表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/17

防衛戦

 この日、フレンに城の留守を任せ、村の近くに魔物の群れが現れたと言う噂を聞きつけ、その魔物の討伐へと来ていたナオヤ達。

 だが魔物の数は予想以上に多く、苦戦はしないものの体力の消耗が激しく感じられていた。

 この魔物の多さに不穏なものを感じたエルナは、一人フレンへと報告に行く事を決め城へと戻ることへとする。

 残されたナオヤ、ヴォルド、ヴィンそれとミーシャと残された解放軍達は、柵に覆われた村の前の広々とした平原の上で、魔物の討伐へと全力で当たっていた。


「うおらぁぁ!」


 戦う解放軍の間を通り抜け、ヴィンが一人奥にいる魔物の集団の中へと二本の剣を持ち斬りこんで行く。


「あんまり無茶すんじゃねぇぞ」


「わかってますって~!」


 その後ろのほうで戦っているヴォルドが、両手に持った剣で魔物の胴を横に切りつけながらヴィンの方へと顔を向け注意する。

 ヴィンがヴォルドに背中を向け魔物を斬りつけつつ適当な返事を返す。

 そのまま魔物を斬りつけながら平原の中にある薄っすらとした森の中へと消え、姿が見えなくなる。


「はぁ~本当にわかっているのかね……」


「あははっ……まぁヴィンなら何があっても死にそうにないですけどね」


 ヴォルドがため息をつきながら両手で剣を振るい、魔物を斬り捨てていく。

 その後ろで背中合わせにするようにして魔物を斬りながら苦笑の笑みを浮かべるナオヤ。

 数は多いものの解放軍の手により何事もなく魔物の数は着実に減っていった。

 そしてそれぞれ魔物を倒し終え、村の入り口へと散らばって戦っていた解放軍の人々が集結をし無事を確認しあう。

 だがヴィンの姿だけが見えず、あまり心配ではなかったがナオヤは首を傾げ辺りを見回す。


「ひぃぃ~! 兄貴、なんすかあれ~!!」


 姿の見えなかったヴィンが不意に森の中から勢い良く現れ、両手を振り叫びながらナオヤ達の方へと全力で逃げるように走ってくる。

 そのヴィンの後ろからは全長3m以上、翼を入れず胴体だけで大人4人分以上の横幅はあるであろう、赤い鱗に覆われた巨大な生き物が大きな翼を広げ追いかけてきていた。

 その姿に解放軍の注目が集まり、どよめきが起きる。


「なんだありゃ?! ドラゴンか?!」


「ドラゴン?」


 珍しく驚いた表情を見せるヴォルドが、そのドラゴンと言う生き物の顔をまじまじと見上げそう言う。


「ああ魔物でもかなり珍しい方だな、俺も初めて見るぜ」


「へぇ~」


 感心しているナオヤをよそに、ヴィンを追いかけている首を上げなにやら大きく息を吸い込む。

 そして首を勢い良く振り下ろし、その口から火の玉が勢い良く吐き出されヴィンへと向かって一直線に飛んでいく。


「ひぃぃ~!!」


「くっ!――」


 逃げながら顔だけ後ろへと振り向かせ、火の玉が近づいてきているのを確認して、逃げる速度を慌てて上げるヴィン。

 それでも避けられるものではないと思ったナオヤは、慌てて火の玉とヴィンの背中の間に一瞬で飛び入り、その迫り来る火の玉を右手で剣を振るい、右斜め上空へと弾き飛ばす。

 

