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異世界廃村復興記  作者: 野薔薇 零雅
第1章 復興の決意
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再建計画と小鹿

 異世界に来て三日目の朝。僕は種を植えた畑の水をやりに向かったのだが、畑を見てみたら昨日植えたばかりなのに農業スキルの影響(えいきょう)なのか高さが約三センチぐらいに成長をしていた。

 僕は種の急成長ぶりに驚きながらも畑に水撒(みずま)きをした。

 僕は朝ごはんとして昨晩、ミョルニルたちが村の見回りついでに森で収穫をしたグナの実を一つ食べた。

 その後、ミョルニルたちを集めて村の再建会議を行った。


「みんな、昨晩の見回りご苦労様。今から村の再建について話をする」


 そう高々に声を上げると、ミョルニルが質問をしてきた。


「ゴ主人様、村ノ再建ニツイテ何カ案ガアルノデスカ?」

「もちろん、あっと驚くような村の施設を考えているんだ」


 僕が考えた施設の候補として、遊技場(ゆうぎじょう)大衆食堂(たいしゅうしょくどう)宿屋(やどや)・裁判所・運動公園・公衆浴場(こうしゅうよくじょう)・演習場・保育園・診療所(しんりょうじょ)・酒蔵・物見櫓(ものみやぐら)・焼き窯だ。


 するとミョルニルたちが合議し始める、そしてミョルニルが声を立てた。


「ゴ主人様、失礼デスガ診療所ハアリマシテ黄色イ屋根ノ家ガソウデス」


 ミョルニルが指をさした方に黄色い屋根の家がある。そこが診療所(しんりょうじょ)なのか、ミョルニルは続けて質問をしてきた。


「気ニナルノガ裁判所ハコノ村ニ必要ナノデスカ?ソレト遊技場(ゆうぎじょう)トハ何ヲスル施設デスカ?」


 ミョルニルの質問に対して、僕はこう答えた。


「裁判所は主に、村人同士のトラブルに発展(はってん)した時に話し合う場を(もう)けるためと、もし殺人や放火などの事案が起きた時の対処をするため。遊技場(ゆうぎじょう)は、ルドーやバックギャモンに麻雀(マージャン)などのボードゲームを楽しむみんなの(いこ)いの場としての役割があるんだよ」

