下級国民ハンター
ファミレスで無茶苦茶うるさくて迷惑な客に遭遇し、衝動的に書きました。
「何だぁ、テメェ!? 俺は客だぞ!! ガタガタ言ってねぇでとっとと持ってこい!!」
昼時のファミレスで、冴えない風体をした中年男が男性店員に向かって怒鳴りつける。
その大音量に周囲の客が顔を顰めるが、怒鳴られたとうの店員は鬱陶しそうに耳をかき、まるで堪えた様子がなかった。
「……繰り返しますが、当店はドリンクはセルフサービスとなっております。お身体が悪いとか小さなお子様連れとか特別な事情があれば話は別ですが、そうでなければお客様にご自分で取りに行っていただいておりま──」
「ガタガタぬかすな!!」
中年男が怒声で店員の言葉を遮り椅子を蹴りつける。
「俺は金払ってるんだ!! サービス業なら客の都合を優先しろ!! 何で水持ってくるだけのことが出来ないんだ!? 態度悪いんだよ!! バイトだろうと金貰ってる以上はプロだろうが! ちったぁ愛想よくしろ!!」
「────」
店員はその罵声を浴びて一瞬スンとした無表情になる。客の中年男はそれを店員が怯んだものと解釈し爽快そうな笑みを漏らす、が──
「──うるせぇよ、貧乏人が」
「…………へ?」
男性店員は中年男の胸倉を掴み、淡々とした声音で告げた。
「フルサービスが受けたけりゃ、こんな低価格帯のファミレスチェーンじゃなくて高級店に行けよ。一番安い七〇〇円のランチセットしか頼めねぇ分際でキャンキャン吠えんな」
正論かもしれないが、どう考えてもそのファミレスチェーンの店員が口にしていいセリフではない。
「おま、何を──値段は関係ないだろうが! 金を払ってる以上、ちゃんとサービスを──」
「頭腐ってんだろ。曲がりなりにもこのご時世にこの値段で飯が出せんのは、店がギリギリまでコスト削ってるからだって分かんねぇのか? 最低限以下の人員で回してんだ。一々テメェみたいなカス客の我がまま聞いてたらやってけねぇんだよ」
「そ、そんなのは店側の都合で──」
「大体客ってなんだ? お前の存在がどんだけ店に利益落としてくれんだよ? いっつも繁忙時に来て一時間も二時間も一人で四人席占領しやがって。食い方汚ぇし紙ナプキン床に落ちてるし、手間や逸失利益考えたらむしろ店に損害与えてんじゃね?」
「な、なな……」
「客だって名乗ってデケェ面してぇなら、せめてしっかり金落としてからにしろよ。貧乏人のイキりほど見苦しいもんはねぇぜ? どうせ会社じゃ年下の部下に詰められて何も言えねぇから、こんなとこで『お客様面』して店員相手にイキってんだろ? 情けねぇなぁ、おい!」
「────っ!!」
中年男の顔が怒りと羞恥とで赤、青、黒と色を変えていく。
男性店員はしかし容赦なく口撃を続けた。
「お前あれだろ? 風俗とか行ったら嬢に要求ばっかして嫌な顔されるタイプ。挙句上から目線で『サービス悪いね~w』とかほざいて、次から女の子にひっそりNG食らってんの」
「う、ぐぅ……っ!!」
「他人に厳しくて自分に甘い馬鹿の典型だよなぁ。自分が仕事で客に詰められた時にも『お客様は神様です~』とか頭湧いたこと思えてるのかなぁ~?」
「ぁ……ぅ」
「自分より弱い立場の人間探してマウント取る暇があるなら──」
──トントン
男性店員がもう一息でこの客を潰せるなと最後の追い込みをかけようとしたとき、背後から彼の肩が軽く叩かれる。
「──佐藤君」
鬱陶しく思いつつも振り返ると、そこには厨房にいたはずの店長の姿があった。
「あ、店長。少し待っててください。あとちょっとでコイツを追い出せ──」
「──佐藤君。君、クビね」