「おおー! さすがだぜ兄貴! 助かりやした!」


 ヴィンが前にいるナオヤの方へと足を止め振り返り、軽く頭を下げ礼を言う。


「ヴィン下がってて!」


「うっす! 気をつけてくだせぇ兄貴!」


 ヴィンがその場にいても邪魔になると思ったのであろう、すんなりとナオヤの後方へと駆けて行きヴォルドや他の解放軍達と戦いを見守る事にする。

 残されたナオヤは立ち止まり視線を送るドラゴンと、睨みあい剣を右手に持ち立ち尽くす。


「てやぁぁぁ!」


 地面を強く蹴り前方へと大きくジャンプし、ナオヤはドラゴンの大きな胴へと向け剣を勢い良く振り下ろす。

 普通の魔物なら一撃で斬り伏せられるであろう一撃だったが、ナオヤの剣は大きく空を斬りバランスを崩しながら地面へと着地する。


「なっ!」


「グオオオオーー!!」


 どこへ消えたのかと驚き困惑し、辺りを見回すナオヤの前方上空で獣の咆哮が聞こえる。

 ナオヤが顔をあげ上空を見上げると、そこには悠々とホバーリングしながら浮いているドラゴンの姿があった。

 さすがに剣が届かず、ナオヤは上空を見上げ立ち尽くす他なかった。

 そんなナオヤへとドラゴンは息を大きく吸い込んだ後、火の玉を連続して吐き出し続ける。


「――っ! どうすれば……」


 ナオヤは上空を見上げ迫ってくる火の玉をひたすら剣で弾き続ける。

 そんな事を平然とやってのけている時点ですでに人間離れしているナオヤであったが、何とかして攻撃を当てられないかと必死になって考え続ける。

 だが大して何も考えが浮かばず体力だけが削られていき、腕が重くなり剣を振るうスピードが段々と落ちつつあるのが伺えた。


「くっ! これならどうだ化け物が!」


 このままでは危ないと感じたヴィンがナオヤの右前へと駆け出てくる。

 そして二本あった剣のうちの一本を地面へと置き、残された一本の剣の刃の部分を左手で持ち、上空のドラゴンを見上げ、右手で勢い良く押しドラゴンへと向け垂直に飛ばす。


「グァァァァァァ!」


 届くはずもないと思われていた一撃であったが、剣は垂直にそのまま上空へと飛んでいき、偶然にもドラゴンの右翼へと勢い良く突き刺さり貫通する。


「何て無茶苦茶な……」


 ナオヤは最後の一つと思われる火の玉を弾き飛ばし、そのヴィンの無茶苦茶な行動に少し呆れた表情を浮かべ上空を見上げる。

 そこには無残にも右翼に剣が突き刺さったドラゴンが、よろめきながらゆっくりと高度を落としつつあった。


「今ですぜ! 兄貴!」


「あ、うんっ!」


 あっけにとられていたナオヤだが、ヴィンの言葉で我へと帰り地面を強く蹴り上空へと舞い上がる。

 常人をはるかに超えた跳躍力を見せ、よろめき落ちつつあるドラゴンの顔の前へと不意に現れ、ナオヤは右手の剣を勢い良く縦へと振り素早く斬りつける。


「グァァァァァァ!」


 眉間を斬りつけられたドラゴンが断末魔のような叫び声を上げ、急激に高度を下げ落下し始める。


「はぁはぁはぁ……」


 ナオヤがドラゴンより先に地面へと着地し剣を地面へと立て、膝をついてうつむき呼吸を乱す。

 そのナオヤの表情からは消耗しきった相当な疲労が隠せないほどに伺えた。


「さすがだぜっ兄貴!」


 ヴィンがナオヤの前へと喜んで立ち尽くし右拳を握り締めガッツポーズをする。


「ヴィン、そこ危ないよ!」


「へっ? ぐはぁぁぁ!」


 ナオヤが顔を上げヴィンへと慌てて注意をする。

 ヴィンがナオヤの言葉を聞き、疑問符を浮かべ上空を見上げる。

 だが時すでに遅く、ヴィンの上から先ほどのドラゴンの死体が落ちてきて、見上げるヴィンの上へとのしかかるように落ちつぶされる。



 ――――


 ナオヤ、ヴィンを含めた解放軍全員が柵に覆われた村の北の入り口へと集結し無事を確認しあう。

 時刻は午後三時といったところだろうか、エルナが城へ戻ってからだいぶ経ち、正午を回っていた。

 

