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西洋甲冑生試合どんどこどん

先日某所で行われたMMORPGのオフラインイベントのレポートです。ちょこちょこ内容は変えてますが、基本こんな感じでしたよー的な物です。登場人物二名は私の他の作品の二人ですが、気にしないで読めると思います。

 秋葉原某所へとやって来た二人。今日は、とあるオンラインゲームのイベントで、西洋甲冑を着込んで生の戦いをやる…という事で、勢い込んでやって来たのであった。


「暑い……」

 

「暑い……ですね」


 三連休の最終日で祝日の月曜日。普段はオフィス街でもある秋葉原は、土日ともなれば電気、そしてサブカルチャーの商品等を求め大量の人が集まる。さらにビルの冷房の排熱、人いきれ、真夏の暑さ、さらには街頭演説まで行われており、こういった物が混ざり合って、会場にたどり着く前に二人の体力はしっかりと削りとられた。


 ようやく会場にたどり着いたものの、何と入場は既に締め切られ、仕方なく会場の外から眺める事となってしまった。


「ガラス張りの会場で助かりましたねー」


「結構俺ら以外にも外から見てる人いるな」


 会場内は、鉄骨の様な物で、見た目もサイズもまさにボクシングリング並の空間が作られている。ただし、段差は無く端からゲートの様に開いて入る形の様だ。


「お、そろそろだ」


 貴婦人の格好に身をやつした女性が二名、リングの外側の角に立ち、騎士と従騎士が続々と中へと入る。音声は聞こえないが、挨拶と軽く紹介がされている様で、手を振り上げ観客にアピールをしている。数名はわざわざ会場に入れなかった外で見ている観客にまで両手をあげてアピールしてくれている。嬉しい心遣いである。


 いわゆるファンタジーに出て来るフルプレートメイルの騎士から、鎖帷子を中心に着込んでいる騎士。全員チュニック等もしっかりと着ており、まさに騎士の試合が目の前に。大柄な騎士が二名、中くらいの体格の騎士が二名、小柄に体格の騎士が二名と計六名の騎士がリングに入ると広さは余り余裕はない。


「あ、武器が」


 長い棒の先に刃物がついているロングポールや、バスタードソード、メイスが各人に渡される。革や木で出来た盾は、リング外に丁重に置かれた。


 そして……司会の女性の合図と共にリング内にいた6人がお互いに一斉に殴り始める。素手ではないが、武器でもって『殴りつける』という表現が相応しい戦い方だ。直ぐに体が小さい物から膝、背中をつく。そうなった者はそのまま負けとなる様で、まだ立っている騎士を求め、残った騎士同士で更に攻撃を続ける。やはりというべきか、身長が2m近くあった騎士が難無く勝ちを収めた。


「あれだけ高い所から打ち下ろされたら避けるしか出来なさそうだな……」


「私なら、初撃で負けますね」


 何故か薄い胸を張って誇らしげに言う相方をさておき、視線を会場に戻す。今度は盾を持った状態で戦う様だ。しっかりと手から抜けない様にバンドを握り、武器は構え合図を待つ。音が聞こえなくても緊張感が高まっていくのが分かる。サッと司会の女性が合図をし、戦いが始まったが先ほどの比ではなかった。リング囲ってある鉄骨からはみ出る程に振るわれたロングポールに近くで実況をしていた二人が慌てて身体を下げ、従騎士が急いで長い棒で、リングからはみ出ない様にそれらをカバーする。武器で殴るよりも、盾によって近距離から放たれた押し込みは、小柄な体型な者だけでなく大柄な騎士同士の戦いでも互いが大きく揺れる。と、対峙している二人の隙を見て中くらいの体型の騎士が横合いから振ったバスタードソードがメット部分にクリーンヒットし、大柄な騎士の一人がそのまま膝をつき動かなくなった。


「うわぁ……斬るよりも叩くだなぁ…やっぱり。てかシールドバッシュじゃん……あれ」


「大丈夫ですかね? 綺麗に入っちゃいましたよ」


 婦人の格好をしたスタッフが慌てて氷冷剤を用意している。倒れた騎士は端に移動すると邪魔にならない様に兜を脱ぐ。兜の下に、頭全体から首までを覆う鎖で出来た帽子の様な物をつけていたが、衝撃は完全に貫通した様で、頭を抑え目は宙を見ていた。


 リング内では中くらいの体格の騎士と、大柄な騎士が最後の相手と、睨み合っており、中くらいの体格の側が速度で撹乱をしていたが、やはり高い位置から繰り出された盾とメイスの連撃で背中から倒れてしまった。


「おー決まったなぁ」


「やっぱり体格が勝敗を分けますね」


 最後まで残った騎士が勝利をアピールし、戦いは終わりを迎えた。




 会場を離れ、有名なロボットアニメのカフェで涼みながら二人で感想を話し合う。


「西洋の戦いってメインは殴り、押すって感じでしたね」


「何かプロレスとかボクシングを見ていた様だったなー」


 手元のコーヒーに泡で書かれた丸っこいキャラクターの顔を壊さない様にして飲みながら話を続ける。


「今回の戦いのルールだと『突き』が無かったけど、実戦だと転ばせるか、まず叩きつけて面頬の隙間から刺したら終わるな…。突きを入れて距離も取れそうだし。後、金属の甲冑だけど動きは軽いし、斬撃は表面が丸みを帯びてるとしっかりと受け流せるみたいだな」


「ねー。軽やかでしたね。バスタードソードよりも、金属で固めたメイスの方が効いてましたしね。あ、半分食べたからあげます」


 ロボットの形をした人形焼は無残に上半身を食べられていた。


「これはパイロットも脱出が出来ないな…。あんこ美味い。そういや、前にさ俺が見たやつだと、戦いの前に貴婦人に誓いを立ててさ、それで戦いの結果を見ていた貴婦人が審査してさ、それで渡されたリボンの数で勝敗決めてたなー。ダガーだけで戦います! とか、一撃も食らわずに倒しますとか」


「まぁ色々なルールがあるんでしょうねぇ。馬上試合も見てみたいですねー。あ、馬といえば、これの角の人参貰います」


 赤く彩られ、綺麗な形をしていたご飯から角が取られ、ただの赤いだけのご飯になる


「三倍速く動けなくなるじゃないか! 白いの貰うからな……」


 主人公のキャラクターや搭乗していたロボットを象ったご飯を手元から離さずに、二人の会話は続いていった。

やはり、斬るよりも打撃でダメージという感じが非常に強かったです。多分、会場内で見ていたら音で迫力が相当増していたと思われます。

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