プロローグ
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人間 対 竜。
通常であるなら、その勝負の行方は明らかだ。
魔獣の代表格であるような竜に普通の人間が勝てる訳がない。
しかしながら、その人間が普通の人間ではなかった場合、勝敗が変わる事もある。
戦う事に長けた人間―――戦士や魔法使いであった場合、その腕前によっては勝つことも不可能ではない。
もっともそれは竜の種類によっても言えることではあるが。
一口に竜と言っても、ピンからキリまである。
中級に属するものなら個人での勝利は可能である。
過去にも、それなりの実例がある。
しかし、それが上級に属するものであるならば、個人での勝利は絶望的になる。
数人のパーティーを組み、少なくない犠牲を出しながら、その果てに倒すことが可能になる。
こちらもパーティーであるなら、いくつかの実例がある。
どちらにしても、竜とは容易に倒せる相手ではなく、その打倒者は竜殺しと呼ばれ称えられる存在である。
どこぞのナレーションが彼女の頭を流れていく。
それは少なくともこの世界の常識であるし、真実と言ってもいい内容だ。
世間一般的には。
そう、それは世間一般的な話であって、彼女の認識には合わない。
より正確に言うなら、何事にも例外はつきものだと言う事だ。
と言うか、現在進行形で世界の常識は破壊されつつある。
人間 対 竜。
人間が無傷。
竜が瀕死。
ちなみに、人間は男性1人だけ。
竜は上級の下ぐらい。
世間の常識からいえば、間違った光景ではあったが彼女に驚きはない。
ただ、不条理感があるだけで。
ある意味、それさえも今更ではあるが。
彼女としても伊達で彼の相棒をしている訳ではない。
人間は慣れる生き物なのだ。
それどころか、それなりの年月一緒にいる事もあり、うっかりすると彼女の常識の方が書き換わりかねない。
いやいや、それはマズイ。
自分が常識を手放したら、誰が彼を止めてくれるのか?
それ故に、彼女は何が何でも常識を手放せない。
多分、彼女が常識を手放したら、終わる。
何とは言えないが、何かが終わる。
それから数分後。
勝負はついた。
結果?
言うまでもなく、彼の完全勝利である。
さらに付け加えるなら、かすり傷程度しか負っていない。
何かが間違っている。
彼女の名はローザ・イルルシュターニ。
彼の名はミカエル・ローシェリア。
これは限りなく最強に近いミカエルとその相棒ローザの物語である。
連載始めてしまいました。
行き当たりばったりの連載ですが、どうぞお楽しみください。