「無駄なことさせないで……」


「あだっ! すんません……」


 ヴォルドによってドラゴンの下から引きずり出されたヴィンがダメージを負い、解放軍の人々の一番後ろで地面へと寝転び仰向けになっていた。

 ミーシャがヴィンの隣へと正座し無駄な治療をさせられる事に少し不機嫌となり、木で出来た杖を右手に持ちヴィンの頭を振りかぶって殴る。

 その後、ミーシャが不服そうな顔をしながらも、ヴィンの体の上へと杖をかざし、しぶしぶ治療を始める。


「ナオヤは大丈夫?」


「うん、僕は大丈夫だよ、ちょっと疲労が激しいけどね」


「そう、よかった」


 ミーシャが右手をかざしながらヴィンの足元近くへと立っていたナオヤの方へと顔をやり見上げる。

 ナオヤはミーシャへと笑みを見せ、腕を上げて無事であることをアピールする。

 それを聞いたミーシャが意味深な言葉を残し、またヴィンの方へと無表情のまま治療を再開する。


「ありがとうございます、魔物を討伐していただいて」


「いえいえ、お安い御用ですぜ、俺よりも後ろの坊主に言ってやってください」


 解放軍の人々の一番前へと立っていたヴォルドへと、ゆっくりと杖をつき歩み寄って来て頭を下げる小柄な村長。

 ヴォルドが村長の言葉を笑みを浮かべ軽く受け流し、後ろにいるナオヤのもとへと誘導する。


「ありがとうございます、救世主様」


「そ、そんな大そうな人じゃありませんって! 僕は!」


 ナオヤの左横へと立ち村長が深々とナオヤへと頭を下げる。

 そんな村長の方を見てナオヤが慌てて首を横に振り否定をする。


「あ、少しこの村で休ませてもらってもよろしいですかね? また魔物が襲ってくるかもしれませんし」


「はい、ぜひくつろいでいってください」


 村長の後ろに立っていたヴォルドがそう村長へと頼み込む。

 村長がヴォルドの方へと振り返りその頼みを快く承諾する。

 そして村の入り口にとどまっていた解放軍が村の中へと入り、地面へと腰を下ろして武器を置くなど各自それぞれ休息へと入る。


「何かまだ嫌な感じがするぜ、こりゃフレン達と早めに合流した方がいいかもな」


「そうですね……」


 ヴォルドとナオヤが向かい合って武器を置いて地面へと座り、ヴォルドが空を見上げけわしい顔をしてそうつぶやく。

 その言葉を予期するかのように村にはまだ不穏な空気が続いており、今まで晴れ渡っていた青空が雨雲で覆われ、太陽が覆いつくされ空が雨雲で真っ黒となる。


「大変だ~!!」


 その時、村の外の平原から村の若い衆と思われる男が慌てて村の中へと駆け寄ってきて視線が集まる。


「はぁはぁ……南の方からこの村に大量の魔物が近づいてきている!」


 村の南口から入ってきた男がヴォルドとナオヤの前にうつむいて膝に手をつき息を切らしながらそうつぶやく。

 男の言葉を耳にした解放軍と村人の間にどよめきが起こり俄然騒がしくなる。


「ちっ! 嫌な予感が当たっちまったぜ!」


 ヴォルドが舌打ちをし顔をこわばらせ剣を右手に持ち勢い良く立ち上がる。


「うろたえるんじゃねぇ行くぞお前ら! フレン達と合流するまで村を守り通すんだ!」


 ヴォルドが解放軍の方へと顔だけ振り向かせ一喝する。

 そして息を切らしうつむく男の横を通り抜け、剣を片手に率先して村の南口から出始める。

 その後をナオヤと一喝され目に闘志を宿した解放軍の人達が、武器を手に立ち上がり追いかけてゆく。


 村の南口の前に武器を手に持ち、前を見据えて立ち尽くす解放軍の人々。

 そのさらに前では左からヴィン、ナオヤ、ヴォルドの順に前を見据え立ち尽くしていた。

 そして三人の視線の先には五十以上はいるであろう魔物が群れをなし横に広がり、村の方へと駆け寄ってきていた。

 魔物の足音だけで地響きがなり、ナオヤ達へとひしひしと伝わってくる。

 