「…………へ?」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「解せぬ」
現役大学生兼元ファミレスアルバイト店員の佐藤太郎は、下宿へと続く夜道を歩きながら、自分がバイトをクビになった理由が納得できず首を捻っていた。
「邪魔なカス客を排除した方が仕事がスムーズに回るし店の雰囲気も良くなるから総合的にはプラスだろ」
しかしその抗弁に店長は耳を貸さず、こめかみに青筋を浮かべて『クビね』とクレーマーを相手にするかの如く繰り返すばかりだった。
「何なら客の八割は『よく言った!』って感じで喜んでたのに」
残り二割の客に飛び火したことが原因だろうが、佐藤はそのことに思い至らない。
「……ひょっとして店長も嬢にNG食らったばっかりだったとか?」
もしそうなら店長独身だし給料安いし仕方ないよなぁ、とズレた理解を示し、気持ちを切り替える。
「しかし困ったな。早いとこ次のバイト見つけないと……でもどこで働いてもカス客はいるしなぁ。相手するの面倒くさいけど……はぁ。我慢して相手しないと駄目かぁ……」
そんな戯けたことを嘆き、スマホでバイト募集アプリを起動する、と──
「──そんなことはない!!」
「は──?」
──ゴスッ!!!
やたらテンションの高い声と共に頭部に鈍い衝撃が走り、佐藤太郎の意識は闇に落ちた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「──眩し……」
次に佐藤が目を覚ますと、最初に視界に映ったのは病院の手術室にある様な巨大なライトだった。
身体を起こそうとし──自分が上半身裸で手足を何かで拘束され台の上に横たわっていることに気づく。臓器売買という単語が頭の中に浮かび、佐藤は咄嗟に暴れようとした──が。
──バキッ!!
「…………あれ?」
拘束は音を立ててアッサリと解け、佐藤は拍子抜けして上半身を起こした。手足に視線を向けると、手足には鉄製と思しき枷とそこから繋がる引きちぎれた鎖がある。本物らしく見えるが、壊れたということは老朽化していたのかそれとも見た目だけの玩具だったのか──そう思って左手首に残った枷をつまむと、佐藤の指は鉄の枷の中にメキメキと沈み、プリンのように容易くそれをすり潰した。
「本物……だよな?」
質感や重量は本物の鉄のように思える。しかしならばどうして自分の指は容易くそれを破壊できるのか──
「──あああああああああっ!!?」
大声に驚き佐藤がそちらに振り向くと、白衣を着た初老の男性とガタイの良い中年ハゲ男性が部屋の入口に立っていた。
初老男性は佐藤が持つ枷の残骸を指さし、目を剥いてつかつか近づいてくる。
「何で壊しちゃったの!? 拘束具だってタダじゃないんだよ! 買うのもDIYするのも結構面倒なの!! 目が覚めたなら外してあげるから声かけてよ!!」
「は、はぁ……?」
事情も分からず文句を言われて困惑する佐藤。そこに助け舟を出したのはもう一人の中年男性だった。
「……こどおじ。どうせ拘束具なんて意味ないんだから止めとけって言っただろう?」
「何を言ってるんだい!? 秘密結社の手術室に拘束具がなくてどうするんだ!! 強力な力に目覚めた若者が拘束具を破壊して戸惑う姿はロマンじゃないか!!」
「……その要望通りになってるんだから文句言うなよ」
「壊し方の問題だよ! 枷は再利用できるんだから壊さず待っててくれればよかったじゃないか!! それに力任せに引きちぎったせいで壁の溶接も駄目になってる!!」
「そんな器用な壊し方誰も出来ねぇって。そこまで言うならせめて起きるまでここで待っててやれよ」
「僕だってモン●ンやりたいんだよ!!」
「あの~……」
