1986年
1986年の記憶が、鮮やかに甦る
1986年に発売された
古いレコードがある
その頃は中学生で
お小遣いで買った貴重なLPであり
文字通り
擦り切れるほど聴き込んだ記憶がある
進学、就職、転職と
人生を重なる内に部屋から消えていた
消えたことすら気付かない
忙しない年齢を過ごす
老年となり
髪は白髪に
血管の浮きでた腕に
年輪を覚える日々を過ごす
ふと、偶然に
15歳の頃に手にしたレコードの
CD盤を目にする機会を得た
安価であるし購入する
深夜、家族が寝静まったあと
ヘッドホンをしてCDを聴く
15歳の記憶が
音楽とともに、次々と甦る
目をつぶり
集中して聴く
今、目を開けば
自分が15歳であるかのように
時空を飛び越えている
当時、住んでいた家
自分の部屋、家族
飼っていた犬
全てが目の前にあるかのように
匂いまでも甦る
15歳の自分が、目の前にいる
歌詞を口ずさむ
サビを歌う
私は今、15歳に戻っている
全曲を聴き終わり
目を開ける
老年の自分がいる
今宵は、良い気分だ
とっておきのウイスキーを
グラスに惜しみなく注ぐ
15歳の私に
軽くグラスを上げて
一息で、呑み干した