必殺!!!ヤマトの奥義炸裂
元東村の住人の政義たちが村に遊びに来て、一週間後の朝。
説明しなくても分かっていると思うが、僕は畑の水やりをしている。
前に来た元東村の住人である政義たちが来て、あれから一周間もたったのか。
時が立つのは早いものだ。
まあ、それはそれとして。
政義達が帰った後の報告をしておこう。
政義達が港町キトナへ帰った翌日、中断した魔物の調査を再開しつつ、村の地質調査としてダウストンを筆頭に調査隊が結成された。
それで調べていくうちに面白いことがわかった。
まず、元々この村に置いてあった魔物図鑑に載っている情報はかなり古いため、全く当てにならない。
さらに、この村で飼っているデカコッコーに至っては、デカコッコーの代わりになるミドルコッコーとなる魔物が見つかり、それらの繁殖に成功したため、価値が暴落し、デカコッコーの卵の価値は一ゴールドにならなくなったそうな。
次に、この森の魔物の生息域について。
いつもハーグ達が狩ってくる魔物からこの森にはどんな系統の魔物があることがわかった。
例えば、村周辺には小動物系の魔物がおり、村の北側には岩場があるので爬虫類系の魔物がおり、村の東側には開けた土地があるため大型の魔物が、村の西側と南側は、哺乳類系の魔物が住んでいることが分かったのだ。
次に、この森の周りの地形について。
前にエリールが持っている地図でこの森の周りが山で囲まれていたので、てっきり盆地かと思っていたのだが、実はそうでもなく東と南西側は開けたところがあり、山の標高は千メートル未満のようだ。
なので、この前に村に荷車や馬車がこれたというわけだ。
続いて、村の施設についてだ。
以前、中断していたギャリガンの教会作りについては二日間の話し合いの末、教会の建設が再開した。
教会の方は基礎となる柱が四本建てた状態で中断しているので、作業は滞りなく進み外壁と屋根が完成した。
後は内装だけなのだが、また内装のことで揉めて中断するのは良くないので、ここはギャリガンさんと打ち合わせをしてから内装工事をすることにしよう。
さらに、新しい施設を建設した。
一つは、パン工房。
パン工房に関しては原材料となる小麦粉が大量にあるのと、村に避難したボクードタ族とブランチ鉄鋼国の人がパン作りに必要な酵母を持ってたということもあり、パン工房を建てたというわけだ。
二つ目は、漬物工房。
これについては、村で作った塩と大量の野菜があるので、漬物作り専用の施設を建てた。
これにより毎日漬物が作れるので、作物が育てなくなる冬に備蓄ができるようになった。
後は、僕がある物を作るためでもある。
それは後のお楽しみにしておこう。
三つ目は、乾物工房。
村のため池で採れた魚や魔物の肉、野菜や果物を干して保存するための施設で、前にも話したようにこの村には魔法が使えない人のために建てた。
先ほどの漬物工房と一緒に活用し、万が一、作物の不作や災害などの非常事態が起こった時でも非常食として使うことができるため、村の飢饉が防ぐことができるわけだ。
さて、話はここまでとして。
僕は毎朝の水やりを終えて、そのまま家へ戻り朝ご飯を頂いた。
朝ご飯を頂いた後は、今日の作業を行う・・・とはいってもギャリガンさんの教会についての打ち合わせぐらいしか残っていない。
仮に教会の内装工事の打ち合わせが終わっても、この世界に来てからどうしても作りたかった漬物などがあるのでその時間に費やすことができる。
あくまでも早く終わった場合の話なので、まずは教会の内装工事の打ち合わせをやろう。
僕は畑から打ち合わせ場所になっている自宅まで歩いていると、ダウストンを含む少数の大人と村の子供達が団体になって歩いていた。
その中には、蒼壱郎と千夏がいた。
僕はダウストン達に挨拶をした。
「みんな、おはよう」
「これは村長。おはようございます」
「「「おはようございます」」」
子供たちの大きな声であいさつを返した。
「ところでダウストンさん。子供達と一緒にいるけど、今から畑に向かうところなの?」
「いえいえ。子供達と一緒に森の散歩しに行くところです」
「え?森の散歩?」
「はい。今まで安全のためにこの村の中だけで遊んでたのですが、最近は村の中で遊ぶことが空き始めてきたので、気分転換も兼ねて我々の付き添いのもとで散歩をすることになったのです。もちろん、ご家族方にも了承を得ています」
うーん、確かにこの村は魔獣の森の中にあるので安全のために村の中で遊ばせていたが、好奇心旺盛で育ちざかりな年ごろの子供たちにとってはすぐに飽きてしまいストレスが溜まるのもよくない。
かといって安全の確保ができてないに村の外へ出るのもよくないが、ダウストンを含む大人たちがついているので、ここはダウストンに任せよう。
