フィチャーチャーSide 鉄鋼国皇帝の受難
この話はシュバイエが主人公の村に行く数日前の話である。
ガハハハハハ。
ワシの名はライゼル・フィチャーチャーだ。
ブランチ鉄鋼国皇帝として君臨しておる。
元々ワシは鍛治職人の生まれで貧相な暮らしをしていた。
当時の国王は他国の侵略に恐れて頭を下げるような態度であったため、不信感を抱いたワシは同志を集め反旗を翻し、当時の国王を王座からおろし、ワシはこの国を皇国にし皇帝の座についたというわけだ。
この国は鉱山が多くあり採掘した鉱石は他国に輸出していたが、それらの鉱石を自国で武器製造に切り替え、他国に倍の値段で売りつけている。
その甲斐あってかなり大儲けし、その資金を軍事に充てることができたので、エストラル大陸一の軍事国家になったのだ。
そして、最近はガルベラ火山の近くにオリハルコンの鉱脈が発見したそうじゃないか。
これがワシの物になればこの大陸最大国家のエストラル王国を潰すことができるはずなのに、メギドゥームがオリハルコンの所有権の主張し始めたのだ。
あのクソ魔族の王なぞしゃしゃり出おって、さらには部下から得た情報で、巨大な戦艦を建造しておりガルベラ火山を経由してワシの国に攻め込もうとしているというではないか!
これは売られたケンカは買わなくてはな。
と、いうことであちらが戦艦を作るならば、こちらはもっと強力でさらに巨大な戦艦を作ればいいのだ。
この国の鉱山から採掘された鉱石を大量に使い、国中の男衆を総動員で導入し、この国が持てる技術を注ぎ込んで建造し完成した。
その名も魔導式飛行戦艦『グスタフ』。
こいつさえいれば目障りなメギドゥームどころか憎っくきエストラル王国を滅ぼすことなど朝飯前だ。
こうして完成したグスタフを筆頭にガルベラ火山でメギドゥームを迎え撃つたけだ。
そして決戦当日。
斥候からの情報でメギドゥーム軍はワシのところへと進軍を開始した。
ワシはグスタフに乗り、戦場へと赴きメギドゥーム殲滅作戦を開始したが、ここで予期せぬ事態が起きてしまった。
ガルベラ火山が突然噴火したのだ。
おそらく観測史上最大規模の大噴火だ。
戦場はパニックに陥り、噴火による火山弾の直撃で我が国最高傑作のグスタフが一瞬で屑鉄になり、参加した兵士は大量の死者を出してしまう事態になってしまった。
この状況は向こうも同じで、これ以上は戦争が続けられないということになり、お互いやむを得ず、休戦になったのだ。
ワシは命がらがら国へと戻ったが、この事実上の敗戦を国民は聞くこととなり、これを聞いた国民は、今までの不満が爆発し、各地で暴動が起きた。
さらに、一部の国民は他国へ亡命し、ワシの妻たちは愛想を尽くし子供を連れて生まれ故郷へと帰ってしまった。
さらには、ワシに忠義を仕えていたダウストンがワシを裏切り亡命するとは・・・。
このワシの顔に泥を塗りおって!!!
あとで裏切者には重罰を与えねばな。
そして、今この城に残っているのは、第一婦人のメイニラ、倅のガニッシュ、娘のメイリスとシュバイエ、そして、ワシの直属の部下であるダウストンを除く六鋼将と一部の兵士だけだ。
ああーーー、こうして話しているだけでもはらわたが煮えくり返るほどワシは腹が立っている。
ところでワシはというと、憂さ晴らしとして娼婦館を運営している知人にお願いし、娼婦百人を相手に乱痴気騒ぎをしているところだ。
うひょーーー!!!
やっぱり、女の身体はいいぞ!
こうしてワシは女どものと相手にし続けて五十二人目に入ろうとした時、ワシの直属の部下であり六鋼将の一人であるグニツェがノックもせずに入り込んできた。
「陛下、大変です!」
「うるさい!ワシは今それどころではなぁあい!ワシは今、憂さ晴らしのための娼婦百人切りをしているところだ!邪魔をするならこのまま処刑にするぞ!」
「ですが陛下。今はそれ所じゃなく・・・」
「なんだ?はっきり言ってみんか!!!」
「はい!先ほど斥候からの情報で私の元同胞であるダウストンの姿が確認しました」
「なんだと!それは本当か!?」
「はい。間違いありません」
「ぐぬぬ・・・。あの裏切り者めが!」
「どうなさいますか?」
「決まっとる。あいつを即刻処・・・、いや、待てよ。そうだ!」
「フィチャーチャー様?」
「おい、シュバイエ。いるか?」
「はっ、ただいまここに」
ワシの呼び声で現れたのはワシの娘であるシュバイエだ。
彼女は小さい頃から暗殺の才能があり、訓練を重ね今ではこの国最強の暗殺者になった。
主にワシにたてつく貴族や反乱分子の首謀者の暗殺を任せている。
「父上。私に何の御用で?」
「単刀直入に言おう。シュバイエよ、『神の使い』をここへ連れてこい」
「なんだって!陛下正気ですか!?下手をすれば国際問題に・・・」
「おい、グニツェ。ワシに意見する気か?」
「も、申し訳ございません。ですが、なぜ神の使いを誘拐をするのですか?」
「なぜって?それは簡単なことだよ。神の使いをワシの監視下に置けば、今この国に残っている民の信頼回復ができるし、メギドゥームやエストラル手出しはしないだろう」
「なるほど!そういうことでしたか」
「分かればよろしい。というわけで、シュバイエよ。準備ができ次第村へ向かい、神の使いをワシの元までてれてくるのだ!」
「はっ!」
シュバイエは返事をした後、グニツェと共に作戦の準備のため部屋を出た。
これで邪魔者がいなくなったので、ワシは娼婦百人切りの続きを再開した。
ぐふふふふ。
神の使いがワシの元に置くことができれば、完全無敵の帝国を築くのも夢ではない!
見ておれ他の国の者どもよ。
恐れおののき交戦前の降参してもてもワシは徹底的に潰してやるからな!
ふははは、ふはははははははははーーー!!!!!!!
だが、ワシはこの時、神の使い誘拐作戦が失敗し、エストラル王国から人質の取引をすることになることはまだ知らなかったのであった。