「おいナオヤ、ヴィンまだ戦えるか?」


 ヴォルドが剣を両手で持ち、左を向いてナオヤ達へと視線をやる。


「もちろんですぜヴォルドの旦那!」


「うん、僕もまだ戦えますよヴォルドさん!」


 剣をそれぞれ持ち前を見据えて力、強い返事を返すナオヤとヴィン。

 もちろん二人とも先ほどの戦闘の疲労が抜けきったわけではないが、戦うほかなかった。


「よし俺が右の魔物を担当する、ヴィンは左をナオヤは右の魔物を頼む! あとのやつらは村の入り口を固め俺たちが取りこぼした魔物を頼む!」


『はい!!』


 ヴォルドの支持にその場にいる全員が力強く返事をする。

 この危機的状況の中でも士気が落ちているものは誰一人とていなかった。


「よし行くぞ、てめえら絶対に死ぬんじゃねぇぞ! 解放軍の底力を見せ付けてやるんだ!」


『おーーー!!』


 ヴォルドのその言葉に全員が武器を掲げ、叫び声を上げ士気を高める。

 そして一番最初に武器を両手に持ちヴォルドが魔物の中へと斬りこんで行く。

 その後追うようにナオヤとヴィンも魔物の群れの中へと斬りこんで行きそれぞれ戦闘が始まり、戦いの火蓋が切って落とされる。


「はぁぁぁぁ!!」


 正面を向いて剣を右手で持ち、右に振るい複数の魔物を同時に素早く切りつけるナオヤ。

 そのナオヤの後ろから振り下ろされる魔物の爪を右斜め後ろへと飛びよけ、爪を振り下ろしバランスを崩している魔物の方を向き横腹へとナオヤは剣を深く突き刺す。

 そしてすぐさま正面から迫り来る大量の魔物の方へと体と視線を戻し、剣をまた勢い良く右に振るい複数の魔物の体を斬り付け、ナオヤの顔の前に紫の血飛沫が飛び上がる。

 返り血に目をやらず、襲い来る物、目に付く物からナオヤは気迫を込め、一切の隙を見せず片っ端に剣を振るい続け斬り伏せていく。

 その次々と短時間で魔物を殲滅していく姿は。魔剣に操られていた頃のナオヤを彷彿とさせるほど激しいものであった。

 そんな鬼のようなナオヤを見て、焦りの表情を浮かべ、たじろぎ後ろへと下がる魔物達。

 それと同じように剣を我武者羅に振るい続け、難なく魔物を次々と斬り伏せていくヴォルドとヴィン。

 ナオヤ、ヴォルド、ヴィンによる猛攻により、魔物の数は凄まじい勢いで減っていき、戦いは収束を迎えようとする。

 ナオヤ達による凄まじい戦いを後ろにいる解放軍の人々は、ただ固唾を呑んで見続け見守るほかなかった。


「はぁはぁはぁ……」


 最後の一匹だと思われる魔物を斬り捨て、ナオヤは息を切らしながらうつむいて膝をつき、地面へと剣を立てる。

 多大な返り血により茶色であったナオヤのマントはすっかり紫色へと染まりはてていた。


「おい二人とも大丈夫か?!」


「はい、なんとか」


「俺も何とか大丈夫っす……」


 剣を右手に引き下げらヴォルドがうつむくナオヤの方へと右側から慌てて心配そうに駆け寄ってくる。

 それと同じようにナオヤの左側からヴィンが剣をぶらさげ、左側からゆっくりと少しよろめきながら歩み寄ってくる。

 二人の無事な姿を見てナオヤは顔を上げひとまず安堵の息を漏らす。


「まったく今日はとんだ厄日だぜ」


「本当ですぜ」


 ナオヤの両隣にヴォルドとヴィンが倒れこむように座り、剣を立てながらため息をつく。

 三人ともすでに疲労困憊の状態であり下を向きうつむいて黙りこみ休息をとる。

 時刻は夕暮れ時となっていたが夕日は差し込まず、ナオヤ達の頭上へと雨が降りしきりはじめる。


「な、なんだあれは?!」


 その時、解放軍の一人の男が慌てたような叫び声をあげ、前を向き右手で前を指差す。

 男の叫び声を聞き、ナオヤとヴォルドとヴィンがゆっくりと顔を上げ、前の方へと目をやる。

 視線の先には先ほど以上の数の魔物が横に広がりナオヤ達へと向け迫りよって来ていた。

 その数の多さにさきほどまで勢いづいていた解放軍も驚きの表情を見せ、士気が落ちつつあった。

 

「ちっ! まだこんなにいやがるのかよ!」


 舌打ちをし剣を支えに勢い良く立ち上がり、前を見据えるヴォルド。

 それと同じようにナオヤとヴィンもゆっくりと立ち上がり剣を構え、前を見据える。


「お前ら、無茶するんじゃねぇぞ! 危なくなったら後ろに下がれ!」


「はい、ヴォルドさんもヴィンも気をつけてくださいね!」


「うっす! 兄貴も気をつけてくだせぇ」


「へっ! 小僧に心配されるほど老いちゃいねぇよ!」


 ヴォルドがナオヤとヴィンへと振り向いてそう言い、右の方へと歩いていき持ち場へと戻っていく。

 その言葉に二人とも頷き、ヴィンも左の方へと走って行き、ナオヤも剣を右手に構え、前から迫り来る魔物を睨みつける。

 そして疲労しきった解放軍と第二波の魔物との戦闘が、降りしきる雨の中、幕を開ける。


「はぁぁぁぁぁ!!」

 

 再び掛け声を上げ、魔物の群れへと斬りこんで行くナオヤ。

 その顔にはかなりの疲労の色がうかがえたが、少し速度は落ちるものの難なく剣を振るい魔物を切り伏せていく。

 そんな中、剣を振るい続けるナオヤの頭上に突如影が落ち、ナオヤへと向け鋭く爪が振り落とされる。


「――っ!」


 ナオヤは咄嗟に上を見上げ葉を噛み締め、反射的にその一撃をかろうじて剣を上に上げて横にし防ぎきる。

 その鋭く重みのある一撃を繰り出したと思われる生き物は、ナオヤの前方へと飛び跳ね態勢を整える。


「ほう、受けきるか」


「お前は!」


 ナオヤの目の前にはあの時ヴィンの村を襲った、ガロウと言う名のワーウルフがナオヤに不敵な笑みを見せ立ち尽くしていた。

 そのガロウの姿を見て、ナオヤはより剣を強く握り睨みつける。


「お前がこの戦闘を仕切っている魔物か?!」


「そうだ」


「ならお前を倒せばこの戦いは終わる!」


 あっさりとそう答えるガロウに対し、ナオヤは前へと踏み込みガロウの胴目掛けて勢い良く剣を縦に振り下ろす。

 ナオヤからくりだされる一撃を、ガロウは右手を振り下ろし右爪で受け止めきる。

 それから何度もガロウの爪とナオヤの剣が激しくぶつかりあい、辺りの平原に嫌な金属音が響き渡る。

 

