第7話 バカな奴ら
復讐に目途をつけた俺は、特に目的のない生活を始めた。
「S級冒険者になる」
そう決めたのは、たしか6歳の頃。
その時から、少し前まではずっとそれが目的だった。
目的がない人生など考えられなかった。
しかし、今は逆に人生に目的などありはしないと悟ったようだ。
ただ、息をして、水を飲み、飯を食い、寝る。
それが人生の本質だと気づいた。
今の俺には十分な金がある。
悪魔が用意した白金貨は、特にほしい物などない俺には多すぎだ。
「ビール、あと、串焼き、塩で」
冒険者が集まる居酒屋で俺はただひとりで酒を飲んでいる。
思えば、深酒すらしたことがなかったな。
翌日の鍛錬と魔法トレーニングのため、ほろ酔いを超えた飲み方はしないと決めていた。
すべてはS級冒険者になるために。
もう、人生の目的がなくなったから、飲みたいと感じる酒を飲み続ける。
明日、二日酔いになったとしても、それも人生の一部だ。
「ガ、ガイナさん・・・」
俺の名を呼ぶ男がいる。
酒でぼーっとする俺の頭が、急にハッキリしてきた。
会いたくない奴に会ってしまった。
それも、ひとりではなく3人も。
「なぜ、俺に会いに来た?」
「本当のことを伝えたくて」
パーティの残り3人。
揃いも揃って、今、俺の前にいる。
そうか、首を刎ねてほしいということか。
「そんなに死にたいのか、お前」
ドラゴンソードに手をかける。
「ち、ちがうんだ。俺たちはただ、サブリーダーに脅されていただけなんだ」
「それがどうした。死にたいなら願いを叶えてやるぞ」
こいつらの命はどうでもいいと決めたはずだ。
だから、探すことはしないと決めた。
それなのに、なぜ、会いに来たりするのだ?
殺して欲しい、以外の理由が思いつかない。
「本当のことを伝えて、許して欲しいんだ」
そうか。
お前たちは、自分の気持ちを整理したいだけ、なんだな。
俺の気持ちはどうでもいいと見える。
それならば、やることはひとつだけだ。
ドラゴンソードを横に一振りする。
3つの首が転がる。
「きゃーーー」
居酒屋の胸が大きいウエイトレスが悲鳴を上げる。
俺は、白金貨を3枚、テーブルに置いてそこを去る。
店には迷惑をかけてしまったから、その代金だ。
結局、俺以外のパーティメンバーはこの世からすべて消え去った。
現在、この新作連載とメイン連載のふたつを毎日4話アップ中。
こっちのメイン連載もよかったら読んでくたさいねっ。
↓
『超強力な土魔法使いの実力。土建チートで巨大建造物を作って世界を変えてしまっています』
https://ncode.syosetu.com/n9609et/