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物語の都合でざまぁ&処刑されるクズ王子、記憶を取り戻して転生し、魔法学校からやりなおす!  作者: 江本マシメサ
最終章 クズ王子は――未来に手を伸ばす

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クズ王子は、事件の真相を知る

 私の命を狙っていたのはフェリクスを国王にしようと画策する通称〝第二王子派〟と呼ばれる、枢密院の顧問官を中心としたメンバーだった。フェリクス本人が知らぬ場所で結成され、水面下でさまざまな活動をしていたらしい。

 ただ、枢密院の顧問官は三百名を超えている。フェリクスはどこの誰が所属しているのかと調査していたようだが、なかなか尻尾が掴めなかったという。

 しかしながら、私を打ち首の刑にした顧問官全員の顔と名前を思い出した。その記憶を頼りに調査したところ、私の暗殺を目論む証拠が次々と出てきたという。


 拘束された顧問官の中には、カイの父親であるモンペリアル伯爵もいた。

 驚いたことに、モンペリアル伯爵は第二王子派だったようだ。

 なんでもカイを私の密偵にするつもりで付けていたようだが、傍付きとなった当時から思うように動かず、早々に諦めていた。そんなカイを見限らなかった理由は、第二王子派の隠れ蓑として利用するためだったという。それ以外にも息子が王太子の護衛騎士を担うことにより、社交界で一目置かれていたので、孝行息子だと自慢していたらしい。


 国王陛下については、第二王子派が私の死が発覚したタイミングで毒を盛り、王太子を失ったことにより意気消沈、そのまま体調不良を起こしたように見せていたようだ。

 なんとも巧妙な手口で、病に見えるような魚の毒を利用していたという報告が上がっていた。

 なんでもその毒は赤潮に含まれており、それを食べた貝類などから人の口へ渡ってじわじわ人体へ害を及ぼすものだったようだ。

 その毒は一年以上かけて体を衰弱させ、最終的には死に至るようなものだったらしい。

 植物の毒は研究が進んでいるものの、海洋の毒については未知の領域で解毒魔法や薬などは開発されていなかったようだ。そのため、体調不良の原因についても判明しなかったという。

 幸いにも、メルヴ・イミテーションの葉を食べた父は、すぐに元気になった。

 以前聞いたときは、葉が生え替わるまで百年ほどかかると話していた。しかしながら、世界樹の空間とは時間の流れが異なるからか、メルヴ・イミテーションの葉は比較的すぐに生え替わる。

 今度、生え替わったさいは王妃殿下の病気の治療に使っていいとメルヴ・イミテーションは言っている。ありがたくて、涙がでてくるかと思った。


 聖女マナについては、あっさりと自らの世界へ帰っていった。

 なんでも、進学のための勉強で忙しいらしい。


「受験勉強の、いい気分転換になったよ」


 私の命がかかった事件を〝いい気分転換〟でひとまとめにするとは、呆れてしまったの一言である。

 ただ、彼女のおかげでいろいろと助かった。その辺は感謝している。

 たまにここの世界へ遊びに来る時もあるようだが、〝リセット〟と〝データ削除〟の扱いだけは気を付けてほしい。

 なんでも聖女マナはアウグスタとは打ち解けたようで、今度異世界の遊戯盤で遊ぶのだとか。

 フェリクスを挟んだ三角関係はどうなったのかと聞くと、「王子様はゲームの世界だけでお腹いっぱい。現実世界の王子様とは結婚したいと思わないから」とあっけらかんとした様子で語っていた。 

 まあ、何はともあれ、犬猿の仲が解消されたと聞いて安心した。


 神獣ラクーンは、何もかも解決してからひょっこり現れた。


『いやはや、一件落着でしたねえ』

「お前……!」


 まさか、私とフェリクス、両方に声をかけていたなんて。絶対に許さないと追いかけ回したのは言うまでもない。


 ドロテーアは国家専属魔女として、正式に王城で働くこととなった。

 表舞台に立つことを嫌がっていたが、実際に働く彼女は生き生きしている。

 これでよかったのだと、しみじみ思っているところだ。


 ゴッガルドは、私が生存していたと聞いてもっとも喜んだ人だろう。

 ずっと、悲しみに暮れていたらしい。

 また、一緒に筋肉トレーニングをしようと誘われ、苦笑いをしつつ頷いたのだった。

 

 私の死についてだが、事件が明るみに出るのと同時に、本当は死んでいなかったとあっさり撤回される。

 死を偽装していたことについて、怒りの声が集まると思っていたが――皆、よかったと安堵してくれたらしい。

 命を狙われていたのだから仕方がない、という同情の声も多く集まっていた。

 これを機に、王位継承権を返上するつもりだった。

 それに関して猛反対したのが、フェリクスである。

 フェリクス曰く――。


「兄上様が生きていることに関して、こんなにも多くの国民が喜んでいるんです! 愛されている証拠ですよ!」


 国王陛下と王妃殿下も、私が国王になってくれると嬉しいと話していた。

 なんとなく断れない雰囲気になる。

 王位を継ぐのであれば、いくつか要望があった。


 ひとつ目は、フェリクスが〝副王〟となること。

 我が国ではこれまでになかった役職だが、ぜひともフェリクスに就いてもらいたい。頭を下げると、フェリクスは恐縮しきっていた。

 自分にはもったいない役職だと言っていたが、国王陛下と王妃殿下に説得される形で受け入れてくれた。


 ふたつ目は、結婚について。

 私はカイと結婚したいと考えている。もちろん、カイがいいと言ってくれた場合の話だが。

 ただ、カイの父親であるモンペリアル伯爵は私の暗殺に加担した罪で拘束されていた。そんな状況なので、結婚に反発が起きるかもしれない。

 それでもいい。私はカイと共に、人生を歩みたいと思っていたのだ。

 この選択は、茨の道かもしれない。カイに苦労をかける可能性も高い。

 カイの幸せを思うならば、私達は離れ離れになったほうがいいのだろう。

 けれども私は、カイなしの人生なんて考えられなかった。

 わがままだという自覚もある。それでも、私はこの道を選びたいと願った。


 国王陛下と王妃殿下は、これまで大変な思いをしてきたのに、辛い道を歩くことはないと言う。

 カイと結婚できないのであれば、私は生涯独身だろう。なんて主張したが、フェリクスより「兄上様、そういう意味ではないですよ」と耳打ちしてくれた。

 なんと、カイに対して、王妃になるに相応しい家柄を用意するという。

 今後、カイ・フォン・ヴァルヒヘルトとして生きなくてもいい。新しい名で、幸せになるようにと国王陛下と王妃殿下は言ってくれたのだ。

 涙が溢れ、頬を伝って流れていく。

 ひたすら頭を下げ、感謝したのだった。


 ◇◇◇


 今回の後処理をするため、バタバタと忙しい毎日を過ごしていた。

 やっとひと息つけるというタイミングで、カイから話したいことがあるという話を持ちかけられた。


 ついに、この日がやってきたようだ。

明日、最終話の更新は25日の0時に行います。どうぞよろしくお願いいたします。

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