「俺にばかりかまけてていいのかな?」


「なに?!」


 爪と剣がぶつかり合う中、ガロウがナオヤを見ながら不意にニヤリと笑う。

 ナオヤは少しだけ意識をガロウから周りへとそらすと、横を通りすぎていく魔物の姿が目に飛び込む。

 

「――っ! しまった!」


「おっと行かせはせんよ」


 ガロウの爪を跳ね除け、後ろを振り向き駆け出そうとするナオヤの背中にガロウは右爪を振り下ろす。

 ナオヤはガロウの方へと振り向き直し、慌てて剣を横に構えその一撃を受け止める。


「ぐっ! だったらお前を先に倒すまでだ!」


 後ろの解放軍を信じナオヤは再び目の前にいるガロウへと剣を縦に振り下ろす。

 再びナオヤの剣とガロウの爪が激しくぶつかり合い始め、火花が飛び散る。

 二人とも常人には見えぬほどの速さで剣と爪を振り下ろすが、それでもナオヤの方がスピードに勝っているらしく、ガロウを徐々に追い詰めていく。

 そしてついにナオヤの一撃が、ガロウの銀色の鎧をとらえ鎧ごと胴を斬り裂き、胸元に大きく右斜め上から左斜め下へと傷ができ紫の血が鎧をつたり地面へと滴れ落ちる。


「よしっ!」


 確かな手ごたえを感じたナオヤは前方へとバランスを崩しながらも笑みを見せ一瞬の油断を見せる。


「フンッ!」


「なっ?!」


 バランスを崩しつま先立ちするナオヤへとガロウから右爪が勢い良く振り下ろされる。

 ナオヤはガロウから繰り出されるその素早い一撃を、魔剣から得られる驚異的な身体能力と反射神経により、咄嗟に肩を上げ右側へと避けるように体を動かす。

 それでも避け切れず、ナオヤの左肩のマントが破れ、その部分から血が飛び出し地面へと肩を伝い落ちていく。


「くっ!」


「俺をその一撃でしとめられると思っていたのか?」


 初めての負傷に、するどい痛みを覚え片膝をつき剣を立て崩れ落ちるナオヤ。

 そんなナオヤを胸元から血を流しつつあるも一切動じず、威圧的な目でガロウは見下ろす。

 

「ぐわぁぁぁぁ!」


 そんな中、ナオヤのはるか後方で解放軍と思わしき悲鳴が響き渡る。

 その悲鳴に不安を覚えるナオヤであったが後ろを振り返る余裕などなかった。

 ナオヤの両隣ではヴォルドとヴィンもがんばって剣を振るっていたが、よろめくように剣を振るい息を荒くしもはや限界のようであった。

 そんなすでにボロボロの三人の横をどんどんと魔物が通り過ぎていく。

 状況はもはや最悪の状況にあり解放軍の士気は落ち敗戦の色が濃厚であった。


「やれやれ随分と遅れてしまいました」


 そんな圧倒的な絶望的なナオヤ達の耳元に聞きなれた穏やかな声がする。

 それと同時に村の入り口に次々と向かっていく魔物達に火の玉が当たり黒焦げになり、何者かの剣が魔物を切裂いていく。


「来るのが遅えんだよ、フレン!」


「いやーこれでもだいぶ急いで来たんですよ あははっ」


 村の入り口には増援を連れた、けわしい真剣な表情をして右手に剣を握りしめるエルナと、穏やかに笑みを見せるフレンが降りしきる雨の中、立ち尽くしていた。

 魔物を斬りつけながら怒鳴りつけるヴィンに、相変わらず笑いながら笑みを見せ答えるフレン。

 フレン達の登場に緊迫していたその場が少し穏やかとなり、降りしきっていた雨が止み、雨雲が少し晴れ辺りに夕日が差し込む。


「それでは、解放軍のみなさんはヴォルドさん、ヴィン君、ナオヤ君の援護を分担してお願いします、あまり無理はしないでください」


「エルナさんは私の援護と村に近寄ってきて魔物の撃退をお願いします。ミーシャは先ほどの戦闘で負傷した人の治療を」


「わかったわ」


「ん……」


 フレンのその指示に従い解放軍が散り散りとなりそれぞれの持ち場へ手際よくつき戦闘を開始する。


「それで、悪いのですか、もう少しだけ三人ともがんばっていただけませんかね? 後は私が何とかしますから」


「おう、任せろフレン!」


「ったく! しゃーねぇなぁぁ!」


「はいっ!」

 

