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異世界廃村復興記  作者: 野薔薇 零雅
第4章 復興再起

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異世界といえばカレー

 朝ご飯を食べた僕たちは建設作業に取り掛かる。

 僕の家の完成はまだほど遠く、あと一週間ぐらいかかりそうだ。

 というのも、追加で施設の建設工事をお願いをしたからだ。


 追加する施設は、学校、遊戯場、運動場、公園と銭湯の改良工事だ。

 今までなかった学校と運動場を作る理由はなんせこの村に住んでいる十八歳以下の子供は百人ぐらいいて、子供達が安心して勉強に専念出来る環境を提供するため作ることを考えているのだ。


 公園は遊具を配置して子供たちの遊び場と大人たちの憩いの場所にするために造り。

 銭湯の改良に関しては村の住人が増えたこともあるが、一番の要因は『妖術』すなわち魔法が使えないヤマトの人たちが身体の汚れやゆったりとした時間を提供するため、改良工事が必要になったのだ。

 遊技場も同じ理由でみんなが集まってコミュニケーションが取れる場所を作るためだ。


 急なお願いに最初は皆驚いていたが、建設する理由を話すと快く了承し、手が余った人たちがいたため僕の家の工事と並行する形で工事を行った。


 学校と運動場は村の南西に、公園は旧噴水広場に、遊技場は村の北側に造ることにした。


 僕は主に木材の加工をし、運動場や公園の整地はシヴァとパールヴァティーで土を掘り返し僕の建築スキルで取り出したローラーで地面をならして運動場は完成し公園は遊具を作れば完成だ。


 気づけば昼になっていたので昼休憩を取ることにした。

 昼休憩を終えた後、みんなは建築工事に向かったが、僕はあることをするため別行動をとる。


 僕が着いたのは先ほどご飯を炊いていたカマドだ。

 そう、今から夕ご飯を作るのだ。


 日頃、村に働いている人達に感謝しており、何かお返しができないかと色々と考えた結果、ある料理を振る舞うことにしたというわけだ。

 ある料理に必要な材料を準備していると僕に声をかける人がいた。


「あら村長さん。こんな所で何をしているのですか?」


 僕に声をかけてきたのは月さんだ。

 それにボクードタ族のレコラと一緒にいる。


「月さんにレコラと一緒にいるなんて珍しいね。どうしたの?」

「いえ、レコラさんと世間話をしていたら、村長さんを見かけましたので、跡をつけたのですがこの大量の食材で何を作るのですか?」

「そうですよ。一体何をするのですか?」

「ははは・・・、本当なら一人で調理してみんなに驚かせるつもりだったんだけど、バレちゃったなら仕方ない。ちょっと手伝ってもらってもいいかな?」

「はい、喜んで!」

「えぇ、ちょうど手が空いていたので構いませんよ」

「ありがとう二人とも」

「いえいえ。で、私たちは何をどうすれば・・・」

「そのことに関しては僕の指示どうりにすればいいから」

「わかりました」


 こうして手伝いとして月さんとレコラを加えた。


 今から作るある料理の材料は以下の通りだ。


 トマト

 セロリ

 にんじん

 ジャガイモ

 玉ねぎ

 魔物の肉

 リンゴ

 クミン・カルダモン・トウガラシなどの香辛料

 小麦粉

 菜種の油


 では、食材の準備ができたところで調理を開始した。


 まずは食材を食べやすい大きさに切っていこう。

 にんじんは乱切りに、ジャガイモは四等分か六等分に、玉ねぎはみじん切りとくし切りにし、トマトとセロリはみじん切りにして、魔物の肉はサイコロ状に切っていく。

 月さんとレコラは普段から包丁を持っているだけあって順調に進んでいたかに思っていたら、玉ねぎになると涙を流しながら切っている。


「うぅ〜、何ですかこの野菜は!ボクはただ切っているだけなのに目が痛くて涙が止まりません」

「ははは、玉ねぎって切っていると中に含まれている成分が目を刺激して痛くなるんだ。こういう時は我慢だよ」

「そっそんな〜」

「ふふ、あともうちょっとだから一緒に頑張りましょうね」

「月さん・・・はい、頑張ります」


 玉ねぎで苦戦を強いられたが野菜は切り終えたので次は魔物の肉の処理だ。

 今から使う魔物の肉はいつもシザーやハーグが狩っている物をコットンが解体した新鮮な肉だ。

 魔物とはいえ大切な命のありがたみを感じつつ頂くとしよう。

 魔物の肉の処理は問題なく進み、一口サイズの大きさに切った。

 材料の下処理が出来たので、本格的に調理を始める。


 まず大きな鍋に油を引いて熱する。

 熱している間トウガラシなどの香辛料を建築スキルで作った石臼で細かく粉砕する。

 鍋全体が温まったところで肉を炒める。

 途中、肉の油跳ねでレコラは多少驚いたが、月さんはピクリともしていない。

 落ち着いているのは子持ちだからなのか?それとも女性だからなのだろうか?

