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異世界廃村復興記  作者: 野薔薇 零雅
第1章 復興の決意
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復興開始

 朝日が(のぼ)り廃村に光が照らされる。僕は身支度(みじたく)を整えて目をこすりながら寝泊まりしている廃屋(はいおく)から出た。昨日は、大変な一日になったがゴーレムを仲間にし『ミョルニル』と名前を付けた。

 ぐぅ~~~~~~~~っとお腹が鳴る。というのも、昨日から何も食べていない。

 飲み水に関しては、村の東側にある大きなため池があり、僕の農業スキルで出した魔法の水筒を使って池の水を飲むことができるが、村のことを考えるときちんとした水飲み場が必要だ。


「今日は、水飲み場を作るか・・・ん?」


 ふと見てみるとミョルニルが瓦礫(がれき)(あさ)っている。

 何をしているのか気になって声をかけた。


「おーーい、ミョルニルーー何をしているの?」

「アッゴ主人様、今『ゴーレム・コア』ヲ探シテイルトコロデス」

「『ゴーレム・コア』?」

「ハイ昨日、ゴ主人様ガ(サワ)ッタ箱ノコトデス。『ゴーレム・コア』ハ人間ノ心臓ノヨウナ物デ金属デ出来テイマス。箱自体ニゴーレムノ生成魔法ガ付与サレテオリ、魔力ヲ注入スルコトデ半永久的(ハンエイキュウテキ)ニ発動ヲシテ行動ガ出来ルヨウニナリマス。ダガ、カナリノ魔力ヲ消費スルノデ一部ノ人シカ使エナイノデス」


 なるほど、僕が『ゴーレム・コア』を触れたことでミョルニルが復活したわけか。

 探しているってことは、他にも仲間がいるのかな?ちょっと聞いてみることにした。


「ミョルニル以外にもゴーレムがいるの?」

「ハイ、オレヲ含メテ大型ガ四体ト、中型ガ十体ト、小型ガ十六体ノ合計三十体ガイマス」

「さっ三十体!?この『ゴーレム・コア』を作った人はすごいなー」


 そうか、僕がいることでミョルニルの仲間が復活すると信じているから『ゴーレム・コア』を探しているんだな。よし、僕も手伝おう。


「ミョルニル、よければ僕も探すの手伝うよ」

「イイノデスカ?コノオレノタメニ・・・分カッタ、オレハ東側に行クカラ、ゴ主人様ハ西側ヲオ願イ」

「了解、全部集まったら噴水広場に集合な!」


 こうして、僕たちは村に残った『ゴーレム・コア』を探すことにした。


 ・・・一時間後・・・


 僕たちは残り二十九個の『ゴーレム・コア』を集めることができたが、()びているコアが六個と破損(はそん)しているコアが八個だ。

 せっかく集めたのにこれじゃミョルニルが可哀想(かわいそう)だ。


「ミョルニル、壊れているコアを直す方法はないのか?」

「『ゴーレム・コア』ハ一人ノ魔導具職人ガ造ッテイルガ、ソノ人ガイナイカラ造ル方法モ、直ス方法モワカラナイ。デモ、仲間ト再ビ会エルトナルトトテモ嬉シイ、アリガトウ」


 お礼を言っているミョルニルはとても嬉しそうだ。


「ゴ主人様、壊レテイナイ『ゴーレム・コア』ニ魔力ヲ注入下サイ」

「わかった」


 僕は一個ずづ魔力を注入した。

 その後、時間はかかったがゴーレムは復活した。

 その内訳(うちわけ)は、約二メートルの中型ゴーレムが五体と約六十センチの小型ゴーレムが十体だ。

 復活したゴーレムたちは、最初は戸惑(とまど)っていたが、ミョルニルを見た途端に「ゴゴゴ~~~」と声をあげてミョルニルに集まって子供のようにはしゃいでいる。

 そうだよな仲間と再会したことがよほど嬉しいんだな。


 ぐぅ~~~~~~~~。


 そうだ・・・空腹であることをすっかり忘れて忘れていた・・・


「ゴ主人様、ドウナサレタノデスカ?」

「ちょっとお腹が空いて・・・」


 僕の話しを聞いたミョルニルは他のゴーレムたちに指示を出した。


「皆ノモノ!ゴ主人様ガオ腹ヲ空カシテイル。何カ食ベル物ヲ探スノダ!」


 ミョルニルの指示を聞いたゴーレムたちは蜘蛛(くも)()()らすように走っていた・・・


 ・・・数分後・・・


 ゴーレムたちが集めたのは表面が青色でオレンジの斑模様(まだらもよう)が付いたリンゴのような果実(かじつ)が山のように置いている。

 正直、食欲が()せそうだ。

 ゴーレムたち(いわ)く、この果実は「グナの実」といって村人たちがよくおやつとして食べていたそうな。

 色々不安があるが、(まよ)っている(ひま)などない。僕はグナの実を持って思いっきり皮ごとガブリッと頬張(ほおば)った。

 ・・・・・・ん?

