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重要な伏線の話だと思ったが、よくよく考えるとあれいらなくね? と思ったが3000文字くらい書いてしまった後なので投稿……。

色々とご都合主義ですがお許しください……。

 あの大勝利から数日、その勝利の噂を聞きつけ、解放軍の城には多くの志願兵が訪れるようになっていっていた。

 その勢いのまま、拠点となる大陸東北端の城から、丁度大陸のど真ん中付近に当たる大陸中部まで進行し魔物の討伐を繰り返す解放軍。

 ナオヤが解放軍に加わってから約一ヶ月、解放軍発足以来の異例の侵攻速度であった。

 行く先々の村で志願兵を加え解放軍の規模はさらに増大し飛躍していく。

 このまま解放軍は大陸中部から中南部へと侵攻を図ろうと思惑していたが問題が発生する。

 大陸中南部の城を拠点に大規模な魔物の軍団が巣食っていたのだ。

 村に被害が出る前に一刻も早く討伐しなければといきりたつ解放軍の人々。

 だがそんな解放軍にフレンが待ったをかける。

 まだその城の情報にも乏しく、戦力的にも厳しいと判断したからだ。

 もっともナオヤやヴォルドに倒せぬ魔物など現時点では存在しなかったが、二人にばかりあまり負担はかけさせたくないと言うフレンなりの考慮でもある。

 このフレンの判断に少なからず不満の声(特にヴィン)もあったが皆それぞれ承諾をした。

 そしてフレンが作戦を考え、軍備拡大を図る中、皆それぞれ鍛錬に勤しんだりと思い思いの時間を過ごす。

 ナオヤも次なる大規模な戦闘に備え、エルナやヴォルド、ヴィンなどと一緒に訓練に励みを見せていた。


 そんなある日の、晴れやかな早朝。


「ん?……」


 ナオヤは腹部の上に重みを感じ目を覚ます。


「あ、やっと起きた……」


 目を開けたナオヤが見たものは、足を開き布団の上に乗っかっているミーシャの姿であった。

 無表情でナオヤの目を見るミーシャ。

 同じく自体が飲み込めずミーシャの目を見たままナオヤは硬直する。


「昼、私の部屋に来て……」


 見つめあう事ほんの数秒。

 ミーシャがポツリと一言そうつぶやく。


「え?」


 その言葉を理解できず今だに驚いたまま硬直するナオヤ。

 驚くナオヤをよそにベッドを降りミーシャは「それじゃ」と部屋を開け出て行く。

 上半身を起こしただ呆然とするナオヤ。

 考えても仕方がないので体を起こしとりあえず朝食へと向かう事にする。



 そして昼時、ナオヤ達と同じ三階にあるミーシャの私室。

 その一室の前にナオヤは少し緊張した趣で部屋の前へとたたずむ。

 この日、初めてミーシャの部屋を訪ねるためであった。


「ミーシャ入るよ」


 緊張を残したまま部屋をノックするナオヤ。


「ん……」

 と部屋の中から代わり映えのしないミーシャの声がする。


 それを聞きナオヤは部屋の扉をゆっくりと開ける。

 部屋の中の家具などはナオヤの部屋と同じものであり、さほど変わらない空間であった。

 部屋にはミーシャとミアが足を崩して正座をし隣同士に座っていた。

 そのミーシャの隣には何やらピクニックに持っていくようなバスケットが置かれていた。


「パパッ!」

 

「あ、ミア。どうしてここに?」


 ナオヤの足元へと元気良く駆け寄ってくるミア。

 そのミアの頭をナオヤは前かがみになり優しく撫でてあげる。


「うん! ミーシャお姉ちゃんがピクニックに行こうって!」


「ん、これ私が作った」


「なるほど」

 

 そう言いミーシャはバスケットの手に置く。

 中にはミーシャが作った手料理が入っているのであろう。

 朝のナオヤに対しての態度は彼女なりの緊張の表れだったのだろうか。


「それじゃ、さっそく外に行こうか!」


「うんっ!」


 ミアが力強く頷き、ミーシャもコクリと小さく頷く。

 そうしてバスケットを手にナオヤ達三人は城の外へと向かう事にした。





 お昼時、晴れ晴れとした雲ひとつない快晴。

 ナオヤ達は前に行った事のある丘へと向かう事にした。


 ミアの両手にはバスケットが握られ、ミーシャの右手には木の杖があり、ナオヤの右手には用心のために魔剣が握られていた。

 片手しか使えなくミアにバスケットを持たせてしまう事に申し訳なくなりナオヤは謝ったが、ミアは「気にしないで♪」とナオヤへと笑顔で振り返り、特に気にした様子を見せていなかった。

