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異世界廃村復興記  作者: 野薔薇 零雅
第1章 復興の決意
9/45

村長の家

 異世界に来て一週間がたった。

『もう一週間たったのか、色々あったが早いもんだなー』と思いつつ畑の水やりに行く。

 畑の様子は昨日収穫した後も伸び続けているので剪定(せんてい)(おこな)い。果樹の方は(みき)が二メートル以上になりあと少しで花が咲きそうな(いきお)いだ。

 人工授粉をやるときは、ミョルニルたちと一緒に行うことにしよう。


 リリの方は完全にシザーたちに慣れてのんびり草を食べている。

 コットンはイモムシと自分の糸で布を織り、ハーグは昼寝している。


 今日はミョルニルたちと一緒に元村長の家の大掃除を行う。元村長の家は、他の家よりも大きく二階建てになっている。さすが村長の家だな。


 全部掃除するには時間がかかるので、家にある物を外に出して埃を払うだけにした。


 まずは、家の中にある家具を外に出していく。

 長く時間がたっていたせいか、かなり(いた)んだ物や触っただけで壊れてしまう物があった。約二時間で全部の家にある物を出すことができた。


 アトラたち中型ゴーレムに建築スキルで取り出すことができたほうきとちりとりを(わた)して部屋の清掃を任せた。


 僕たちは外に出した家具等の整理をすることにした。

 外に置いた荷物を捨てる物と残して置く物を分別する作業を行い出るわ出るわ、変な道具がわんさか出てきた。

 何かの目玉の瓶詰や魔物の角などが出てきた。破損した鎧や盾などもあり再利用できるため残しておくことにした。

 さらにガラス(びん)や皿などの食器や包丁や鍋などの調理道具も出てきた。

 かなり時間が立っているのに(さび)一つもなく割れてもいない、おそらく魔法を(ほどこ)しているみたいだ。

 これで料理ができるようになるのは(うれ)しい限りだ。


 分別を進めていくと、(かぎ)が十二本からなる鍵束(かぎたば)が見つかった。(かぎ)の用途がわからずミョルニルに聞いてみても、覚えていないようだ。


 さらに作業を進めていくと、中から(さび)びた剣が出てきた。見た目はよくある一般的な剣のようだ。ん?よく見ると刀身に何か文字が()られている。

 でも、かすれていて文字が読めない。

 僕は鍛冶(かじ)もできないし文字を浮き上がらせる方法も分からない。

 どうすればいいかわからず悩んでいると、離れて作業をしているミョルニルが僕が持っている(さび)びた剣を見て声をかけてきた。


「オーコレハ、前ノゴ主人様ガ使ッテイタ剣デハナイデスカ、(ナツ)カシイデスネ」

「へーそうなのか。そういえば、ミョルニルの前の主人は何をしていたの?」

「ハイ、前ノゴ主人様は、コノ()()()()()()()(ツト)メテオリマシタ」

「ふーん、この村の村長ねーって、えーーー!!!前の主人は村長なの?」

「アレ?言ッテオリマセンデシタッケ?」


 嘘だろ!!ミョルニルの前の主人が村長だったとは驚きだ。でも、村が(ほろ)びるきっかけになった戦争の時に村を守るため勇敢(ゆうかん)に立ち向かったのは納得がいく。

 ちなみに刀身に()られている文字が何なのか、ミョルニルに聞いてみたが分からないそうだ。

 この村にはまだまだ僕が知らない秘密がありそうだな。この村を暮らしていればいずれ明らかになる日が来るだろう。


 ともあれ村長の家の掃除が終わり家の中はだいぶスッキリした。今後この家を改装工事を行うつもりだ。

 お昼になり昼食をとることにした。昼ご飯は、先ほど分別の時に出たフライパンで野菜炒めを作ったが、調味料がないため味はまあまあだ。


 昼食が終わり昼からの作業を始めようとすると、ミョルニルが話しかけてきた。

「ゴ主人様、『シザー』ト『コットン』ガ呼ンデイマス。噴水広場デナニヤラ見セタイモノガアルヨウデ」

 シザーとコットンが僕に見せたいものってなんだ?とにかく行ってみよう。

 待ち合わせ場所の噴水広場に着くと、コットンの糸で(しば)られた(にわとり)に似た大きな鳥が十羽以上横たわっていてピクリとも動かない。どうやら気を失っているようだ。

 これってシザーとコットンが捕まえたのか?大きさは人間の腰ぐらいありそうだ。


「ゴ主人様、コレハ『デカコッコー』ト言イマシテ、大キナ卵ヲ産ムノガ特徴(トクチョウ)デ『コットン・スパイダー』ヤ『シルク・モス』ト同ジ様ニ数ガ少ナク、警戒心(ケイカイシン)ガ強ク(ツカ)マエルノガ大変ナ魔物デス。コノ『デカコッコー』ノ卵ハ一週間ニ一個シカ産マレナイノデ高級食材トシテ王宮(オウキュウ)献上(ケンジョウ)サレル程ノ代物(シロモノ)デス」

「へーそうなんだ。この卵を売るとしたらどれくらいの価値になるんだ?」

「ハイ、卵一個デ武器ヲ(フク)ム装備一式ガ(ソロ)エル(ホド)デス」


 この卵、かなりの高値で取引されるのか、とんでもない魔物をシザーたちは(つか)まえてきたのか。

 シザーたちによるとたまたま森に群れがいたので、気づくかれる前に(つか)まえたそうな。


 せっかくなので、デカコッコーを向かい入れるための鶏小屋(にわとりごや)を建てることにした。

 鶏小屋(にわとりごや)とは三時間弱で完成し、目を覚ます前にデカコッコーたちを縛られている糸を解いた。


 その後、目を覚ましたデカコッコーたちは最初は戸惑(とまど)っていたが、すぐに慣れ元気に走りまわる。

 デカコッコーたちに名前を付けたいが、数が多いので群れのリーダーであり鶏冠(とさか)が一番大きい一羽の雄鶏(おんどり)にトリ丸と名付けた。


 仲間が増えていくのはいいのだが、何かが足りない。

 (なや)んでいるとミョルニルが声をかけてきた。


「ゴ主人様、ドウナサレタノデスカ?」

「僕がこの世界に来てハルバ村に出会い、一週間が経ち仲間が増えてきたが、いまだに僕以外の人間がいないのは寂しいと思ってな」

「大丈夫デスヨ。待テバコノ村ヲ必要トスル人々ガ現レマス。ナノデ、辛抱強(シンボウヅヨ)ク待チマショウ」

「そうだな。村を整備しすぐに住めるようにして、この村を最高の村にぞぉーーー!!!」


 こうして僕は改めて村の復興を(ちか)うのだった。























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