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正邪
この役人だけでなく、汚職は
この頃の役人の常であったから
白河の清きに魚も棲みかねて
元の濁りの田沼恋しき
などと川柳にもあったように
その方が上手く事が進む場合も多かった。
今も昔も変わらないものだ。
しかし、侍の時代であるから
義憤に駆られてそうした悪人を葬る事も
しばし。
神隠し、などと言われているが
真実は、こんな状況である。
その真実を暴いたところで、一体
世の中が良くなるか、と言うと
そうでもない。
正しく、侍の世の中であれば
正義の刃は正しい事が多い。
なぜかと言えば、刀を抜くなら
自らの死をも意識しなくてはならないからだ。
正義とは、かくも凛々しきものだし
覚悟が必要なのだ。
つまり、近代で
正義が曖昧なのは
武力が封じられているからである。
人に何かを言えば、殺されるかもしれない。
そのくらいの覚悟がないと
言葉を発してはならないのだ。