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丸太

微妙に実話もあったりします。

「あらやだ……もうこんな時間」


 夜中の3時半も過ぎて、もう辺りはしんと静まり返っている。昔でいう所の丑三つ時も、本当に静かな事は飲み屋街も近いと中々少ない。とりあえずゴミを出してきて寝よう。そう決めて、パジャマのままゴミをまとめていそいそと外へ。


「寒くなってきたわねー……」


 思わず呟いてしまう程に寒く、そして静かで少し怖い。歩いて3分も無いゴミ捨て場まで体を寒さで丸めながら行くと、何故か丸太が置いてあった。ソファーにしたら丁度いい位のサイズ。しかもゴミ捨て場からちょっと離れた所に置いてある。


「粗大ゴミは、ちゃんと連絡しないとなのにね」


 自分も早朝にゴミは出す事というルールを破りかけているので、今は超早朝だと言い訳してゴミ捨て場のネットの中にゴミをぽい。さて帰ろうと振り返ると、目があった。


「どうも」

「どうも、こんばんは」


 丸太の上で、猫がキセルを吸ってこちらを見ていた。あれだ、夜更かししていた罰で、夢を見始めたのだろう。さっさと寝るに限る…。その割にはキセルから漂う香りはやけにはっきりしていた。


「お嬢さんや」

「え、あ、はい!」


 呆然としている私に話しかけてくる猫。あーこれアニメの見過ぎだわ。でも語尾がにゃんじゃないにゃん。


「とりあえず、こっちにかけて話さないかね」

「あの、えっと……。お茶いれてきます」


 私はそう言って逃げた……つもりだった。なのに、気付いたらミルクティーをコップに二つ入れて戻ってきてしまった。


「はい、ドーゾ」

「おぉ、こりゃいい茶葉を有り難く頂くと致します」


 丁寧な返事をいただきつつ、並んでお茶をすする。何で戻ってきたんだろうと思いつつ、腰に当っている猫の尻尾は気持ちよい。


「最近はワシらの姿を見る事の出来る人も少ないのじゃが、驚かない方とはこちらが驚いたですじゃ」

「はぁ」


 声も出なかっただけだけど、妙に気に入られた様だ。そのまま世間話が進み、やれ、あそこの家の猫はどうだとか、犬が最近しつけがなってないとか、狸が出たとか、畑の様子(庭の家庭菜園)はどうだとかまるで主婦の会話みたいになってきた。


「ふぅ。馳走になりました。また見かけた時はよろしくお願いします。悪い様にはしませんですじゃ」


 月の位置が変わって、結構いいお時間。気付けば私は布団の中で朝を迎えていた。


「夢だったのかな……? それにしてもリアルな」


 あくびしながらキッチンを見ればシンクに二人分のマグ。おぉ現実だった。ビバリアル。庭に水を撒きにいけば、畑のかぼちゃとサツマイモのつるが乱闘状態にまで成長していた。猫のおじいちゃん何したのよ。




 その日の晩は、夜中に目が覚めてしまって、お手洗いついでに何と無く外に出てみる。流石に二晩連続で何かはないでしょう、と出てみたら、おトイレ最中の狸と目が合う。


「あ、いやーさーせん」

「どうも」


 うちはそういう家になっていたのか。とりあえずトイレの始末はやって頂きました、まる。

何故かゴミ捨て場に丸太があったり、狸と目があったり、畑が暴走してるのは実話です…。

ゴーヤとバジルが、カボチャとさつまいもという腐海に飲まれていきました。

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