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第2話 マッドハウス

「マッドハウスが発生した。あなたが原因ね」


そう言いながら、赤茶の、赤毛髪の女冒険者は小剣ショートソードを油断なく構えている。





マッドハウス。


ダンジョンでヒトがヒトによって殺されると起こる現象だ。




殺人の起きた現場を中心から一定範囲でダンジョンに空間魔術が発生し、そこから出れなくなる。




閉じ込められた者の誰かが殺人犯を突き止めれば、空間魔術は解除される。


犯人が見つからなくても、一定時間が経つと解除される。


期間は一昼夜から長くて2〜3日ぐらい。





「おとなしく投降しなさい。


私は組合直属の地図屋マッパーよ。


抵抗しなければ冒険者組合への報告は手心を加えてあげる」


赤毛の女冒険者の中では、俺は完全に黒ギルティだった。





「事故だ。どうしようもない事故なんだよ」


俺は言った。


説明はちゃんとしろ、姉と妹から俺はそう学んだ。




「釈明ね。一応だけど聞くわ」


赤毛の女冒険者は顎をしゃくった。




「俺はダンジョン地上一層にいた。


突然地面が光って落とし穴が出来て、落ちた。


その落ちた場所にこの女性ヒトがいて、俺は真下にいた彼女に上からぶつかった」


背中が凹んだ死体を指差しながら言った。




「地上一層で下層まで続く落とし穴なんて聞いたことがないわ」




「本当だ。


俺は魔術師組合の一員なんだ。


今日は組合の研修でダンジョンに入った。


組合に確認してほしい、途中まで組合の仲間といっしょだった。


俺が落ちたのを見た組合員もいると思う」




魔術師組合はれっきとした組織である。




赤毛の女冒険者は少し考え込む。


なお小剣ショートソードは構えたままだ。





「それが本当だって証拠はある?」




「その死体が証拠になるだろう。


背中が凹んでいるのは俺が上から衝突したせいだ。


殴った程度でつく傷ではないよ」




赤毛の女冒険者は軽く眉をしかめると、警戒しながら俺から死体へ視線をうつした。


背中が無惨に凹んだ薄い金髪プラチナブランドの美女の死体。


服には荒らされた形跡はない。





「あなたの名前は?」




「エドモン。


魔術師組合の一員で、一応治癒術師ヒーラーだ」




治癒術師ヒーラーというところを強調する。


ダンジョンの中で治癒術師ヒーラーはそうそう殺されない。




「手をあげなさい。


武装解除するわ、話はそれからよ」


そこで赤毛の女冒険者は一呼吸おいた。




「それから私はアイラ。


地図屋マッパーで冒険者組合に雇われているわ」




地図屋マッパーアイラ。


赤毛の女冒険者は名前を名乗った。


俺が名乗ったお返しだろうか。





地図屋マッパーアイラが所属する冒険者組合は、このダンジョンを管理する組織である。


中途半端な冒険者を雇ったりしない。


地図屋マッパーアイラは信用のある冒険者なのだろう。




これは不幸中の幸いと見て良いのだろうか?


それとも不幸中の不幸だろうか?




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