 ナオヤ達の返事を聞く前にフレンはなにやら長々とした詠唱を始める。

 援軍の登場により疲労しきっていたナオヤ、ヴォルド、ヴィンの三人の体に再び力が湧き上がり、敵を切り捨てる速さが元へと戻る。

 フレンに何か考えがあるのであろうとナオヤは考え、ガロウの攻撃を受け流す程度にし守りに徹し時間を稼ぐ。


「よしっ! 皆さん下がってください!」


 膠着状態の戦線が続いていた中、詠唱を終えたフレンが右手を前へと払いのけ後退命令を出す。

 その言葉に前線にいた解放軍全員が後ろへと振り返り走り始める。

 全員が後ろへと下がるのを確認してしんがりをつとめていたヴォルドとヴィンも魔物を斬り捨て後退を始める。


「くっ! まて小僧!」


 残されたナオヤもガロウの爪を剣を振り上げ大きく跳ね除け、後ろへと振り向き一瞬でフレン達の方へと飛び去り後退する。


「はぁ、この呪文は消耗が激しいから使いたくないんですけどねぇ」


 迫り来る大量の魔物を目の前にフレンがただ一人立ち尽くし、左手で眼鏡を真ん中で上げ、右手を前へと垂直にのばし手のひらをかざす。

 次の瞬間、フレンの足元を囲うようにまぶしいほどに白い光が上がり、細長い炎で出来た龍がその光から無数に現れ始める。

 そして迫り来る魔物達へと勢い良く飛んで行き、魔物を覆い尽くすようにし炎の龍が次々と魔物へと当たって行き焼き尽くす。


『おおーー!!』


 フレンの放った呪文が次々と魔物を焼き尽くしていくのを見て、後ろでその様子を眺めていた解放軍に歓喜の叫び声が上がる。

 そして最後の一体と思われる魔物を、フレンの放った龍が焼き尽くしスーッと姿を消す。

 残された平原には魔物の焦げた臭いにおいが充満し白煙が包み込み、焼け野原と化していた。


「それじゃ、みなさん残党の確認をおねがいします」


 フレンが何事もなかったかのように平然とそう言いナオヤ達の方へと振り返り歩き出す

 その時、白煙の中から一つの影が上がり、フレンの頭上へと黒い影を落とす。


「危ないっ!」


 それに気づいたナオヤが咄嗟にフレンの背中の前へと飛び出し、上空から繰り出される一撃を剣を横にし受け止める。


「ぐっ! 仕留め損ねたか!」


 ナオヤの目の前に突如現れたその姿はガロウであった。

 ガロウはフレンを仕留め損ねた事に対し歯を噛み締め、ナオヤの剣とガロウの爪がせめぎあい互いに顔を見合い睨みあう。

 ガロウの毛はちりじりに焦げ少し煙が上がっており、フレンの呪文によるダメージがあるようにうかがえた。


「いやー 助かりましたよ ナオヤ君。まさかあの攻撃を受けて立っている魔物がいるとは」


 フレンがナオヤの方へと振り返りお礼を言う。

 そのフレンの表情はいつもどおりにこやかに笑っているものの、さすがに少し焦りの表情が見えていた。


「フレンさん、下がっていてください!」


「はい、ナオヤ君。負けないでくださいね」


 フレンが振り返りナオヤへと背中を向け、ゆっくりと解放軍が集まっている村の入り口へと歩き始める。

 解放軍全員の視線が目の前にいるナオヤとガロウへと集まり、固唾を呑む中最後の攻防戦がおこなわれる。

 ナオヤが右手で剣を振り下ろし、ガロウも右手を上げ爪を振り下ろし幾度となくぶつかり合い、せめぎあう。

 どちらも疲労やダメージが多くすでに両者満身創痍の状態であった。


「はぁぁぁぁ!」


 ナオヤが剣を振り上げてガロウの爪を跳ね除け、剣を左に振るいガロウの胴を横に深く切裂く。


「ぐおおっ! だがまだ倒れるわけにはいかん!」


 ガロウがその一撃を喰らいさすがに一瞬よろめくも、目を大きく見開き左手を上げ、左爪でナオヤの左肩を深く切裂き、マントの破片が飛び散り血が流れ出る。


「くっ! これで今度こそ止めだ!」


 歯を噛み締めて痛みをこらえ、剣を前へと垂直に鋭く突き出しその一撃がガロウの胸部をとられ、深く突き刺さり胴を貫く。

 その一撃を受けたガロウはさすがに動きが止まり、両手がダランッとなり口から勢い良く血を吐きだす。


「ぐっ! 見事だ小僧……また相まみえたいものだな……」


 そうナオヤへと最後に言い残し、ゆっくり後ろへと倒れこむガロウ。

 地面へとつくと思われたガロウの死体はあとかたも残らず、まるでそこに何もなかったかのようにナオヤの前から消え去った。


『おおおおーーーーー!!』


 ガロウの姿が消えるのを見て、ナオヤとガロウの戦いを祈るように見守っていた解放軍の人々の間に大きな歓声が沸き上がる。


「はぁはぁはぁ……」


 ガロウがいたであろう場所を眺めながら、肩で息をし倒れこむように地面へと尻餅をつくナオヤ。


「ナオヤ! 大丈夫?!」


 エルナが喜ぶ解放軍の人々の間を掻き分け、ナオヤの元へと心配そうな声を上げて駆け寄って来る。


「なんとかね……」


「まったく無茶して……」


 エルナがナオヤの隣へと膝をついて座り、少し涙ぐみ笑みを見せそっとナオヤの左腕へとふれる。

 それから解放軍は初めてとなる集団戦での大勝利を掲げ、喜び勇んで城へと帰還した。


 