「バック・・・ギャモン??ルドー???ボードゲーム????ソレハ何カノ食ベル物デスカ?」


 ミョルニルたちは不思議そうに(たず)ねる。


 そうだここは異世界だからボードゲームの概念(がいねん)がないのか、仕方ないが遊技場(ゆうぎじょう)はある程度人が集まるまで保留することにした。


 その他の施設も保留にしつつも物見櫓(ものみやぐら)を作ることになったので早速、作業に取り掛かった。


 昨日の開墾(かいこん)の時に余った木材を使ったので一時間弱で完成をした。約七メートルの高さがあり森の周辺を見渡すには十分だ。


 昼過ぎになり今の村周辺の現状を調べるため、僕とゴーレムたちで東・西・南・北を四組のチームに分かれて森の探索を行うことにした。


 振り分けは以下のどうりだ。


 東 ナギ・ダン・ハート・ナノ

 西 ノーツ・ガロン・リット

 南 ハーブ・ララ・ラグ・フラ

 北 練・アトラ・ルン・ドラ


 ミョルニルは村で留守番(るすばん)と村を囲む柵の設置をお願いをした。グナの実を三つを持って森の北側の探索に向かった。


 探索を開始してからだいたい三十分ぐらいだろうか、景色は変わりはなく木々が()(しげ)っている。


 すこし疲れてきたので休憩をとろうと腰を(おろ)ろそうとした。


 その時、キューーーンキューーーンと何かの鳴き声がした。

 鳴き声は、すぐ近くの草むらから聞こえてくる。恐る恐る草むらをかき分けると・・・

 そこには、ライオンのような化け物が鹿を(むさぼ)っている。

 すぐ近くにはガタガタと(おび)えている小鹿がいる。

 おそらく食べられているのは、親鹿でその子供だろう。まさに()()()()とはこのことだ。


 このままでは、小鹿が食べられるのは時間の問題だ。アトラたちは草むらに待機してもらい、僕は小鹿を助けることにした。


 すり足差し足忍び足、ライオンのような魔物は食べることに夢中で、こちらには気づいてないようだ。

 着実に小鹿に近づいている、あともう過ごしだ。


 ペキッ・・・・・・・


 しまった、小鹿を見ていたばかりに足元の小枝を()んでしまった。


 すると、ライオンのような魔物がこちらに気づいて目線があってしまった。


 ・・・・・・・・・


「グォーーーーーーン!!!!」と、猛々(たけだけ)しい咆哮(ほうこう)を上げて僕に襲い掛かってきた。


 僕はとっさに小鹿を抱き上げて。


「うわぁーーーーー!!!!!!!みんな逃げろーーーーー!!!!」


 僕は小鹿を抱きかかえたまま声を出して、草むらに隠れているアトラたち知らせた。

 まるでアニメなどの悪役がすぐに退散をするような猛ダッシュで村に帰った。

 幸い、魔物は僕たちを追いかけるうちに諦めたのか、途中から姿が見えなくなっていた。

 猛ダッシュで走ったため数分で村に着き、


「ゴッゴ主人様、慌テテ帰ッテキテ一体ドウナサレタノデスカ?」


 作業中だったミョルニルに心配されてたので、これまでの経緯(けいい)を報告した。


「ライオンノヨウナ魔物ニ(オソ)ワレソウニナッタ子鹿ヲ助ケタノデスカ・・・」

「そうなんだ、ミョルニルにはその魔物に心当たりわない?」

「ワカリマセン。オソラク村ガ(ホロ)ンダ後ニ発見シタ新種デハナイデショウカ。・・・ン?」


 ミョルニルは不思議そうに僕が抱きかかえている小鹿を見て、


「ゴ主人様ガ抱エテイル小鹿ハ『ブレード・ディアー』デハナイデスカ」

「ブレード・ディアー?ミョルニルはこの子を知っているの?」

「ハイ、コノ魔物ハ角ガ刀身(トウシン)ノヨウナ形ニ生エルノガ特徴デ、鉄鉱石ガ採レナイ地域デハ家畜(カチク)トシテ重宝(チョウホウ)シテオリ、角ヲ加工シテ包丁ヤ武器ニシテオリマス」


 この子を育てれば角を武器にすることもできるのか、護身用の武器がないのでちょうどよかった。


 よし、この子を飼うことにし、名前は「リリ」と名付けた。


 他のゴーレムたちは探索から戻ってきていないし、まだ日が暮れていないので、僕たちはリリの小屋を作った。


 リリは、小屋に入ったもののまだ怯えているようだ。

 それも無理はない、突然親鹿を(うしな)ったことがよほどショックだったのだろう。

 早く村になじんで元気な姿を見せてほしいものだ。

 そうこうしているうちに、他のゴーレムたちが探索から帰ってきたようだ。このまま報告会を行うことにした。


 まずノーツたちの報告によると西には、竹林と岩場を発見した。ミョルニルたちによると、昔は竹林はなかったそうだ。

 おそらく村が滅んだ後に、何らかの理由で竹の根が落ちて自生したのだろう。

 竹は軽く丈夫で加工がしやすいし、春になればタケノコが取れるので、いつの日か竹林に行って資材を確保するのもありだな。


 次に、ナギたちの報告によると東には、流れが(おだ)やかな川が見つかったので水路を作れば大きなため池に水が溜めこむことができるし、噴水広場に賑わいが戻り生活用水の確保ができる。

 水路は人員が集まり次第開始しようと思う。


 最後に、南を探索したハーブたちの報告では洞窟(どうくつ)が見つかったのだが、嫌な気配を感じたので詳しく調査せずに戻って来たという。


 洞窟(どうくつ)の調査は装備を整えてから行うことにした。


 僕たちが探索した北は散々な結果になったので、機会があれば探索に行くことにした。

 報告会を終えてミョルニルにあることを聞いてみる。


「ミョルニル、今更(いまさら)だけどなんで魔物のこと詳しいの?」

「ソレハデスネ、読書家ノ書庫ニアル魔物図鑑ヲ読ンダカラデス」

「読書家の書庫?この村には書庫があるのか?」

「ハイ、他ノ家ト比ベテ少シ大キイ家ガソウデス。書庫ニハ、千冊以上ノ本ヲ所有(ショユウ)シテオリマス。ソノ中ニ魔物図鑑ガアリマシテ、オレハ図鑑ヲ読ンデ暗記シマシタノデ、ゴ主人様モ一度読マレテハイカカデスカ?」


『ゴーレムが本を読むのか?』とそんな疑問を持ちつつも、この世界の知識を得るためにも一度は読書家の書庫を利用する価値はあるようだな。


 最後に、トイレ作りと中断した柵の設置と畑の拡張をゴーレムたちと作業に取り掛かった。

 トイレはスコップで一メートルの穴を掘っただけで匂いは気になるが、これで用を足すことができる。

 柵の設置に時間はかかったが、村の周囲に設置することができた。ちょっとだけ安心して眠ることができそうだ。


 畑は、いつものスキルを使って(おの)で木を伐採し、(くわ)で耕して四倍の四百平方メートル(二十m×二十m)に拡張した。


 リリが加わったことで食い扶持が増えたので新しく野菜を植えることにした。


 植える野菜は、ホウレンソウ・人参・キャベツ・レタス・大根・セロリの種を植えて水をまいた。


 今後、魔物が増えた時に随時畑の拡張をしなければならないな。


 今日はいろんなことがありすぎて大変だったが、リリが加わって少し賑やかになりそうだな。


 明日は、読書家の書庫に行って本でも読んでみようかな。











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