エリールSIDE 眠れる主と謎の子竜
エリールの視点でお送りいたします。
私はエリール・ジェーン、歳は十六で元貴族の娘よ。
私は異世界から来た練とゴーレムのミョルニル達と一緒に廃村になった旧ハルバ村の復興を手伝いながら楽しく暮らしていたんだけど、今はそれどころじゃないの。
この村に邪神竜が襲来し激しい死闘を繰り広げた結果、私たちの勝利をしたんだけど、村は邪神竜の魔法で更地になってしまい、さらに練が意識を失って倒れてしまったの。
幸い息はしているけど、念のためコットンが作った布団で練を横にして寝かせることにしたわ。
場所は邪神竜の魔法から逃れた二軒の内の青い屋根の家にしたわ。
私はいつ目を覚ますか分からない練の生還を祈ることしかできなかった。
邪神竜を倒して二日目の朝。
私は今日も練の様子を見るため寝かせている家に向かった。
邪神竜による被害状況については悲惨なものになった。畑と果樹園はもちろん全滅し、ため池も水一滴も残っていない。もともとあった建物は先ほど説明した家が二軒しか残っていない。
魔物の方はリリ、シザー、コットン、ハーグ、イモムシ、ミョルニル達ゴーレム、トリ丸は無事でトリ丸以外のデカコッコーは村からかなり離れていたところに避難していたため全羽無事だ。
しばらくして私は練がいる家に着いた。
練が寝ている家にはミョルニル達が二十四時間見張っている。私はミョルニルに練に何か反応がないか聞いてみた。
「ミョルニル、その・・・練の様子は?」
「イエ、依然眠ッタママデス。俺ヲ含メタゴーレムハ魔力ノ供給ガアリマスノデ問題ハナイデスガ、リリ達ハ餌ヲ必要トシテイマスノデ、早ク目ヲ覚マシテクレナイト餓死シテシマイマス。ウゥー、ゴ主人様・・・」
ミョルニルも練のことを心配しているのも無理はない。
何せ村が更地になって以降、闇の魔法の影響かリリ達の餌になる雑草一つも生えていないからだ。
私は収納魔法に入れておいた食料があるのだが、限りがあるので早く目を覚まし耕していかないと私たちは餓死してしまう。
私は青い屋根の家に入り練が寝ている部屋に向かった。
部屋に入ると物は少し散らかっていているが人が歩けるスペースは確保している。私は練が寝ているベットに近づき様子を伺った。
練は相変わらず気持ちよさそうにスヤスヤ寝ている。
私は敷いている布団のすぐそばに座った。
私は一つ心残りがある。それは練にちゃんとした告白を伝えないで強引にキスをしたことだ。
あの時は邪神竜との戦闘の最中だったのと魔力を使い過ぎてしまったので魔力を補給する目的でしたことを後悔しているのだ。
『今は寝ているし、せめて額にしてもいいよね?』
意を決した私は練の顔を近づけようとした時だ。
「おい娘、そこで何しておる?」
私は声のする方へ向けると白い竜の子供がパタパタと飛んでいる。
「ギャーーー!!!」
私は汚い悲鳴を上げてしまう。
私の悲鳴を聞きつけたミョルニルは大きな体でしゃがみ込み部屋の窓を覗き込んで声を上げる。
「エリール様、大丈夫デスカ?オイ!ソコニイル変ナ奴、何ヲシタ!」
「なんじゃ?騒々しい、儂は何にもしておらんぞ。用があるのは、そこで寝ている少年じゃ」
どうやら白い竜の子供は練に用があるようだ。
「あなたは一体?」
「儂が何者かは、こいつが目を覚ましてから説明をするかのう。まっこちらからは手を出さないから安心せい」
敵意はないようなので、この子の話を信じることにした。
「分かったわ、あなたの話を信じましょう」
「エリール様、ヨロシイノデスカ?」
「えぇ、このままにしておきましょう」
私は謎の白い竜の子供と一緒に練が目を覚ますのを待つことにした。
一時間後・・・二時間後たっても一向に目を覚ます気配がない。
すると、白い竜の子供はボソッと何か話し始めた。
「あ、そうそう、こいつはもうすぐ目を覚ますぞ」
「え?それほんと?」
私が白い竜の子供の発言が引っかかる。どういう意味なのか尋ねよとした時、今まで動かなかった練の顔や体が動き始め、ようやく目を覚ましたのだ。
練は横たわった体をゆっくり起こして上がりきると周りを見回して私と目を合わせた瞬間、練は一言声をかけた。
「あ・・・あのエリール、おっおはよう・・・でいいのかな?」
練の素気のない一言にもかかわらず、私は気づけばポロポロと涙を流していた。
「うぅーー、練ーーー!!!」
私は嬉しさと喜びのあまりに練に思いっきり体を抱き付くのだった。