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天下御免  作者: 深町珠
20/21

口入れ

口入れは、現代なら

禁じられた人買いのようなものだし

日本なら、問題の多い人材派遣のようなものだ。



けれど、江戸ならそれを裁くには

法律もあるが

もちろん、武士の裁きがある。







金は、ひょいひょいと

戻って来る。




「丑三つにでも舟で人足を運ぶのであろう。

」と。





「人買いはご法度であろう」と、右京。




金は「左様。わしのような者は雇わぬのは

訳があるのだろう」




知恵の回らぬ若者や、若い娘などを

苦行に付かせ、賃金を払わぬなど


よくある事だ。




現代なら、ブラック企業、と言うところか。







金と右京は、丑三つ。




再び、川筋で様子を伺うと




口入れの裏に、舟。



幽閉されていたのか、年端も行かない

子供達。


どこに連れていくのかも知らずに

舟に乗せられていく。



「待ちな。」金は、町人風情のまま。




口入れの、憎ていな女は



「何の用だい、おや、昼間の。

仕事は無いと言ったはずじゃないか」と


内心、怯えている。




「近辺で神隠しがあると聞いたが

おのれの仕業であったか」着流しの右京。




屋敷に隠れていたらしい、浪人ふう3人が



右京を遠巻きにし、刀に手を掛けた。




「やっちまいな」女は、やくざさながらの

口調で。





「正体を出しやがったな、女。


見られちゃ困るんだろ?」


金は、町人言葉に戻って。




「ほう。俺が討てるか?」右京は

刀に手も掛けず。




馬鹿にされたと、いきり立つ用心棒のひとり、

喚きながら金に飛び掛かるが


ひらり、とかわされ、川に落下。



囚われた子供達に笑顔が戻る。




金は「さ、お子、もう大丈夫だ。


縄を解いて。



子供達は、川向こうの

半の字のところへ。





おう、と


にやりと笑う右京。




そこに、騒ぎを耳にした

口入れの元締。




木戸から現れる。



「貴様は!」





右京は静かに太刀を抜き




「貧しき者を食い物にする悪党、

何故、真っ当に商いをせんのだ」






元締は憎らしげに「金を払っておる。

親御も承知だ」





右京は目を見開き


「見苦しいぞ。人買いは法度であろう。

お上の目は免れようと

俺は許さん。



迷わず地獄へ堕ちるがよい。」




白刃に怯む元締、恐怖に震え



「どうした、野郎共!やっちまえ」




半身に構えた右京の殺気。




用心棒も手が出ず。



一目散に逃げ出す。






「き、貴様ら!後で覚えてろ」と

元締は

震え刀を抜く。





金は笑い「お前に後はないわ」


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