掛橋永愛
第1章 ようこそリドルチームへ
第5話 掛橋永愛
私は自分が大好きだった。
小学生の頃、勉強も運動もできたし、割と顔にも自信があった。クラスの友達からは凄いね、可愛いねとチヤホヤされてきた。
親からもあなたは天才だの、アイドルになれるだの甘やかされてきた。
「永愛ちゃん! 一緒に帰ろう!」
「だめだよ沙耶ちゃん、今日は私と遊んでから帰るの」
「えー、昨日も永愛ちゃんと楓ちゃん一緒に遊んだじゃん」
こんな取り合いなんて日常茶飯事だった。
「んー、じゃ3人で遊ぼうよ」
沙耶ちゃんと楓ちゃんとはこれをきっかけに仲良し3人組になった。いつも行く駄菓子屋のおばちゃんからは仲良しだねぇって毎回言われ、学校の先生からも離れなさい、おしゃべりしすぎと注意されてしまっていた。
この頃は関係が崩れるとは思ってもなかった。
私はまだ自分の能力に気付いていなかったのだ。
「ねぇ、永愛なんか言った?」
「え? 何も言ってないよ?」
「今日の服似合ってないって言わなかった?」
「え? 言ってないよ」
「なんか永愛と話してるとなんか気持ち悪い。何かって言われるとわかんないんだけど、なんか胸にジーンと言葉が来るというか」
そうやって私は2人から避けられるようになった。
私は理解できなかった。
確かに服は似合ってないとは思ったけれど絶対口にはしないし、話していると気持ち悪いなんて初めて言われた。
そうやって私は小学校ではひとりぼっちになった。
2人と中学校は離れたいと思い、私立の中学を受験をし、そっちに行くことにした。
中学にあがると、いわゆる"カースト"というものが熾烈化し、一軍だの二軍だので区別し、軽蔑や嫉妬、憎悪で教室は満たされた。
私は入学当初、一軍に属していた。それは勉強も運動も出来たし、顔が良かったからだ。だけど、それだけでずっとチヤホヤされる訳もなかった。
周りから嫉妬されたのだ。いや、そうじゃないかもしれない。ただ、私という存在が不愉快だったのだろうか。
はじめは好きな人をバラされたり、変なあだ名で呼ばれたりしただけだった。それくらいではへこたれなかった。
しかし、いじめは次第にエスカレートした。窃盗、盗撮、無視。私は精神的に病み始めた。
次第に幻聴も聞こえ始める。
みんながこう言っている気がする。
「「掛橋ってよく見たら可愛くないな」」
「「こっちみんなきもい」」
「「勉強できるからってイキってんな」」
「「脱いだらえろい体してそう」」
耐えられなかった。周りが常に私の悪口を言っている気がした。いや、言っていたのだ。
遂に私は不登校にまで陥ってしまった。
こうしてチヤホヤ人生に幕を下ろしたのだ。
「ねぇ、なんでみんな私の悪口を言うのかな」
窓から見える鳩や雀に話しかけるのが日課だった。
たまに散歩をして野良猫や散歩中の犬にも話しかけた。
「今日もいい天気だね」
「ワン!」
動物たちは決して悪口を言わない。ワンワン、にゃーにゃー気楽なもんだ。でも私にはそんな意味の無い動物たちの言葉が心地よかった。
中学3年の夏、インターホンがなった。親は居らず、私が玄関に出ると、そこにはとっても可愛い女の人が立っていた。
「こんにちは。私は西園寺みなみ。みなみちゃんて呼んで欲しいな」
そう彼女は言った。そして私はリドルチームに加入した。私はそこで自分の能力について理解した。こんなリドル要らないって何度も思った。私はこの能力で何度苦しめられたか。でもリドルチームのみんなは私のリドルを認めてくれた。
そうして、私が存在しても良い場所ができた。




