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異世界廃村復興記  作者: 野薔薇 零雅
第1章 復興の決意
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初収穫

 異世界に来て六日目、昨日の戦闘でけがをしたため痛みはあるが作業には支障がないので畑に水をやりに行く。畑に向かう途中、噴水広場に魔物の死体の山ができていた。

 どうやら昨晩、ハーグが見回りついでに狩りをしていたようだ。たんぱく源は確保できたが、そもそも魔物って食べることができるのか?味は気になるがまたあとにしよう。


 リリの方は落ち着きがないようだ。そりゃあいきなり肉食の魔物が仲間に加わったから無理はない。打ち解けるには時間がかかりそうだ。


 畑の様子は最初に植えていた作物の出来は良くたくさん実っている。

 一人では時間がかかるので、みんなを呼んで収穫を行うことにした。前に用意していた木箱はすぐにいっぱいになり、急遽(きゅうきょ)追加の木箱を作ることになった。

 時間はかなりかかったが、作物をすべて収穫した。


 早速、味見をしてみよう。最初はトマトだ。木箱に入っているトマトを一つを持ってみる、重さはずっしりとしていて太陽のように赤い。それをそのままガブリと食らいつく。

 おっ!これはうまい!!!

 果肉はみずみずしく甘酸(あまず)っぱいトマトができた。他の作物も問題はない。


 せっかくなのでリリにも採れたてのトマトを与えた。リリはおいしそうにトマトを(たい)らげた。

 シザーたちもトマトを欲しそうにしていたのでトマトを与えた。

 しかし、イモムシならともかくシザーたち肉食性の虫も野菜を食べるのか?

 そんな疑問を持ったが、シザーたちはすぐにトマトを平らげた。


 ここまでに色々大変なことがあったが、ともかく異世界生活を開始して初の収穫は大成功だ。

 その後、作物が入った木箱は、あらかじめ建てておいた小屋に保管した。


 昼になり昨日できなかったミョルニルの報告を聞くことにした。


 ミョルニルによると北には岩場があり、誰かが採掘(さいくつ)した後が確認したという。ミョルニル(いわ)く、昔は石材を確保しようとしたが、岩が(かた)くて()ることもできなかったそうだ。

 おそらく村が(ほろ)んだ後に(かた)い岩を採掘(さいくつ)する技術が開発をしたのだろう。


 あと滝が見つかったそうだ。東の方へ流れているので以前ナギたちが見つけた川に続いているのだろう。この滝から村に水路をつなげるのもありかな。


 僕はアトラたち中型ゴーレムとシザーを連れて、昨日できなかった東にある竹林に向かい、竹を取りに行くことにした。

 ミョルニルとルンたち小型ゴーレムは農業スキルの農具を使って畑の拡張をしてもらい、

 コットンは魔物の解体をしてくれるそうだ。


 僕たちは西へ進み目的の竹林についた。竹林の様子は長年手入れをしていないため、生え放題で()れている竹もある。

 このままだと生育に悪影響を(およ)ぼすため、すぐに作業にとりかかった。

 僕とゴーレムは(のこぎり)で一本ずつ倒していき、シザーは自慢のハサミで竹をなぎ倒す。

 ものの数分で木漏(こも)れ日が差すぐらいにすっきりとした。


 手に入れた竹は二十メートル以上あり、()れたものも(ふく)めてざっと百本以上だ。倒した竹は十本を一束にしてアトラたち中型ゴーレムとシザーに運搬(うんぱん)してもらった。


 村に戻るとミョルニルたちとコットンの作業を終えているようだ。ミョルニルによると畑の拡張は、東の方は必要以上に拡げると管理が回らなくなるので、南の方に二十平方メートル(十m×ニm)の畑を作った。

 ちょうどスパイスとハーブの栽培をしたかったところだ。

 そのまま僕の農業スキルで取り出した唐辛子・クミン・パクチー・などの香辛料の種とレモンバーム・マジョラム・ペパーミントなどのハーブの種を植えた。


 コットンの魔物の解体の方は、皮・骨・肉・臓器にきっちりと分けられていた。解体したものをまじまじと見ていると気分が悪くなってしまった。

『本当に、これは食べれるか?』と疑問を持ってしまう。

 運搬(うんぱん)した竹は水分が多く加工ができないので、日のあたるところで(かわ)かすことにした。


 夕方になってきたので、今日の夕食は魔物の肉を焼いて食べよう。その前に一つ問題がある、それは火がないことだ。火打石があっても時間がかかる。

 どうしたものかと考えていたら、ハーグが何か言っているのでミョルニルに通訳よると。

『オレニ任セロ、(マキ)ヲ置イテクレ』と言っている。何のことかわからないが、ハーグの言うとおりに(まき)を置くとハーグが(まき)に近づき、すると口からボォーーーと炎を吹いたではないか。


 突然のことでびっくりしたが、『虫が苦手な炎を使えるなんてさすがは異世界だな』と感心をしてしまうのは言うまでもない。

 ともあれやっと肉が焼けるのだから細かいことは気にしない。


 焚火(たきび)に木の串に刺した肉を焼く。十分に焼けたので肉にかじりつく、味付けしていないので味がない。

 ハーグたち肉食虫は栄養がある魔物の臓器を食べている。

 うーーん、やっぱり臓器を見ていると気分が悪くなる。リリの方は今朝採れた野菜を食べている。

 今のところはハーグ達に対して警戒をしていないようだ。


 明日は手を付けていなかった。元村長の家の掃除をすることにしよう。













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