 ――――



 翌日、解放軍の中で勝利を祝い、大規模な宴会がが昼間から開かれおこなわれていた。

 ホールのテーブルの上にはエルナやヴォルドが作ったとされる、たくさんの料理が並び、解放軍の人々が酒を片手に立ち、盛り上がりを見せていた。


「ほら、小僧も飲め飲めっ! こんな時ぐらい飲んでもバチは当たらねぇだろ!」


「い、いいですってば!、僕未成年ですし」


「細かい事は気にするんじゃねえよ! がはははっ!」


 人ごみを掻き分けヴォルドが酒のビンとおちょこを片手に持ち、立ち尽くし宴の様子を眺めていたナオヤへと歩み寄って来る。

 ナオヤが首を振り断るも、ヴォルドは酒の入れたおちょこをナオヤへと強引に手渡し高々と笑う。

 ヴォルドの顔はすでに赤く、相当お酒を飲み酔っているようであった。


「くぅ~! 俺兄貴について来てよかったす! ありがとうございますっ!」


 泣き上戸だろうかヴィンが酒を入れた容器を右手に持ち、左手で目を抑え涙を流す。

 これ以上二人にからまれるのは面倒になりそうだったので、ナオヤはその場を離れる事にする。


「ナオヤ、もう怪我は大丈夫?」


「お疲れパパッ!」


 今度はナオヤの元へとエルナとミアとミーシャが笑みを浮かべ歩み寄ってくる。

 ナオヤはエルナ達の方へと振り向き笑みを返す。


「うん、ミーシャのおかげだよ、ありがとね」


 前かがみになりミーシャの頭を優しく撫でるナオヤ。


「うん……ひっく」


 ミーシャが少し赤い顔をし目を細めてナオヤへと返事をする。


「あれ? もしかしてミーシャ酔ってる?……」


「ええ、父上が飲ませたみたいだわ……」


 エルナが左手で頭を抱え、一番騒いでいるだろう酒を手に持ち笑っているヴォルドへと目をやる。

 何はともあれ皆それぞれ楽しそうに過ごし、宴は大盛り上がりをみせていた。


「よし、ここで魔物のリーダーを打ち倒した英雄様に話をいただこうぜ!」


「えっ?」


 ヴォルドが突如そう大声で叫び、ナオヤの腕を引っ張り解放軍の人々の前へと連れ出す。

 困惑したまま頭が真っ白になるナオヤをよそに、その場にいた全員の視線がナオヤへと集まり静かになる。


「ほら、何か喋れよナオヤ!」


 笑みを浮かべ酔った状態で、ナオヤの方へと顔を向かせ肩を叩きせかすヴォルド。


「あ、えーっと、皆さんお疲れ様です。次の戦いもがんばりましょう……」


 大舞台に慣れておらず頭が真っ白になるナオヤは、何とか口を開きポツリとそう喋る。


「もっと、面白いことしゃべろよナオヤー!」


 その普通すぎる内容に解放軍の人々の中にナオヤへと向け野次が飛び交う。


「まっ、ナオヤらしいじゃねぇか。がはははっ」


 ヴォルドがナオヤの肩を叩きながら上を向いてまた高々と笑う。


『それもそうだな、あははははっ』


 ヴォルドにつられるようにホールでは大きな笑い声が響き渡る。

 こうして宴はその日の夜遅くまで続いていった――――。




 ――――



「おう、ナオヤ呼び出して悪いな」


「話ってなんですか?」


 その日の深夜遅く、ナオヤはヴォルドに話があると言われテラスへと来ていた。

 外壁に手を置き、外を見ていたヴォルドが手を上げて振り返り、テラスの外壁によしかかり、ナオヤの方に目をやる。


「ああ、エルナについて話しておきたいことがあってな」


「エルナについてですか?」


 ナオヤは戦闘など別のことについての話だと思っていたためヴォルドへと向け、首を傾げる。


「俺とエルナを見て何か思ったことはねえか?」


「えっ?」


「えーっと仲のいい親子ってとこですかね」


 質問の意図がわからなかったナオヤだが、少し考えた後慌ててヴォルドへとそう答える。


