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異世界廃村復興記  作者: 野薔薇 零雅
第1章 復興の決意
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対決!!!立吹VS巨大蠍

 異世界に来てから五日目の朝、いつも通りに畑に水をやり行く。作物の様子は最初に植えた方は花が咲きはじめていて明日には実が着いて収穫ができるだろう。

 後に植えた方は幹が伸びてきたので、小屋の廃材で作った支柱を立てた。


 果樹の方は芽が出てきた。果実の収穫まで時間はかかるが、今後の成長が楽しみだ。


 リリの様子は前よりだいぶ落ち着いてきて小屋を出てきて村を歩きまわるようになった。元気になってひとまず安心した。


 異世界での生活には慣れたが色々問題がある、それは服や家具等の生活用品がないことだ。

 タンスやいす等は木材があるので何とかなるが、衣服や布製品は天然繊維(てんねんせんい)がないので作るのが難しい、最初に綿や麻を植えとけばよかったと後悔した。時間があれば綿と麻の畑を作ろう。


 簡単に朝ご飯を食べて早速作業に取り掛かる。


 今日はミョルニルとアトラたち中型ゴーレムが以前あまり調べることができなかった北側に探索しにいった。昼ごろには帰ってくるそうで、今村に残っているのは僕とルンたち小型ゴーレムだけだ。

 僕達は木材以外の資源を確保するための準備をしていると。


「ゴゴゴ〜〜〜」


 この声はララか?かなり慌てているようだが何かあったのか?声は村の出入り口の方から聞こえたので村の出入り口へ向かった。

 村の出入り口に着くと、ルンたちが集まってララを慰めている。一体なにが起きたのかララに聞いてみたいが、通訳ができるミョルニルは探索にいっているので(らち)が明かない。

 その時、森の方からバキバキと音を立てて大木が薙ぎ倒されていき段々と音が大きくなっていく、どうやらこの村に向かってきているようだ。


 僕たちはすぐに対応できるよう身を構えると、ガシャーン!!!っと盛大に木の柵を壊して周辺に煙が舞う。煙の中に黒い影が見える。

 獣にしては体が平面だなと見ていたら、スパッと何かが煙が切り裂き段々と煙が晴れていきようやく姿を現した。

「キシャーーー」っと声を上げたその姿は鋭利なハサミが二つにしっぽの先に毒針を持ち体が黒色の巨大なサソリだ・・・・・ん???

 このサソリどこかで見たことがあるぞ、どこで見たのかな?


 ・・・・そうだ!!


 昨日読んだ魔物図鑑に()っていた『ジャイアント・デス・スコーピオン』じゃないか!!!

 本来砂漠に生息しているはずが、なぜこの森にいるんだ?

 ここは落ち着いて考えていたいが、相手はかなり興奮している様子。

 これは村の存続に関わる一大事だ。


「ルン・ガロン・ハートはリリを探して見つけ次第(しだい)村の外へ避難を、ナノ・ララ・フラは探索に行っているミョルニルを呼び戻して、ドラ・ブル・ラグ・リットは僕と一緒に村を守るんだ!!」


 ルンたちは指示を聞いてすぐさま行動を移す。僕は手に(なた)を出して構える。

『異常状態無効』のスキルで毒状態にはならないが、刺し傷は受けてしまうので気を付けなければならない。


 最初に攻撃を仕掛けたのはサソリだ。


 サソリは鋭利(えいり)なハサミを突き立てて(こぶし)のように(なぐ)りかっかてきた。

 ズシーンっと大きな音が上がったが、すぐに攻撃をかわすことができたけど、次に反対のハサミで攻撃するがこれもすぐにかわすことができた。


 すると、しっぽの毒針で刺しにかっかきた。


『このままだと刺されてしまう』


 そう思った時、ドラたちが大きい石を投げてサソリにあてた。


 サソリはドラたちがいる方へ背中を向ける。


 チャンスだ!この機を逃すまいと(なた)を振り上げて攻撃を仕掛ける。

 だが、サソリはこちらの気配に気づいて毒針が付いたしっぽを振り、僕の体を当ててボールのように飛んでいき地面にたたきつけられた。

 グハッ!!口から血が流れている。

 どうやら口内を切ったようだ。(さいわ)い骨折はしていないが、身体の節々が痛み立つのがやっとだ。


 サソリは視線を変えて僕の方にとどめを刺しにかかる。僕も最後の力を出し(なた)をもって走ったが、力が抜けて倒れてしまった。

 持っていた(なた)は手を離れて()(えが)くように飛んでいく。

『もうだめか・・・せっかく女神様がくれた新しい人生があっけなく終わってしまうのか』とそう思った時だった、運命のいたずらか飛んで行った(なた)は、サソリの脳天に刺さった。


「ギグシャーーーー!!!!!!」


 サソリは断末魔(だんまつま)を上げて倒れた。


「やっやった・・・のか?やっっったぞーーー!!」


 僕は体を起こして声を上げた。


 ドラたちは僕と一緒に抱き合いながら飛び跳ねた。リリと避難したルンたちも様子を見て戻ってきた。いやあ一時はどうなるかと思ったが、自分の力で魔物から村を守ることができてよかった。

 ミョルニルと呼びに行ったナノたちが帰ってきたら、祝杯でも挙げるか(グナの実しかないけど・・・)


 ・・・・・・カチャ


 ん?何か物音がしたような?気のせいか・・・そう思った時だった。


「グギャーーーー!!!!」


 死んだはずのサソリが体を起こして咆哮(ほうこう)を上げたのだ。

 気のせいじゃなかった、サソリは完全に死んでいなかったのだ。もう戦う体力も気力もないしルンたちも突然のことで動揺(どうよう)している。


 ここまでか・・・あきらめたその時、サソリはハサミと頭を地面をついてしっぽを左右に振っている。もしかして土下座をしているつもりか?もしかしたら油断をしている(すき)に襲ってくるかもしれない。


 ルンたちの心配をよそに(おそ)(おそ)るサソリに近づいて様子をみてみるが、特に反撃はしてこないようだ。


 もしかしたら仲間にできるチャンスか、一か八かかけてみた。


「もしゴーレムを襲ったことを反省しているなら、君の頭に刺さっている(なた)を取ってあげようか?」


 サソリは自分の頭を出して、僕は頭に刺さっている(なた)を引き抜いた。動揺(どうよう)していたルン達は僕のところに集まってきて心配そうにしている。


「この子はこれ以上村を荒らさないから大丈夫だよ」


 一時はどうなるかハラハラしたが、『ジャイアント・デス・スコーピオン』を仲間にすることができた。


 名前はどうしようか・・・そうだ!!


 ハサミが特徴的(とくちょうてき)なので『シザー』と名付けた。


 戦いをしたせいかお腹が減ったので、ミョルニルたちが戻るまでシザーと一緒にグナの実を食べて待つことにした。









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