調味料と加工食品づくり
蒼我さんによる極東の国ヤマトに関する話を聞き終えたあと、デビル・ドラゴンの遺体を回収しに行ったミョルニル達が帰ってきた。
ミョルニル達が運んだバラバラになったデビル・ドラゴンの遺体を旧噴水広場にドンと置いた。
一通り運び終えると、僕は蒼我さんの話に参加できなかったミョルニルに月さんが放った技についてやヤマトの歴史のことをすべて話した。
「ナルホド、ヤマトノ人ニハソンナ秘密ガアッタノデスネ」
「そうなんだよ。わざわざ隠す必要がないと言いたいどころだが、この技術を悪用しないためだったとは」
「でも、蒼我さんだけじゃなく東村の方達も大変だったじゃないかしら」
「確かに、いきなり変なところに逃げてきたのだから余計にな・・・」
最初聞いた時はなにも感じなかったが、今回話を聞いた今は、東村の人達には申し訳ない事をしてしまったな。
でも、今は少しでも安心して暮らせるよう頑張らなければいけないな。
話を終えたところで周りを見ると、バラバラになったデビル・ドラゴンの周りに人が集まっていた。
この森ではなかなか見れない魔物のため、大人も子供も興味津々で見ている。
せっかくの大物が獲れたので、月さんが倒したデビル・ドラゴンの遺体を見てみる。
改めて見てみると、体は黒くて硬い鱗で覆われ、頭にはらせん状の角が生え、足先の爪は猛禽類の爪のように鋭く、体はずっしりと大きく見てるだけでも重いと感じてしまう迫力がある。
月さんはとんでもない獲物を仕留めていたというのか。
僕はデビル・ドラゴンの遺体をまじまじと見ているとラーブさんの声が聞こえた。
「これまたすごいのう。儂の長い人生で初めてじゃ!」
「ラーブさんも見たことがないのですか?」
「もちろんじゃよ。デビル・ドラゴンなんて目撃例が少ないから幻といるのじゃ」
なるほど。僕達は今、貴重な体験をしているのか、せっかくいい物が手に入ったので何か有効活用ができないものか。
ちょっとラーブさんに聞いてみよう。
「ねぇ、ラーブさん」
「なんじゃ?」
「これって何か使えないのですかね?」
「使えないって、そりゃたくさんありますぞ!」
「例えば?」
「この角は武器や薬に彫刻像もなるし、鱗は武器や鎧の装飾に、血と内臓は万能薬やエリクサーなどの上級薬の材料などなど使い道があるのじゃ!」
「へぇ~、色々あるんですね」
思ったより使い道があることが分かった。
あと、ドラゴンの肉っておいしいのか試してみたかったが、断面を見てみると肉は赤色ではなく紫色になっており、見ているだけで食欲が失せてしまう。
この肉についてラーブさんに聞いてみたら、肉は薬の材料に使えるそうだ。
せっかくだし、このデビル・ドラゴンを解体し交渉素材として置いておくことになった。
解体はいつもコットンがやっているのでお願いをしたのだが、自分より大きな魔物を解体したことがなく、一匹ではできないと断られたので、どうしようかと考えていたら、幸いにもブランチ地区で魔物の解体をしたことがある人がいたので、手伝いに入ることで解決した。
今朝は大変な目に遭い疲れたので、昼寝をしギャラガンさんの件を片付けてから作業に入ろう。
約二時間後・・・。
僕は昼寝をしたのちギャリガンさんの打ち合わせを行った。
議題だった教会のステンドグラスについて意見をまとめることができた。
ステンドグラスの絵は彼が崇めているドラゴンを被写体のして作ることになった。
ステンドグラス製作は後日、材料がそろえ次第実行することになった。
やっと教会作りの話がまとめることができたことだし、今日は調味料と加工食品作りを行おう。
僕は早速、調理の準備をしていると、先ほど部屋で寝ていた月さんと蒼壱郎と千夏が僕のところへとやってきた。
「月さん、蒼壱郎に千夏!?もう体は大丈夫なんですか?」
「えぇー。少し休んだら楽になったので」
「まだ頭が痛むが、拙者も大丈夫でござるよ」
「千夏も!」
月さん達が元気で良かった。
少しほっとしていると、月さんが僕に話しかけた。
「村長。あのことなのですが・・・」
「あのこと?あぁー、あれですか!」
「はい・・・」
