっきり夜明の頬を殴った。


「グフぁ!?」


夜明は先ほど飲んでいたカウンターまでぶっ飛んだ。

羽雪はしばらくその場で立ち尽くした。空気の読めない小鳥は手に持っていたメジャーで夜明の立っていた所から飛ばされた距離を測っている。

居酒屋内のサラリーマンに加え店長、店員全員が羽雪に注目していた。そして羽雪は深く深呼吸をする。


「店長、ジンジャエールをジョッキで」


「はいよ」


店長は状況に似合わないほど落ち着いていた。このような光景になれているのだろう。理由は恐らくここの荒事専門SIFが原因だろう。


やがて運ばれたジョッキを羽雪は手に取ると、ぐびっと豪快に飲み始める。

まるで何もかもを忘れようとするように、ただひたすら飲み続けた。

一気に飲み終えたジョッキを机に置くと羽雪も着席すると大きなゲップをした。


「鋼山さん、スッキリしました。ありがとうございました」


鋼山は少しの間を得てニヤけた。


「じゃあ…」


遠慮がちな声で弱々しく手を上げる琴音。


「私もいいですか?その……羽雪みたいなことをしても」


「ぜ~んぜん!オ~ケェイよぉ~」


もう手に負えない橘が体で丸を描きながら了承した。

そもそも琴音は誰か殴るほど今回の事件に深い関与はしていないはずだろう。

そんな琴音は深く息を吸い込む。そして吐く。

座った状態で体を羽雪に向けた。

鋼山は目を丸くし、小鳥は何故か焦っていた。


「おいおい……マジかよ」


何で俺なんだよ!?

そう考えた時にはもう遅かった。右頬は見事に爽快な音とともに叩かれた。


「いってぇ!?」


平手打ちなんて何年ぶりだろうか。感情が込められている影響か、ものすごく痛い。


「っ……わけを話せ!理由を!」


「私を頼らなかったから」


SIFのテーブルの空気が変わった。酔っ払い三人以外は真剣に聞き入った。

後ろのめりになる羽雪を押し倒し、壁ドンならぬ畳ドンをかました。


「もっと私を頼ってよ!私達は二人揃ってこそでしょ!?」


……そうだ、そうだったな。

羽雪は琴音を起こして自分の体も起こした。


「そうだな。二人揃って初めて最強になる、だったな」


このときの琴音の笑顔は今後も忘れることはないだろう。

それほど明るく、心の底から笑っているように見えた。










朝の寒い静寂が広々とした無人のオフィスを包む午前5時。これからここで働くのかと思うと微妙にわくわくするが、昨日のこともあって少々不安も感じる。事前に聞かされたSIF一係、またの名を夜明班と呼ばれるデスクは端っこに存在していた。7つのデスクのうち、ふたつは隣りあわせで何も無い無機物なデスクがあった。


どっちを使ってよいのだろうか…


「引き出しに名刺が入ってる。それで確認しろ」


自分と琴音しかいないと思い込んでいたために不意の男声に体をビクつかせる羽雪。


「おはようございま…って、え!?」


SIFが刻まれた黒パーカーに下は黒スーツと微妙にラフな格好をしている夜明の姿を確認した羽雪はもう一度驚く。こんな格好が許されるのか!?



「ん?あぁ、これか?いつもスーツなんてめんどくさいだろ。お前らの分も名刺と一緒に入れといたから着たきゃ着ろ」


もう班長の真面目キャラが崩れつつある。いや、もともとマジメでもないのか?

無駄なことを考えている間に夜明は棚に置いてある機械式コーヒードリップでコーヒーを注いでいた。マグカップは3つある。

琴音と羽雪は互いに顔を合わせる。

これは……新人の仕事!

あろうことか班長にやらせるわけには!


