魔法に魅せられて
昔々
あるところにシンデレラという女の子がいました
その子はとても器量よしなのに、いつもボロを着て、いじわるな継母と義姉達にいつもいじめられていました
「ちょっとシンデレラ!!ここにゴミが落ちているわよ!!早く拾ってちょうだい!!」
「シンデレラ!!私の美しい髪をとかしてちょうだい!!」
「シンデレラ!!夕食はまだできていないの!?早く作ってちょうだい!!」
それはそれは忙しいシンデレラ
毎日毎日継母と義姉達の命令で働いてばかりいました
今日はお城の舞踏会
舞踏会に来た女性達の中から王子様の花嫁を選ぶのですから、義姉達は大張り切り
いつも以上に綺麗に派手に着飾って出かけて行きました
もちろんシンデレラはお留守番
掃除やら洗濯やらを押しつけられていました
掃除やら洗濯やらを終えたシンデレラ
ふと窓の外を見ると、お城が見えました
「ああ…私も舞踏会に行きたいなぁ…」
ぽつりと本音がこぼれました
でも着て行くドレスも靴もありません
「はぁ…」
シンデレラが１人ため息をついた時
「ああかわいそうなシンデレラ。僕が願いを叶えてあげましょう」
シンデレラの目の前に現れたのは１人の男の魔法使いでした
彼はシンデレラにカボチャを１つと、ネズミを４匹用意するように言い、シンデレラは急いでその通りのものを持って来ました
すると、まあ不思議
カボチャは素敵な馬車に、ネズミは綺麗な服を着た御者になりました
次に魔法使いはシンデレラにも魔法をかけました
すると、シンデレラのボロの服は素敵なドレスに変わりました
「さあ、これを履いてお行き」
そう言って魔法使いはガラスの靴を差し出しました
「まあ、魔法使いさんありがとう」
「いいかい、１２時になったら戻ってくるんだよ。でないと魔法が解けてしまうからね」
シンデレラは魔法使いにお礼を言って、カボチャの馬車に乗って舞踏会へ向かいました
舞踏会
気の進まない王子様
笑顔で女性達の相手をしていましたが、疲れてしまいました
その時、入り口から入ってきた女性に目がとまりました
シンデレラです
一目で恋に落ちた王子様
さっそくシンデレラに近づきました
「もしもし、そこのお嬢さん、僕と踊っていただけませんか？」
王子様に声をかけられて驚いたシンデレラ
はにかみつつも頷きました
優雅な音楽の流れる中、シンデレラは王子様と踊っていました
周りの女性達は悔しそう
「ダンス、お上手ですね」
「い、いえ…」
すっかりシンデレラにぞっこんの王子様
甘い言葉を囁きますが、シンデレラの頭の中には別の人がうかんでいました
「私やっぱり…」
「え？」
「…ごめんなさい!!私…私帰ります!!」
「え!?あ、あの!!」
王子様が止めるのも聞かず、シンデレラは走り出しました
ドレスの裾が足にまとわりついて走りづらいです
靴が脱げても、シンデレラは必死に走りました
そして、あの人を探しました
「いた…」
探し人はシンデレラの家のテラスに座って月を見ていました
「魔法使いさん!!」
声をかけると、彼はとても驚いた顔をしました
「シンデレラ？まだ１２時まで時間があるよ？」
「魔法使いさん!!私…私っ…」
「？」
「私、魔法使いさんが好きです!!王子様よりも、誰よりも!!」
シンデレラは、シンデレラに一目惚れした王子様のように、魔法使いさんに一目惚れしていました
格好いい王子様ではなく、優しい魔法使いさんに
同じく、魔法使いさんもシンデレラに一目惚れをしていました
だからこそ彼女の願いを叶えてあげよう、と、彼女の前に現れたのでした
月明かりの中、２つの影が仲良く寄り添って月を眺めていました
そして次の朝、義姉達が戻ってきた時、シンデレラはどこにもいませんでした
王子様がシンデレラの落としていった靴を頼りに、彼女を探しに来ても、シンデレラはどこにもいませんでした
――ねえ、お母さん、ぼく昨日の夜すごいものを見たんだ…。知りたい？
――あのね、ぼく魔法使いを見たの。ホウキに乗って飛んでいたの。一緒にお姫様みたいな女の人も乗ってたんだ
――すごいでしょ？
楽しんでいただけたでしょうか!?
もしシンデレラと魔法使いさんが結ばれたらどうだろう…と思って書きました
楽しんでいただければ嬉しいです
