表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
物語の都合でざまぁ&処刑されるクズ王子、記憶を取り戻して転生し、魔法学校からやりなおす!  作者: 江本マシメサ
第七章 契約――魔女と共に

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/90

クズ王子は、コンパクトの説明を聞く

「そうそう、ひとつ質問なんだけれど」

「どうした?」

「あなた、仮に犯人が捕まったとして、王族に戻る気はないの?」


 私の日々の言動や行動から、元の地位に戻る気がないことをドロテーアは感じとっていたらしい。


「まあ現状、私は死んだ者として扱われているからな」

「でも、敵の陰謀を暴くためにって、言い訳はできるはずよ」

「そうだとしても――」


 もう、命の危機に晒されることなどこりごりだ。それに、二度とカイを危険な目に遭わせたくないという気持ちも大きい。


「ここでなくてもいいから、カイやメルヴ・イミテーションと共に平和に暮らしたい。王族であれば、おそらく叶わない願いだろう。私はもう、他人から命を奪われたくないのだ」


 王族として、無責任かもしれない。

 これまで十八年間、私は国王になるためにさまざまな教育を受けてきた。

 その資金源は、国民が納めた税金である。

 それらは立派な国王となって、返さなければならないものなのに……。


 ただ、私が死んでこの世界が滅びてしまったら、元も子もないだろう。

 今回の選択は、仕方ないとしか言いようがない。


「前にも思ったが、私の記憶が戻るのがもう少し早ければ、いろいろとやりようもあったのだが」

「それはそうね」


 今回、聖女マナの登場も数年早かった。いろいろと準備するには、あまりにも時間が足りなかったのだろう。


「わかったわ。クリストハルト殿下は死んだ。そういう方向で、話を進めるから」


 魔女の伝手で新しい家名や、国籍など用意してくれるらしい。


「迷惑をかける」

「いいえ。それが、私達国家専属魔女のお役目だから」


 これからどうなるのか、まったくわからない。今はただ、犯人を暴くために調査に乗り出すしかない。


「そんなわけで、変装するわよ」


 ドロテーアは三つの変身コンパクトを手にしていた。


「ひとつはあなたの。ひとつは私の。もうひとつはカイのよ」


 ドロテーアは男に変身し、女性では立ち入れないような社交場を調査するという。ちなみに男になるのは初めてではなく、これまでも何度かあったらしい。


「きちんと爵位と名前もあるのよ」

「本格的なんだな」


 王家に何かあったときに、動けるよう国家専属魔女が秘密裏に用意している立場だという。


「名前はジン・フォン・ドレッセルっていうの」

「ジン・フォン・ドレッセルだと!? 国内でも歴史ある、魔石商の商会長ではないか!」

「そうよ。歴代の国家専属魔女がドレッセル家を運営しているの」


 ドロテーアから聞いた情報に、絶句してしまう。同時に、信じがたい気持ちになった。

 ここまで手を尽くしてくれる国家専属魔女を、便利屋扱いしていた挙げ句、契約を途切れさせてしまった王族はなんて罪深い存在だったのか。


「まあ、そんな話はいいとして。この変身コンパクトは、カイにも託しておくから」

「女性であるカイが、男に変身するのか。いいや、今は男装しているから……頭がこんがらがってきた。カイはどうなるんだ?」

「どうもならないわ。これを使わずに、男装から女装した状態になるだけよ」

「ああ、そうか。カイは変身せずとも女性だから、魔法で姿を偽る必要はないのだな」


 もともと、公の場では板金鎧をまとっていたので、社交界でカイの素顔を知る者は少ない。学園内でも、私の陰に隠れていたため、その美貌はそこまで知れ渡っているわけではないはずだ。


「化粧でもしたら、あの子、別人みたいになるわよ」

「そうか。楽しみにしている」


 この変身コンパクトには、化粧モードというものもあるらしい。なんでも一瞬にして、化粧を施してくれるようだ。


「便利な品だな」

「でしょう? 異性へ変身する機能はオマケみたいなもので、ほとんどの魔女は化粧モードを中心に使っているみたいよ」


 他にも、自動で髪を結ってくれるモードや、流行のドレスから地味なメイド、村娘に街娘など、さまざまな変身機能が付いているらしい。

 王都の潜入にうってつけの道具というわけだ。

 一通り使い方を習う。別に難しいことはない。コンパクトの中心に填め込まれたルビーを撫でると、空中に呪文が浮かび上がる。用途に合わせて、呪文を指先で選択するだけでいいようだ。


「じゃあ、一時間後にここに集合ね」


 ひとまず明日の葬儀に潜入するらしいが、恰好は街娘風でいいだろうとドロテーアは助言してくれた。今日から喪服を着用していたら、街中で悪目立ちをするらしい。


「またあとでね」

「ああ、わかった」


 自室に戻り、変身コンパクトのルビーを撫でる。〝女性になる〟を選択すると、文字が魔法陣に変化した。

 全身が光に包まれ――あまりの眩しさに目を閉じる。

 光が収まったあと、瞼を開いた。

 まず、視界に映った指先の変化に驚く。白魚のような細い指になっていた。

 着ていたシャツやズボンも、ぶかぶかだ。

 いったいどんな姿になっているのだろうか?

 恐る恐る部屋に置かれた姿見を覗き込んだ。


「――え!?」


 鏡に映っていたのは、金髪碧眼の美少女だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