「すいません!俺がやります!」


「いえいえ!私が!」


「あ?どうした胡蝶兄妹」


「いや、班長に注いでもらうわけには」


「三杯とも俺のだぞ?」


……マジか


「冗談だ。ほら」


夜明は優しい笑みを浮かべながらコーヒーの入ったマグカップを羽雪と琴音に渡した。


「ありがとう……ございます」


ゆっくりと手を伸ばしてコーヒーを受け取る二人。

夜明のコーヒーを啜る姿につられ、羽雪と琴音も一口啜った。


「あの……班長」


羽雪が勢いで口走る。


「何だ」


「昨日は殴りかかってしまい申し訳ありませんでした」


意外と心残りだった。べろべろに酔っていたから覚えていないと思うが。


「あぁ、お前だったのか。なんか右の頬が痛いと思ったら」


身体は覚えていたらしい。


「別に構わない。気にすんな」


「ですが……」


「昨日の事を今日に持ち込むなと言ってんだよ。仕事に支障が出る」


そうだったな。これが夜明班のルール。振り向くな。

昨日のウィッチを忘れることは出来ない。きっと忘れてはいけない。

それでも今は前だけ向いて歩む。母の件もしばらくおさらばだ。


「お?これはこれは夜明君……と見ない顔が2駒」


異様に太った中年男がオフィスの扉から言った。

人をこま扱いする言動からいい人とは思えない。


「猿渡さん、おはようございます」


「昨日はウィッチ5人討伐と聞きましたが……やはり楽しいですか?魔女狩りは」


ずっとニヤニヤしながら話す猿渡に怒りのフラストレーションが溜まる。


……殺す


殺意沸く羽雪に気がついた夜明は羽雪の前に手をだして落ち着かせた。

そして夜明は怖いぐらい笑顔で応えた


「はい。非常に」


「さぞ英雄気取りも楽しいでしょうな。貴様らはたかが雇われの暗殺者に過ぎないのに……ん?」


羽雪のフラストレーションがどんどん溜まっていく姿に猿渡は気づく


「なんだい?そこの少年。言いたいことでもあるのかな……あぁ、君か!昨日怖くなってウィッチを逃がそうとした弱小裏切り者捜査官っていうのは!ね!そうなんだろう!」


「てめぇ……なんにも知らねぇで」


「胡蝶兄!」


夜明が片手で抑える羽雪を琴音も必死に抑えた。猿渡は羽雪をあざ笑うようにニヤニヤしている。


「その反応は本当のようだね。災難だったなぁ夜明君。まさに中身の腐ったあんぱん!最強最強と歌われた新人は開けてみればこれだ!……ほんと君には同情するよ。出世コースを急にはずされてこんな奴らの」


ばしゃ

液体がかかる音と共に猿渡の顔にはコーヒーが滴っていた。

夜明の持っていたマグカップにはすでにコーヒーはない。

思わず羽雪も動きを止めた。

そんな修羅場と知らずに橘、零崎、鋼山、琴音が出勤してくる。全員、夜明同様の黒パーカーを着ていた。


「あっちゃあ~班長何やってんですかぁ、こんな朝っぱらから」


「ま、どうせそこのクソデブが何か言ったんやろ」


「同感だな」


「羽雪くんも琴音ちゃんも悪くない!ついでに班長!」


それぞれが自由に発言すると荷物を自分のデスクに置いて夜明、琴音、羽雪の後ろに立つ。

猿渡の怒りは最高潮に達していた。


「貴様……今何を」


「たまたま手が滑ってコーヒーがあなたにかかっただけですけど?たまたま手に持っていたコーヒーが、たまたまタイミングよく手から滑って、たまたまあなたにかかっただけですけど?何か文句あります?」


猿渡は歯を食いしばって悔しがる。


「貴様も落ちたな!こんな常識無い奴らに囲まれてお前も常識が無くなったか!」


鼻で笑う夜明


「常識が無い?上等じゃねーか。ってか逆にウィッチ捜査に参加したこと無いあんたに教えてやるよ」


猿渡の前に立ち、見下ろしながら言った。


「常識なんか守っててウィッチ捜査なんか務まると思うなよ」


猿渡はその場で転ぶように倒れた。夜明は一転、笑顔になって羽雪の頭をぽんぽん叩きながら言った。


「あと、こいつ単体では確かに役立たずです。なぜならこいつは妹と二人揃って初めて最強、ですから」


何だか嬉しかった。それと俺はこの人を勘違いしていた。出世ばかり考える自己主張型だと。


今は違う。いや、今理解できた。


夜明さんこそ一番出世なんてどうでもいいと考える仕事人。

夜明さん以外の仲間が非常識なのではない。夜明さんの思考回路が非常識だから俺たちも非常識なんだ。

もしかしたら俺たち兄妹もすでに非常識になりつつあるのかな…なんてな


昨日、取調室で言った出世ばかり考えてるっていう発言、謝んねぇとな。


いや、いちいち振り向いちゃダメだったんだな。やめておこう。


「じゃ、今日も仕事するぞ」


このアットホームな夜明班の雰囲気が俺たち胡蝶兄妹の不安を


全て排除した。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