「がはははっ、そりゃ嬉しいな!」


 ナオヤのその言葉にヴォルドが嬉しそうに上を向いて笑う。

 笑った後、ヴォルドが急に静かになり沈黙が続く。


「……だがな、実は俺とエルナは実の親子じゃないんだ」


「えっ?……」


 しばらくの沈黙の後、ナオヤへと背を向け、外を見ながら平然とした穏やかな口調でそう言い放つヴォルド。

 ヴォルドから唐突に告げられる事実に、ナオヤはヴォルドを見て、少し口を開いて驚きを見せ硬直して立ち尽くす。

 驚くナオヤをよそにヴォルドは外を見続けたまま、ゆっくりと昔を懐かしむかのように話を始める。


「あれは十八年位前ぐらいだったかな。丁度国が滅び始めた頃だ」


「俺がまだ解放軍に参加していなかったころ、街道付近の森林で山賊をやっていたんだ」


「ヴォルドさん山賊だったんですか?」


「ああ、金品を奪うし、人を殺す最低なやつだったよ俺は……」


 ヴォルドが吐き捨てるように少しうつむいて暗い顔をしてそうつぶやく。

 だがすぐ顔を上げまた外へと目をやり、ヴォルドは話の続きを始める。


「それから国が滅んだ事で街道を通る人がいなくなり、俺は生活に困り果てていた」


「そんなある日だ。高級そうな黒いローブに身を包んだ女が、背中に傷を負ってよろめきながら歩いてきたんだ」


「そして、俺の前に白い布で包んだ赤ん坊を差し出し息途絶えた……」


「その衣服からすると貴族か何かだったんだろうな」


「へぇ~」


「それから俺は迷ったが足を荒い、その赤ん坊を育てる事にした。本当に苦労したぜ、飯もろくに作れなかった俺が子育てなんて事をするとは思わなかったからな。まぁそのおかげで心が洗われて行く様な気がしたがな」


 ヴォルドが淡々と話を続けて行き、その頃を思い出し懐かしむかのように外を見ながら笑みを浮かべる。


「まぁこれが俺とエルナの出会いってわけだ。エルナは貴族か何かの子供だろうな」


「なるほど」


「あ、これはエルナに話してないから言うなよ。まぁ薄々感づいてそうだがな」


 ヴォルドが最後に一言そう言い、外へと視線を向けたまま話を終える。

 その話を立ち尽くし黙って聞いていたナオヤが、ヴォルドの背中へと頷く。

 確かにエルナには気品に溢れており、ナオヤはその話に納得が出来た。


「けど、何で話そうと思ったのですか?」


 ナオヤはヴォルドの方を向いて少し首を傾げ、素朴な疑問を尋ねた。


「ああ、今日は何とか勝てたものの、これから先戦いはもっと激しくなるだろうからな」


「だから、俺がいつ死んでもいいように、エルナを任せられそうなお前に話しておきたかったんだよ」


「そんな、ヴォルドさんに死なれたらみんな困りますよ!」


 ヴォルドがニヤリと振り返ってナオヤへと笑みを見せる。

 ヴォルドの言葉に、少しどもりながら慌てて制止の言葉を発するナオヤ。


「がはははっ、まぁ俺もお前とエルナの本当の子供を見るまでは死なないさ」


「エ、エルナと僕はそんな関係じゃないって!」


 ナオヤの前に立ち、肩に手を置き笑うヴォルドに、今度は赤面してナオヤは顔を下にやり動揺して否定する。


「ま、期待しているぜ。それじゃな」


「はい、おやすみなさい」


 ナオヤへと背中を向けて歩き出すヴォルドに、ナオヤは軽く頭を下げ見送った。

 しばらく外を眺め先ほどのヴォルドの言葉について色々と考えた後、ナオヤも自室へと戻り眠りへと入る事にした――――。

誤字、指摘ありましたら報告してもらえたら嬉しいです。

読んでくださった方々に感謝です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