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異世界廃村復興記  作者: 野薔薇 零雅
第1章 復興の決意
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虫・虫・虫

 仲間になったシザーと一緒にグナの実を食べていると、ドシンドシンと大きな音が近づいてい来る。もうかえってきたか。 

 ナノたちの伝達で村の襲撃の一報を聞いたミョルニルたちが探索を切り上げて戻ってきた。


「ゴ主人様~~~、大丈夫デスカ~~~、村ヲ襲撃シタ巨大サソリハドコニイル出テコイ!!!」


 ミョルニルたちは村に戻ってきて早々に戦闘態勢に入っている。


「ミョルニル待って、シザーは改心して村を荒らすことはしないから大丈夫だよ」

「エッ?ドユコト???」


 僕はミョルニルに事の経緯を話した。


「ニワカニ信ジガタイ、マサカ『ジャイアント・デス・スコーピオン』ヲ仲間ニスルトハ」

「僕だって信じられないよ。砂漠にしかいない『ジャイアント・デス・スコーピオン』が出てきたんだからびっくり仰天だよ」


 しかしシザーがいつやってきたのか、どこからやってきてこの森に来たのだろうかまったく見当がつかない。ララに何があったか気になるところだ。


 考えていると、ミョルニルがシザーに近づき何かしている。


「フムフム、ナルホド」

「ん?ミョルニル、シザーの言葉がわかるのか?」

「多少デスガ、聞ケルダケ聞イテミマス」

「分かった。通訳をお願い」


 そしてミョルニルによる通訳によってなぜシザーがこの森にいるのか判明した。


 シザーはこの森から南西にある砂漠に住んでいたが、縄張(なわば)り争いに負けて住む場所を失い路頭に迷って着いた場所がこの森だった。長旅に疲れて寝ている所をララが邪魔をしてしまい激怒して追いかけ回していたそうな。


 なるほど、そうゆうことだったのか。


 一応、ララがシザーに何をしたのかと聞いてみた。


 ララは資材探しの準備をしているときに、小動物を見つけて、そのまま追いかけて森に入ってしまい。

 木の根で転んで寝ているシザーにぶつかって怒って追いかけまわしていたそうな。


 ララ~~、なにをやっているんだよ~~~、次からみんなに注意をしておかなければいけないな。


 シザーは続けて何かしゃべっていて、ミョルニルはその話を聞いている。


「ゴ主人様、シザーガ『俺ノ友達モコノ村ニ住マワセテホシイ』ト(モウ)シテオリマスガ、イカガイタシマショウカ?」

「いいよ、仲間がたくさんいる方が楽しそうだから」


 僕の返事を聞いたシザーは、すぐに森に入って行った。しかし、シザーの友達はどんな奴なんだ。

 数分後、シザーが連れてきたのは、全長が六、七メートルぐらいある巨大ムカデと毛がふさふさの巨大クモと人間ぐらいのイモムシが六匹クモの背中に乗っている。

 なるほど・・・シザーと同じ節足動物(せっそくどうぶつ)のことだったか。

 彼らも同じように住む場所から追い出されてきたそうな。

 ムカデの方は昨日読んだ魔物図鑑に()っていたな、確か名前は『アーマード・センチピード』だったかな。


 クモとイモムシの方は見たことがないので魔物図鑑を持ってきて読んでみたのだが、該当(がいとう)する情報は()っていなかった。

 もしかしてこの図鑑が出た後に見つかった新種なのか?この魔物は何なのかわからずにいると、ミョルニルがクモとイモムシを見て何かを思い出したかのように叫んだ。


「アーーー!!!コッコレハ(まぼろし)ノ『コットン・スパイダー』ニ『シルク・モス』ノ幼虫デハナイカ!!」

「びっくりした!!驚かさないでよ。てか、この魔物をしっているの?」

「知ッテルモ何モコノ『コットン・スパイダー』ト『シルク・モスハ』、頑丈で上質な糸ヲ作ルコトガデキテ、個体数ガ少ナク野生デハ遭遇スルコトガ奇跡ナンデスヨ!!」

「なるほどな~~。でも、図鑑には()っていないのに、なぜミョルニルはこの魔物を知っているんだい?」

「昔、コノ村ニ来タ商人ト一緒ニ連レテイマシタ。『コットン・スパイダー』ト『シルク・モス』ガ図鑑ニ()ッテイナイノハ、乱獲ヲ防グタメ()セテイナイノデス」


 そうゆうことか、しかし、とんでもない魔物を仲間にしたものだ。だが、これで布団や服などの布製品を生産することができるぞ。

 しかし、織り機がないからも困ったものだ。


 するとクモが脚を動かして何かを伝えようとしている。

 ミョルニルに通訳をしてもらうと、

『ボクガ自分デ糸ガ織レルノデ心配シナクテイイヨ』だそうだ。


 クモに続けて、ムカデも(あご)を動かして何かを伝えようとしている。

 これもミョルニルに通訳をしてもらうと、

『オレハ夜行性ダカラ夜ノ見回リナラ任セテクレ』だそうだ。


 シザーたちには約束として「今後、入ってくる住人達を襲わないこと」「見回りに時に不審者がいた場合、殺さずに生け捕りにすること」などの条件で村に(むか)え入れることにした。


『アーマード・センチピード』はハーグ、『コットン・スパイダー』はそのままでコットン、『シルク・モス』の幼虫たちは名前はいらないそうだ。


 せっかくなので、コットンに掛布団と敷布団の製作をお願いするとコットンのお尻から出た糸とイモムシたちの口から出た糸をコットンの(あご)と脚を使って織り始めたのだ。十分もたたずに布団を完成した。触り心地はサラサラでフカフカして気持ちい、今にもぐっすり寝てしまいそうだ。

 ハーグはまだ昼なので夜まで待機してもらうことにした。


 今日は色々あってへとへとだし、シザーとの戦闘でけがをしてしまったので、ミョルニルの探索の報告は明日でもいいだろう。コットンが作った布団で寝るか。









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