月さんは少し元気がなさそうな返事をした。
僕と月さん達と少し間が空いたと思いきや月さんはいきなり僕に頭を下げた。
「村長。今まで黙ってごめんなさい!」
「つ、月さん!?」
「本来ならばすぐに話せばよかったのですが、ヤマトのしきたりで話すことができませんでした。本当に申し訳ございません!!!」
月さんの謝罪で僕は驚いたが、僕は頭を下げている月さんに優しく言葉をかける。
「月さん頭を上げてください」
僕の言葉に月さんは顔を上げる。
そして僕は続けて話しかける。
「今までの態度のことは気にしてませんし、むしろ月さん達の故郷であるヤマトについて深く知ることができてよかったです。だから、謝まらなくてもいいですよ。これからも村のためにもよろしくお願いします」
僕は月さんの前に右手を出して握手を求めた。
そして月さんの反応は、少し涙を浮かべながら返答した。
「はい。よろしくお願いします!」
月さんは右手を出して握手を交わした。
これでヤマトの技術の件は完全に終わった。
少し落ち着いたところで月さん僕に話しかける。
「村長。今までご無礼のお詫びと言ってはなんですが、何か手伝うことはありませんか?」
「うーん・・・。そうだ!月さん」
「はい。なんでしょう?」
「この後、加工食品と調味料づくりをするのですが、それを月さんに加えて、蒼壱郎と千夏ちゃんと一緒にも筒だってくれませんか?」
僕は月さん達に加工食品と調味料づくりの手伝いをお願いした。
「はい、任せてください」
「拙者も手伝うでござる」
「千夏も!」
月さん達は快く了承したので、加工食品と調味料づくりをした。
調理する場所は、僕の家の厨房室で行う。
月さん達に加え、ボクードタ族のレコラに、オレリア族のガウラも手伝いながら食品づくりをスタートした。
まず、村で釣った川魚を三枚におろして身と内臓を分けて、皮をはぎ、さらに一口サイズにカットし、内臓を綺麗に洗い流した。
一通り下処理を終えると、身と内臓と塩を木でできた小さな桶へ一緒に入れて蓋をした。
「村長、これは一体何を作っているのですか?」
「これは塩辛って言うんだ」
「塩辛?これっておいしいのか?」
「僕は食べたこともないし、作ったこともないけど、おいしいから楽しみにしてよ」
「村長が言うなら・・・」
そして、次の作業へと移る。
最初に、村の畑で採れた玉ねぎと香辛料畑で採れたニンニクの皮をむき、むいた玉ねぎとニンニクをみじん切りにして、熱した油に入れこんがり揚げてフライドオニオンとフライドガーリックを作った。
そして、完成したそれらを以前作ったラー油を別のツボと一緒に入れてラー油がしみ込めば、おかずラー油の完成だ。
完成したおかずラー油にみんなは興味津々だ。
「なんだかにおいだけでもお腹が減りそうだな。しかしどうやって食べるんだ?」
「これは、焼いた肉につけて食べるのだけど。僕のおすすめは、炊いたご飯に少々のせるだけで、おかずがなくてもご飯がたくさん食べれるんだ!」
「これだけでご飯が!?信じられないでござる」
「ははは。でも、食べすぎには注意だよ」
「は~い」
そして、次で最後の作業だ。
まず、村で採れたデカコッコーの卵を卵白と卵黄に分けて、分けた卵黄と塩と酢をボールに入れて、混ぜながら少しずつ油を入れた。
混ぜる係りはガウラにお願いした。
しばらく混ぜると白く濁り、とろとろになったらマヨネーズの完成だ。
完成したマヨネーズは保存がきかないので、マヨネーズの使い道を教えて希望者に配布したため、空になった。
なお、余った卵白は捨てるのがもったいないので、スライムのえさになった。
これで、調味料と加工食品作りは問題なくできたので、今後はそれぞれ安定した作り方を確立し、それらを大量生産できる状態にすれば、村の名産品として販売することが可能になるし、村の働き口として可能になるので一石二鳥だ。
さて、気づけば夜になっていたので、今日の作業で出来たおかずラー油とマヨネーズを試食も兼ねて晩御飯しますか。
エリールはその場にいなかったので、僕たちが作った調味料を見てどんな反応するのか楽しみだ。