 うっすらと生い茂る森を抜け、あの気高い丘がナオヤ達の目に入ってくる。



 気高い丘の上のてっぺんにのぼり、武器を置いてバスケットの中から赤い敷物を取り出し広げるナオヤ達。

 敷物の上に座りバスケットをミーシャは両手で開け、中にある重箱のふたを取る。


「うわぁ――」


 感嘆の声を上げバスケットを覗き込むナオヤ。

 その視線の先には様々な色鮮やかな料理の数々が並べられていた。

 とても最近料理を作り始めたとは思えないぐらい精巧であり、ミーシャの並々ならぬ努力が伺えた。


「すごいね、ミーシャ!」


「うん! ミーシャお姉ちゃんすごいね!」


「ん……」


 と変わらない返事をし無表情のミーシャだが、その顔はどこか少し自慢げであった。

 そんなミーシャの頭をナオヤは優しく撫でてあげる。


「それじゃ、食べようか!」


「うんっ!」


 三人で両手を合わせ、頭を下げて箸を手に取る。

 色とりどりな料理を前に目移りし箸を持ち上げたまま固まってしまうナオヤ。

 そんなナオヤの顔の前にからあげと思わしきものを掴みミーシャは箸を出す。


(これは食べろって事かな……)

 

 顔を上げ差し出されたからあげへと目をやるナオヤ。

 気恥ずかしいものもあってかそれを見たまま硬直してしまう。

 固まるナオヤに「ん……」とミーシャはさらに箸を前に強く出す。

 ミーシャの気迫に負け、ナオヤは顔を前に出しゆっくりとそれを口にする。

 ナオヤの口の中に広がる確かな歯ごたえと旨み。

 少ししょっぱい感じもしたが特に生でも焦げているわけでもなく十分すぎるおいしさであった。


「ミーシャ、おいしいよ」


 ナオヤはミーシャの顔を見て素直な感想を述べる。


「ん、よかった」


 箸を引いたミーシャは相変わらずな無表情であったがどこか少し嬉しげな顔。


「ミーシャお姉ちゃんずる~い!」


 そんな二人のやり取りを見ていたミアが両膝に手を置き、叫び声を上げる。

 意外に焼きもちなのであろうか? その頬はどこか赤かった。


「私も!」


 そう言いミアもナオヤの顔の前へと料理を掴み差し出す。

 ナオヤへと期待の目をよせるミア。

 輝いた目で見るミアを見て、ナオヤは断れるはずもなく黙ってそれを口に運んだ。

 別の料理であったが先ほどと変わらず、口の中に広がるおいしさ。

 ナオヤが料理を口に入れるのを見て、ミアは満足げな顔をして腰を引く。


「むっ」


 それを見たミーシャが少しムッとした表情を見せる。

 また料理を箸で掴みミーシャはナオヤの口へと運ぶ。

 それに負けじと今度はミアがナオヤの口へと運ぶ。

 二人とも負けず嫌いなのか交互にナオヤの口へ淡々と運ばれていく料理。

 二人の気迫に押されナオヤは苦笑いを浮かべ差し出される料理をただひたすら黙々と口にする。

 二段目まであった重箱の料理はこうしてナオヤの胃の中へとほとんど消えていった――――。



 


 そして二段重ねの重箱にぎっしりと詰められていた料理は、わずか短時間ですべて食べ尽くされた。

 そのほとんどを食べたとされるナオヤは、どったりと敷物の上へと倒れこむように仰向けになる。

 もはや一歩も動けず、食べれないといった感じの状態であった。


「あはは……ごめん、パパ」


「ごめん、ナオヤ……」


 さすがに悪いと思ったのであろう。

 二人がナオヤへと申し訳なさそうに謝る。


「ううん、気にしないで、それにミーシャの料理はおいしかったからね」


 そう言いナオヤはゆっくりと上半身を起こす。

 そのままミーシャへと笑みを向け頭を優しく撫でてあげる。

 頭を撫でられるミーシャは少し笑みを見せ嬉しげであった。

 それから三人はしばしの休憩をとった後、城へと戻ることにする――――。


 

 時刻は正午過ぎといったとこであろうか。

 うっすらと生い茂る森の中、三人はゆっくりと城へと向けて歩く。

 この森を抜ければ、城が見えおおよそ十五分くらいといった距離だ。

 このまま何事もなく城へと到着すると思われていたが思わぬトラブルが発生する。


 歩いていたナオヤ達の周りの茂みが不意に揺れ始める。

 野生動物か何かかと思っていたがそれは想像とはまったく違うものであった。

 茂みから一斉に複数飛び出すその姿、それは魔物であった。

 