突然始まった二人のやり取りについて行けず、おずおずと佐藤が口を挟む。
「うん?」
「俺は何でこんなところに上半身裸で寝てたんでしょう? というか、ここはどこで、あんたらはいったい……?」
『…………』
男性二人は顔を見合わせると、代表して白衣の初老男性が口を開いた。
「ここは僕らのアジトさ」
「……あじと?」
「そう。秘密結社『下級国民ハンター』のね!」
「……かきゅうこくみんはんたぁ?」
意味が分からず佐藤は胡乱な目つきでオウム返しを繰り返すが、初老男性は全く気付いた様子もなく、ノリノリになって言葉を続ける。
「そして君は栄えある我が組織の改造人間に選ばれたのだよ──怪人8号!!!」
「…………ふむ」
──頭おかしい奴だな。
そう結論付けた佐藤の判断は迅速だった。
──とりあえず殴る。
拉致されたっぽいし、後で何か言われても正当防衛で何とかなるだろう、と。
「死ね」
「へ?」
正当防衛を主張する人間の言葉ではない──が、それはともかく、この時の佐藤には二つ誤算があった。
一つは彼の身体能力が異常なまでに向上しており、そのまま拳を振り抜けば貧弱な初老男性の身体など汚い壁の染みになってしまうだろうこと。
そしてもう一つは──
「──おいおい、物騒だな」
「──っ!?」
──ゴギィィッ!!!
初老男性を庇うように佐藤の拳を受け止めた中年男性──いや、全身黒い甲殻に覆われた姿に変身した怪人の存在だった。
黒い怪人が「フン」と力を込めると、佐藤の身体は弾き飛ばされ背後の壁に叩きつけられる。
──ドォォォォォン!!
「ぐっ!!」
トラックが衝突したような轟音が建物に響いた。だが、佐藤の身体にダメージはほとんどない。そのことに自分の身体を見下ろすと、自分の上半身を緑色の甲殻が覆っていた。
「うわっ!?」
佐藤が驚き、悲鳴を上げると緑の甲殻は一瞬で皮膚に溶けて見えなくなる。彼が呆気にとられ動きを止めていると、初老男性が興奮した様子で騒ぎ出した。
「おおっ!! 無事に強化外骨格は定着しているようだね! 怪人1号の攻撃を受けて無傷とは有望、有望!」
どうやら自分が殺されかけたことは気にしていないらしい。
──しかし、怪人? 強化外骨格? それにさっきの俺の姿と、変身したあのハゲ……
「……ライダー?」
「ちっがぁぁぁぁぁうっ!!!」
ボソリと呟いた佐藤の言葉に反応し、初老男性が絶叫する。
「訂正してもらおう!! 改造されたら碌に騎乗もしないのにライダーを名乗る文化に私は否定的だ。何なら戦隊=レンジャーというのも気に食わない! 名乗るなら君は“マン”だ!」
「いや知らんけど──って、改造? やっぱり俺改造されたの?」
平時なら頭が湧いたとしか思えない発言だが、しかし実際にそれを見せられ、自分の身体で体感すれば否定もできない。佐藤はあっさりとその事実を受け入れた。
「お~。普通は信じる信じないで結構揉めるんだが、今回の新入りは話が早くて助かるな」
黒い甲殻の変身を解きながら中年男性が笑う。彼は友好的な態度で続けた。
「さて、それじゃまずは自己紹介だ。本名は伏せさせてもらうが、俺のことは“プー先輩”か“怪人1号”と呼んでくれ」
「怪人はともかくプー?」
「プー太郎のプーだ」
「……死語だろ」
「語呂優先だ。ニートの“ニー先輩”じゃ意味がぶれるだろ」
堂々と言い切る中年ハゲ──もといプー先輩に佐藤はそれ以上のツッコミを放棄し、チラリと横の初老男性に視線を向けた。
「僕のことは博士と呼んでおくれ!」
「実際にはみんな“こどおじ”としか呼んでないがな」
プー先輩のツッコミに“こどおじ”は嫌そうな顔をして反論する。
「やめておくれよ。両親はもう特養に入ったし、今じゃ僕も立派な独り暮らしさ」