 というか今は関係ない。

 肉に火が通った所で一度取り出して鍋底に残った肉の旨みが入った油でクミンを炒める。

 クミン特有の香りが周りに立ち込める。


「うん、いい香りだ」

「そうね。変わった匂いだけど嫌いじゃないわ」

「村長。次は何をするのですか?」

「えーと、次は玉ねぎを入れようか」

「はい」


 次にみじん切りした玉ねぎを入れて飴色になるまで炒める。

 飴色ににまた所で先ほど粉砕した香辛料をとみじん切りにしたトマトとセロリを入れてこげないようじっくり炒める。


 炒めている途中、何か視線を感じたので振り返って見ると、村の子供とレフコンとメランがいた。

 今作っている料理の匂いに釣られてやってきたようだ。

 でも今は調理に集中しておこう。


 火が通て来たところで水を入れ、下処理したにんじん、ジャガイモ、玉ねぎをドーーンっと豪快に鍋に入れ、リンゴを皮付きのまますりおろし、最後に小麦粉を少々入れてトロミをつけて、あとは焦げ付かないように混ぜながら煮込むだけだ。


「ふぅ、あとちょっとで完成だ」

「ふんふん。何か匂いだけでお腹が減ってきました」

「しかし、中々変わった料理ですね。すみませんがこれは何て料理なんですか?」

「これは『カレー』と言って僕がいた世界で食べられている料理だよ」

「へぇー、そうなんですか。でも見た目が・・・」

「はは、まぁ見た目は独特だけど味は保証するよ」


 そんな他愛のない会話していると十分に具材が煮込んできたので、最後に火を消し蓋をして余熱で火を通す。


「よし。これで完成!」

「ふぅ、やっと終わりましたか。でも、このカレー?っていうスープはどうやって食べるんですか?」

「それは夕ご飯になってからのお楽しみ」


 カレーが完成し夕ご飯まで寝かせておき、僕たちは作業へと戻っていった。


 夕方になり作業を終えて夕ご飯の準備をした。

 さてお待ちかねのみんなに特製カレーを振る舞う時が来た。


 朝と同じ羽釜でご飯を炊き、昼に作っておいたカレーの鍋に火を入れて温めた。

 ご飯が炊き上がり、カレーが温まったので器に盛り付けてみんなに配った。

 使う食器は建築スキルで作った木製の皿とスプーンだ。


「えーと、ご飯に何か餡のようなものが掛かっているでござる」

「これまた変わった料理ですな」

「匂いは独特だけどよ。この匂いを嗅いだだけでお腹がすいちまうぜ」


 皆は初めて見るカレーに興味津々だ。

 まず食べる前に僕は皆に今日の夕ご飯について説明した。


「今日の夕ご飯はカレーといって、僕のいた世界の料理で、いつも村のためにみんなが働いてくれている中で、村長として何かできないかと考えた結果、労いと感謝を込めて作った料理なんだ。口に合うか分からないけど遠慮せずに食べてくれ」

「なっなるほど。しかし、このカレーって料理って箸ではなくこの(さじ)で食べるでござるのか・・・」

「でも、せっかく村長がオレたちのために作ったものなんだからこのオレが先に・・・」


 そう言ったガウラがカレーを一口食べた。


「ん?」

「うっ?」

「うっうまーーーーーーい!!!」

「えぇーーー!!!」


 ガウラのうまいの声でみんなはどよめいている。


「うまい!なんだこれは!!一口食べただけなのにちょっと辛いがまた食べたくなる不思議な味だ。お前らも食べてみろよ。すんげえおいしいぞ!!!」

「ガっガウラさんが言うなら・・・僕だって」


 ガウラの食べっぷりに釣られて他のみんなもカレーを食べる。


「おっおいしい」

「案外いけるぞ」

「おいちーー!!」


 他のみんなもおいしくカレーを食べている。

 皆がおいしくカレーを食べている光景を目にして僕は安堵した。


「村長。これおかわりあんのか?」

「もちろん、たくさんあるからジャンジャンおかわりしていいよ」


 僕の特製カレーは大好評につきたくさんあったルーとご飯があっという間になくなった。

 皆が家に帰った後、空になった鍋を見てまた機会があればまたカレーを振る舞おう。

 ・・・あれ?そういえば僕、何か忘れているような気が・・・あっ。


「しまった!!!よく考えたら、カレー一口も食べていないじゃないか!!!」


 皆にカレーのおかわりに対応していたので自分の分を取っておくことを忘れるとは何たる凡ミスをしたんだ!


「はぁ~~~、皆に配る前に自分の分を取っておけば良かったな~~~」


 僕はカレーが食べれなかったことに悲傷しているとエリールが僕に声をかけてきた。


「どうしたのよ練?こんなところで泣いて」

「うぅ、カレーが食べたかった・・・」

「はぁー、そのことね。ほら、これでも食べて元気になって」


 エリールが僕に差し出してきたのは冷めているが僕が食べ損ねたカレーだ。


「カッカレー!?どうしてエリールが?」

「練のことだから、あらかじめ練の分を取っておいたのよ」

「あっありがとうエリール!!!じゃあ早速」

 僕はエリールが残してくれたカレーを泣きながら無我夢中で食べた。


「おいしい、おいしーよーーー!!!」

「もう、練ったら」


 今日、初めて作ったカレーはとてもおいしかったが、一番の調味料は愛や優しさだと実感した日となった。

 さて、明日も村のため頑張って行くとしよう。


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