 おっ美味しい!!!苦味やエグ味が無くほのかな酸味としっかりとした甘さがありシャリシャリした食感はリンゴその物だ。

 あまりの美味しさで、我を忘れて無我夢中で食べた。

 あっという間に山のように置かれてたグコの実は無くなり芯だけになっていた。

 グナの実を栽培してドライフルーツやジャムなどの加工品を作れば村の名物になりそうだな。

 一息ついて本格的に作業を開始する。


 ミョルニルと中型ゴーレム三体が倒壊(とうかい)した家を撤去(てっきょ)して更地(さらち)にする作業をお願いし、僕たちは中型ゴーレム二体と小型ゴーレム全員を連れて大きなため池の周辺を開墾(かいこん)する作業を()(おこな)った。


 僕は農業スキルで(おの)を出して木々を伐採(ばっさい)する。

 伐採(ばっさい)した大木はゴーレムたちが運んでいく。

 これを繰り返し残った切り株はシャベルで取り除き(くわ)地均(じなら)しをして、だいたい百平方メートル(縦十m×横十m)の畑が完成した。


 伐採(ばっさい)した大木は加工して仮住居の小屋を作る予定だ。


 畑が出来上がったので何を植えるか大まかに決まっているが、その前に(くわ)(うね)を立てた後、僕の農業スキルでジャガイモの種芋を出して土に植えた。


 ジャガイモは様々な用途があり水に溶かせば片栗粉(かたくりこ)になり日さえ当てなければ長期保存がきくからだ。


 次にかぼちゃの種を植えた。

 傷さえ付けなければ半年ぐらい保存がきいて追熟(ついじゅく)し甘みが上がるのと種は食用にもできるからだ。


 それ以外にもトマト・ナス・きゅうり・とうもろこし・ブロッコリーの種を植えてジョウロで水を()いた。


 しっかり育ってほしいものだ。気づけば夕方になりミョルニル達の作業が気になったのでミョルニルの方へと向かう。ミョルニルたちと合流すると作業は終わっていて残った建物は六棟になっていた。


 僕たちはそのまま仮住居の小屋を建築を開始した。


 まず建築スキルで出した工具を使って大木を加工して材料を生産しゴーレムたちと一緒に小屋を完成させた。


 広さは問題なく一人で住むには十分だ。

 でも()布団(ぶとん)がないため地べたに寝転がるしかない。

 ちゃんと就寝(しゅうしん)できるか心配だ。

 その後、復活をしたゴーレムたちに名前を付けることにした。


 中型ゴーレムは、アトラ、ナギ、ダン、ハーブ、ノーツ。

 小型ゴーレムは、ルン、ドラ、ハート、ララ、ラグ、ブル、フラ、ガロン、リット、ナノになった。


 姿はほぼ同じなので、見分けを付けるために建築スキルでなぜか取り出した油性ペンでコアに名前を書いた。

 ついでにミョルニルにも名前を書いておいた。

 寝る前に、ゴーレムについて気になったことがあるので今のうちにミョルニルに聞いてみた。


「ミョルニル。今更(いまさら)だけどミョルニル以外のゴーレムは(しゃべ)れないの?」

「ハイ、オレヲ(フク)ム大型シカ言葉ヲ発シナイ。大型ノコアニハ生成魔法ノ他ニ言語ガカケラレテオリ、ゴーレムハモチロン、一部ノ魔物ノ通訳ガデキマス」


 魔物の通訳が出来るのはでかい、いずれ魔物を迎え入れる時に役に立ちそうだな。


 夜の見回りはゴーレムたちがしてくれるので心置(こころお)きなく就寝(しゅうしん)することにした。


 明日は、村の再建会議と森の探索でもするか。おやすみなさい。












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