一先ず彼らが社会の底辺に属する人間であることだけは理解し、佐藤はツッコミを後回しにして状況把握に専念した。
「じゃあプー先輩とこどおじ」
「博士!」
「つまりあんたらは秘密結社か何かの博士と改造人間で、俺はあんたらに拉致されて改造人間にされたってことでいいのか?──いや自分でも何言ってるかよく分からないしちっともいいことはないからできれば否定して欲しいんだけど」
しかしそんな佐藤の願いもむなしく、二人の変人は満面の笑みを浮かべ彼の言葉を肯定した。
「うんうん。怪人8号は本当に物分かりが早くていいねぇ──手が早過ぎるのは考えものだけど」
「説明の手間が省けるのは高評価だな」
身体の下でギュッと拳を握りしめ──まだだ、殴るのは話を聞いた後だ──と自分に言い聞かせつつ、佐藤は質問を続ける。
「じゃあ次の質問。あんたらはいったい何者で、何が目的でこんなことをしてるんだ?」
そう言えば先ほど“こどおじ”が組織名を名乗っていた気がする。確か──
「僕らは『下級国民ハンター』! 世に蔓延る悪辣な下級国民たちを裁く秘密結社さ!!」
「……なんて?」
「僕らは『下級国民ハンター』! 世に蔓延る悪辣な下級国民たちを裁く秘密結社──」
「いや、それは分かったから」
聞きたいのは名前というかその中身というか──
「何で対象が下級国民? 普通こういうのって、『罪を犯しても法で裁けない上級国民たちに鉄槌を』とかってなるんじゃないの?」
佐藤のもっともな疑問に“こどおじ”とプー先輩は顔を見合わせ、やけにアメリカンな仕草で肩を竦めてみせた。
「ハハハ、青いねぇ。昔は僕らもそんな風に思ってたことがあった」
「ああ、そうだな。奴らの幸せが妬ましいって気持ちは俺にも痛いほどわかる」
「いや、勝手に分かられても困るけど」
佐藤のツッコミを無視してプー先輩は諭すように続けた。
「だがな、8号。お前これまで生きてきて、実際に上級国民を見たことがあるか? いや、見たことはあるかもしれんが、実際に会って、そいつらに迷惑かけられたことが何度ある?」
「それは──」
TVやネットで“上級国民”という言葉に触れる機会は多いが、実際に彼らに何か迷惑をかけられたことがあるかというと──正直覚えがない。間接的に脱税とか色々悪いことをしていたりこちらにシワ寄せがきているのかもしれないが、実感はなかった。
そんな佐藤の内心を見透かすようにプー先輩はうんうんと頷く。
「ほとんどないだろう。何せ奴らは俺らとは住む世界が違うからな。何かトラブルでもない限り、そうそう関わることはない」
それは極論過ぎる気がするが、接点が少ないのは事実だろう。
「でもだからって下級国民をターゲットに何かするのは違くない?」
「下級国民こそ法で裁けない真の悪だ!!」
プー先輩はカッと目を見開き、断言する。
「飲食店でデカい声で騒いで長時間居座りゴミを散らかし、スーパーでは試食コーナーでしつこく粘り半額シールを貼れと強要! 横柄な態度で『客が優先!』と騒ぎ立て、何か気に食わないことがあるとすぐ口コミで低評価を入れたりSNSに晒して憂さを晴らそうとするクソ!! 普段の仕事で溜めたストレスを他人にぶつけ、守るほどの社会的立場も無いから人目も大して気にしないド底辺!! 小者過ぎて法で裁くほどの悪事もできず裁くに裁けないカス下級国民──奴らこそ俺たちが裁くべき、最も身近で憎むべき悪なんだ!!!」
「────」
「お前にも分かるだろう、8号。お前が今日ファミレスをクビになったあの現場。俺たちも偶然あそこにいた」
そういえば隅っこで電源占領しながらドリンクバーとポテトで粘ってるおっさん二人組がいたような気がする。騒がず静かにしてたので注意まではしなかったが、普通に迷惑だった。