「――くっ! まだこんなところにいたのか!」


 油断しきっていたナオヤだが咄嗟に剣を胸のあたりに構える。

 怯えるミアの前に立ちナオヤは襲い来る魔物へと剣を振るう。

 魔物は大した強さではなく、ナオヤの足元にも及ばぬほどの強さであった。

 襲い来る魔物を確実に切り伏せるナオヤ。

 だがここで思わぬ事態が発生する。

 それはこの戦いがミア達を守りながらの戦いであったからこそである。

 ナオヤの目の前に魔物が迫り来ると同時に離れた横のとこにいたミーシャにも飛び掛る魔物。


「――っ! ミーシャ!」


 ミアへと迫り来る魔物を切り伏せナオヤは慌ててミーシャの方へと向かおうとする。

 だが間に合いそうになく魔物はミーシャへと爪を振り下ろそうとしていた。

 絶体絶命の瞬間。

 ナオヤがそう思っていた矢先、何者かの刃が空を斬る。

 それと同時に魔物の胴が斬れ、血を流し地面へと倒れこむ。

 その刃の主は襲われそうになっていたミーシャ本人であった。

 ミーシャの右手には丸まった杖の上部を持ち、その下には木の棒の部分がなく黒光りする刃。

 仕込み杖と言うやつであろうか、ミーシャの左手には木の棒の部分が握られていた。


 一瞬の出来事に事態が飲み込めず、驚き硬直し立ち尽くすナオヤ。

 そんなナオヤをよそに、驚かせた当の本人であるミーシャは杖をかかげ、なにやら刃の部分を見ながらとても嬉しそうな表情であった。


 魔物が姿を消し静寂を取り戻した森の中でナオヤが硬直すること数秒。


「い、今のミーシャがやったんだよね? ていうかその物騒なものは何?……」


 我へと帰ったナオヤは真っ先に思った疑問をミーシャへとぶつける。


「ん、みんなが戦っているのをみて、私も作ってもらった」


 ミーシャが口数少なげにナオヤへとそう言う。

 つまりナオヤ達が戦っているの見てミーシャも戦ってみたくなったということであろうか。

 ミーシャの意外な剣の才能を垣間見たナオヤであった。

 

 今だ驚いた様子のまま立ち尽くすナオヤをよそに、ミーシャは再び刃の部分へと目をやり恍惚の表情となる。

 その時ミーシャの背中越しの茂みでガサガサと不穏な音を立てる。


「――っ! 危ない!」


 それを危険だと感じ考えるのよりも先に体が動くナオヤ。

 魔剣を手放し前へと飛び込み右手でミーシャを抱え込むようにして地面へ倒れこむ。

 倒れこむナオヤの背中に、茂みから現れたワーウルフの振り上げた爪が突き刺さる。

 マントを切り裂き、ナオヤの背中へとじんわりとした熱さが生じ急激に激痛が走りだす。


「くっ!――!」


 ここで意識を失ってはいけないと思いつつも、その激痛に耐えかねナオヤの意識は暗い闇の中へと消えていった――――。






「ここは?! っ痛!」


 布団を跳ね除け勢い良く起き上がるナオヤ。

 そこはナオヤの自室と思われる場所であった。

 三時間ぐらい寝ていたのであろう、窓辺からは夕日が差し込んでいた。

 背中にかすかに走る痛みを感じ、ナオヤはあの出来事が夢ではないことを認識する。


「あんまり動かないで……」


 ナオヤの耳元へと入ってくるミーシャの声。

 ナオヤが視線をやるとそこにはベッドの横に椅子を置き、杖を手に持ち座るミーシャの姿があった。


「ミーシャ無事だったんだね!」


 心配そうな声を上げるナオヤに「ん……」と相変わらずの素っ気無い返事をミーシャは返す。


「それであれからどうしたの?」


「私が魔物を倒して、ミアがヴォルドさんを呼びに言った」


「なるほど」


 手短にナオヤへと説明するミーシャ。

 ミーシャが剣を振るう姿は想像しにくかったがナオヤはその話に納得し頷く。

 

「けど、これでしばらくはむやみな外出は禁止かな~」


「うん、残念……」


 ミーシャがさらに声のトーンを落とし残念そうにする。

 まだ魔物が出る可能性があるという以上そうなるであろう。

 それにもしミーシャが剣を持っていなければと考えると、ナオヤにはゾッとするものがあった。


「あ、それとこれは助けてくれたお礼……」


「えっ?――」


 驚くナオヤの頬に伝わるほんのりとした温もりと柔らかな感触。

 ナオヤの顔の横には頬へと目を閉じ軽くキスをするミーシャの姿があった。

 心臓の鼓動が早まり、一瞬の出来事に今日何度目かわからぬ驚きの表情を見せナオヤは硬直する。

 ナオヤの頬に唇が触れる事数秒。

 ミーシャはゆっくりと目を開け、唇を離しベッドの前にたたずむ。

 その顔は照れているのか緊張しているのかもわからない相変わらずの無表情。

 そしてミーシャは「それじゃ」と言い、振り返ってあっさりと部屋から出て行く。


 嵐のように去っていったミーシャ。

 残されたナオヤは彼女が出て行った扉の方向を思考が停止したまま呆然と見続ける。

 そのままエルナが夕飯へと呼びに来るまでナオヤは硬直し続けていた――――。


うう文才ねぇ……。

何はともあれこんな話でも読んでくださった方々に感謝です!。


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