は、強制連行って何ですか。
「くろほしのみこ・・・・・ってなんですか。」
硬直した空気の中、私は二人のイケメン―――ギルバートとアルフレッドっていうらしい―――に連れられて、応接間っぽいところに通された。
さすが宮殿。リアル宮殿。
そこまでキンキラキンなわけじゃないけど、ソファーの座り心地がもう最高。
成金趣味じゃないところがさすがだと思う。
まあ、それは置いといて。
まずギルバートはこの国の王さまで、アルフレッドは執政官らしい。つまりナンバーワンとナンバーツー。
この世界で一番強い国がこの国、ダイムラー。経済、政治的に世界のリーダーらしい。
まあ、アメリカみたいなもんだ。
だからと言って国々がみんなダイムラーにへこへこしてるような感じではないらしいけど。
で、私はわけのわからない単語に遭遇した。
黒星の御子。
いかにも怪しい。
しかも、ギルバートとアルフレッドは私がその「黒星の御子」だとかいう。
うん、カルトには興味ないけど。
っていうか怪しすぎるでしょ!!!
私がめちゃくちゃ不満そうな顔をしていたのがわかったのか、アルフレッドが説明してくれた。
「黒星の御子というのは昔話に登場する伝説の少女だな。
彼女の心と体を手にしたものは、世界の覇者となるという。」
「で、どこでその大層な御子様と私がつながるんですか。」
「黒星の御子は、漆黒の瞳と髪をもつという話だ。」
「しかも、彼女は異世界から訪れるんだとさ。」
・・・・・・。
いや、でも、その特徴だけ挙げれば確かに私もあてはまるけど!!
でも!!でも!!!
「私黒星の御子じゃないですよ?」
「なぜそう言い切れる。」
「だって私何もできないし。美人じゃないし。」
「だが。」
「私をほしいなんて思う奴はいないですよ。それかよっぽど頭がおかしいか、どちらかです。」
それを言ったとたん、ギルバートが苦虫をかみつぶしたような顔をした。
いや、だから、私が美人じゃないことぐらいわかってるってば。
「どちらにしろ、お前の噂はもう国中に広まっている。黒星の御子の話を信じるかどうかは別にして、『世界の覇者』という言葉につられる輩は少なからずいるだろう。」
「その通り。だからこの宮殿にいろ。」
いや、二人して言わなくても。
「それは・・・・・・任意同行ですか?」
「いや、強制だ。」
「えええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」
絶対王政ありえねー!!
アルフレッドが手を叩くと、可愛いいいいいメイド少女がペコっとやってきた。
え、これはまさか、まさかの。
「お部屋のご準備が整いました、黒星の御子様。」
ぎろっと二人をにらむが、アルフレッドはそっぽ向いてるし、ギルバートはなんか嬉しそう。
あいつMなのか?
むかつく勢いでメイドさんをにらんでしまった。
すくみあがっている。
っていうか可愛い。
メイドさんに免じてとりあえず許してやろう。