「お前の啖呵、聞いていてスッとしたぞ」
いや、むしろお前らもあのカス客の同類なんだが。
「だが、お前の正論はあのクズ共には届かない。奴らを排除するためには、もはや言葉や法ではなく、力で以って対処するしかないんだ」
その為に人を改造人間にするのはどう考えてもやり過ぎだろう。
「ふっふっふっ。暴力──もとい正義は気持ちいいぞぉ? 自分が法や人権なんてものに守られていると勘違いしている馬鹿どもの表情が、現実を知って恐怖に歪むところなんて何物にも代え難い快感だ」
どこをどう切り取っても悪の秘密結社の言い分である。
「8号。俺には分かる。お前も俺と同じだ。あの時お前は、あのカス客をぶん殴って這いつくばらせて思い知らせてやりたいと思っていたんじゃないか?」
「────」
それは、思った。そうした願望があったことは、否定できない。
そのことを静かに認め、佐藤は頷く。
「──そうだな。認めるよ」
苦笑を浮かべてプー先輩に近づく。
「カス下級国民は暴力を使ってでも排除すべきだ。俺も、心からそう思う」
「おお……!」
佐藤が同調したことで、プー先輩と“こどおじ”の表情が喜色に歪み──
──ドゴォォォォォンン!!!
次の瞬間、油断したプー先輩の腹を緑色の甲殻で覆われた佐藤の腕が殴りつけ、プー先輩の身体は部屋の壁を突き破って吹き飛んでいった。
「……へ? あ、何で……?」
突然のことに目を白黒させる“こどおじ”。
「取り敢えず、ニート兼犯罪者──一番身近なカス下級国民をぶち殺そうと思う」
「は、犯罪……?」
「人を拉致して勝手に改造しといて惚けてんじゃねぇ!!」
「そんな!? 男の子はみんな変身ヒーローが好きなものだろう!!」
「決めつけんな!! 俺は剣と魔法の異世界ファンタジーが好きなんだよ!!!」
「なろう系め!!」
「ファンタジーをその一言で雑にまとめんな!!」
「君だって変身ヒーローは全てライダーと決めつけたじゃないか!!」
「事実ほぼライダーだろうが!?」
「分からず屋め!!」
「どっちが──」
──ドゴォォォッ!!
「……ふぅ。やっぱりこうなるのか」
佐藤と“こどおじ”がよく分からない言い合いをしていると、背後から瓦礫を吹き飛ばして黒い甲殻の怪人に変身したプー先輩が現れる。
かなり本気で殴った筈だが、ダメージはほとんど見受けられない──というか変身ヒーローはダメージがあるのかないのか見た目ではよく分からないから嫌いだ。
「新入りが入るといつもこうして肉体言語で分からせてやるハメになるんだ。だが安心していい。2号から7号まで、お前の先輩たちも話し合えば皆分かってくれたよ……!」
そう言って、拳を握る黒い怪人。
「……悪いが、俺は外国語が得意じゃなくてね。そいつらと違って物分かりは良くねぇぞ」
佐藤の身体が全身緑色の甲殻で覆われ、完全な怪人へと変貌する。
「何、分かるまで叩きこんでやるさ」
「そうかい。中年が無理すんなよ」
一瞬の静寂。
「バイトクビにされてばっかのFラン学生がぁぁっ!!!」
「先のねぇ中年ニートが言えたことかよぉぉぉぉっ!!!」
──ドゴォォォォォォォォォォォッ!!!
黒と緑の怪人の拳が交錯し、衝撃で室内がぐちゃぐちゃに掻き混ぜられる。
“こどおじ”が悲鳴を上げて吹き飛んで行ったが、二人とも気にも留めず戦い続けた。
一年後。宇宙からの侵略者によって人類が滅亡の危機に瀕した際、黒や緑の甲殻を纏った怪人たちがそれに立ち向かい、撃退することに成功する。
しかし『下級国民ハンター』という彼らの名前と、その出会いを知る者は、あまりいない。
続きません。