「わかった。でも、危なくなったらすぐに戻るんだぞ」
「はい!ではいってまいります」
ダウストンが返事をした後、僕は手を大きく振り彼らを見送った。
「さて、打ち合わせに行くとしますか」
僕はこのまま打ち合わせ場所としている教会の建設地へと向かった。
打ち合わせ場所についてすぐに打ち合わせを始めた。
その内容は、内装と必要な資材について話し合った。
数分後・・・。
うーーーん。
中々決まらない。
話しには聞いていたが、ギャリガンさんの教会に対するこだわりが強すぎる。
どんなこだわりがあるかというと、まず教会内に置かれる椅子の長さと配置する個数に、そこに置かれる祭壇の形状、そして教会内に飾るステントグラスに使うガラスとその配置場所についてだ。
まず、教会に使われる祭具や家具の調達が問題だ。
例えば教会に置かれる椅子は一列でも十分だが、結婚式を行う想定して建てられているため、七人が座れる椅子がそれぞれ五台を二列に並び合計で十台必要になる。
後、それらに使われる素材や形状など細かい注文があるので、これだけでも悩ましいのが、椅子の問題が解決をしたとしても、祭壇やステンドグラスなどがあるので考えるだけでも嫌になりそうだ。
たけど、ギャリガンさんの要望をできるだけ叶えるようにしないと、それこそお互いに雰囲気が悪くなる。
僕はギャリガンさんと話し合いをした結果、椅子と祭壇は以前、この村に訪問した商人ギルドのギルド長であるヨーヌルトさんに頼むのと、ステンドグラスの題材は後日話し合うことで、うまくまとめることができた。
はぁー、やっと一つの山を越えることができた。
気付けば、すっかりお昼になりそうなので、ギャリガンさんと共に部屋から出ようと席を立とうとしたその時だ。
ドカーーーーーーン!!!
何処からともなく大きな爆発音が鳴り、まだ建設途中の教会の壁と地面がグラグラと激しく揺れた。
地震の揺れは一分もたたずに静かになった。
「村長!大丈夫ですか!?」
「大丈夫だよ。ありがとう」
なんだ?今のは地震か!?
地震にしても揺れる時間がかなり短かった。
そんなに大きくない地震なのか?
いや、今は他のみんなの安否確認が優先だ。
僕とギャリガンさんはひとまず、みんなの安否確認を取るために旧噴水広場へと向かうとした時、村周辺の見回りをしていたエルフ族の一人、レバンとミニ・ゴーレムのアンが慌てた様子で僕のところにやって来た。
「村長!大変なことが起こりました!」
「大変なことってそれは一体?」
「はい。ここから北西のところで『デビル・ドラゴン』が出現しました」
「何!デビル・ドラゴンですと!?」
「ギャリガンさん。何か知っているの?」
「えぇ。実物は見たことはありませんが、体が大きく、全身が漆黒の鱗を持つドラゴンで、かの邪神竜と同等の力を持っていると言われております」
「そんな・・・」
邪神竜と同じぐらいの凶暴なドラゴンか。
この村が荒らされる前に早く対処しなければ。
てか、森にはダウストン達と子供達がいたはずだ。
「レバン。今、ダウストン達の状況は?」
「この地点ではわかりませんが、デビル・ドラゴンと接触するのは時間の問題かと・・・」
「分かった。今すぐに向かおう」
「はい!」
僕は一刻も現場へ向かうため、レバンの案内の元、ミョルニルやアンらミニゴーレム、ラーブさんを引き連れてダウストン達の救出とデビル・ドラゴン迎撃のために現場へと向かった。
数分後・・・。
僕たちは、おそらくデビル・ドラゴンがいるであろう森の北西へと向かって無我夢中で走り続ける。
今、子供たちといった所にいるダウストン達に一秒でも早く合流することで頭の中でいっぱいだ。
しばらくすると、向こうから人影が見えてきた。
その人影はダウストン達だ。
「おーい!みんな大丈夫か?」
「その声は村長!?」
「はぁーはぁー、ところで状況は!?」
「はい、こどもたちを連れて村へ避難しているところでした」
「そっか・・・」
なんとかダウストン達と合流できたところでそのまま村へ避難しようとした時、僕は何か違和感を覚えたので一度冷静になって周りを見渡す。
すると、明らかに今朝見届けた時と人数が少ない。
そこで僕はあることに気づいた。
「あれ?」
「ドウナサレタノデスカ、ゴ主人様?」
「蒼壱郎と千夏がいないんだ!」
「ふむ、本当じゃのう」
「もしかしたら逃げている途中ではぐれたかもしれない」
「これは大変だ!早く探しに行こう!」
「「「はい!」」」
僕はダウストンにミョルニル、ラーブさんを連れてはぐれた蒼壱郎と千夏を探し始めた。
数分探し回っていると、どこからか子供が泣く声が聞こえた。
「うぇーん・・・」
もしかして蒼壱郎と千夏か?
