第12話 追放譚
ヴィオラは吸血鬼だが冒険者組合に認められたれっきとした冒険者である。本人談。
とはいえパーティーを組んでくれる冒険者はなかなか見つからなかった。
「吸血鬼の冒険者がパーティー探してるなんて、聞いたことないわね」
アイラは言った。
いろいろ手を尽くしてなんとか新人冒険者とパーティーを組むことになった。
メンバーは2人。
人間の偵察の男と、熊の獣人の斧使いだった。
ヴィオラ自身は『戦棍を武器に戦うパワーと俊敏さを併せ持つ戦士』だそうだ。
魔術師はいないが、3人でなんとかダンジョンに潜れそうなメンツになった。
「そのまますぐに潜ってれば良かったんですが……」
ヴィオラは続けた。
斥候の男がもう一人メンバーをスカウトしてきた。
エルフの女魔術師である。
攻撃魔術が得意なのだそうだ。
「でも彼女は私に敵意を持ってるんです。
きっと私が美人だからヤキモチ妬いてるんですね」
アイラは軽く肩をすくめた。
とりあえず、僕は話の続きを促した。
「即席4人パーティーでダンジョンに潜りましたが、半月だし思った以上に魔物がいませんでした」
「当たり前でしょ。半月は偵察の時期よ。稼ぐのは満月と新月」
アイラ。
「皆で話し合ってもう少し深くまで潜ろうってことになりました。
そこでエルフの女魔術師が吸血鬼とはこれ以上いっしょにいられないと言い出したんです。
ひどいですよね。
せっかくここまで来てパーティー追放はありません。
それで、反論したらクソ女、いきなりナイフを取り出して胸をグサッと」
ヴィオラはしおらしく言った。
話を聞く範囲ではヴィオラは気の毒な立場だ。
「胸を刺されて血をたくさん失って動けなくなってしまいました。
本物の死体みたいに転がっていました。
エド様が落ちてぶつかった時の記憶はおぼろげにあります。
その後はご存知の通りです」
吸血鬼ヴィオラはそう結んだ。
「なんというか、気の毒だったね」
俺は言った。
「そうなんです。私はとォーっても酷い目にあいました!」
ヴィオラは答える。
でも、なんだろう、なんかモヤモヤする。
「このヴィオラ、偽証してるわね。
エドモン、誓約効いてないんじゃない?」
アイラが冷静に言った。
「嘘ついていません」
ヴィオラは反論する。
「じゃあ隠し事をしてる。このダンジョンで起きたことを全部話してない」
ヴィオラは押し黙った。
まあ、アイラの意見には俺も同意する。
俺も隠し事のニオイを感じる。
ヴィオラが美少女なのとこれは別問題だ。
誓約に俺の質問に全て答えろって入れた方が良かったのか。
いや、そもそも偽証するなかれの誓約が不完全なのか。
本日2話目です。
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