僕は「おーい」っと大きな声を上げる。
すると。
「その声は村長でござるか!?拙者はここでござるー!」
蒼壱郎が返辞をしたので返事をした方へと駆け寄る。
声のする方へ行くと、蒼壱郎と千夏を発見した。
二人の容態をみると、千夏の方はケガはないようだが、蒼壱郎の方は、頭から血を流している。
「蒼壱郎。頭から血が出ているけど大丈夫か?」
「拙者のことはいいから千夏を・・・」
「わかった。千夏のことは大丈夫だから、今は自分の事を考えて」
「かたじけない」
安心したかのように気を失った蒼壱郎をミョルニルが抱え、泣いている千夏は僕に背負い、村へと帰ろうとした時、レバンが叫んだ。
「村長。来ます!」
「来るってまさか!?」
何か気配を感じたので空を見上げた瞬間、そこにいたのは大きな巨体のデビル・ドラゴンがいた。
「ガオォーーーーーーーーン」
その咆哮この森に大きく響いた。
さらにデビル・ドラゴンは僕たちを見つけるなり攻撃の体制を整えて、急降下の準備をする。
「まずい。分かれて早く逃げるのじゃ!」
ラーブさんの案で僕たちは分かれて逃げたが、運悪くデビル・ドラゴンは千夏を背負っている僕の方へ向かった。
「しまった」
「ゴ主人様ーーー!!!」
『もう、もうだめだ』
もう間に合わないと思ったその時。
「神代流雷術、壱ノ型・・・」
一瞬、女性の声が聞こえたのだが一体どこからなんだ?
僕は声のする方へ振りむこうとしたら。
「稲妻―――、一閃!!!!!」
瞬きもしないで大きな体をしたデビル・ドラゴンは頭と胴体、四肢にしっぽがブロック玩具のようにバラバラになり、襲うとした勢いのまま放り投げたようにゴロゴロと転がった。
「ゴ主人様ー!」
僕のことを心配したミョルニル達が駆け寄ってきた。
「ゴ主人様。オ怪我ハアリマセンカ?」
「大丈夫だけど・・・」
「しかし、あの凶悪なデビル・ドラゴンを倒すほどの強者は一体?」
一瞬何が起こったのがわからずウロキョロ見回すと、土煙の中に人影が見えた。
この人がデビル・ドラゴンを倒したようだが、いったい誰なんだ?
数分もたたずに土煙が晴れていく。
そして、土煙が無くなると、そこにいたのはなんと蒼壱郎千夏の母、月さんだった。
「村長お怪我は?」
月さんの心配をよそに僕は固まって変な返事をした。
「えっ?つっ月さん?じゃあ、今のは月さんがやったの?」
「はい」
「えぇーーー!?」
今の状況がつかめず、僕はただただ叫ぶことしかできなかった。
村に残っていた月さんがどうやってここまで来て、デビル・ドラゴンを倒したのか疑問は残るが、ひとまず、村の脅威を取り除くことができた。
月さんにはいろいろ聞きたいことがあるが、村へ戻ってからにしよう。
こうして犠牲者が一人も出ることなくダウストン達を救出することができた僕たちはひとまず村へと戻った。




