第39話 ひと暴れしてみました
「なんなんだ。お前は。俺とやるっていうのか?」
「はい。その一言、待っていました」
完全に頭に血が上っているな、こいつ。
筋肉自慢な男って、そんなものだろう。
もうひとつおまけに、頭にくることをしてあげよう。
「あなたはこの男の連れですよね」
「えっ、はい」
「こんな筋肉だけの男、いいんてすか?」
「えっと・・・」
「黙って聞いていたら、言いたいことばかり言いやがって」
来た!太い筋肉の塊の様な腕。
こちらに向かってくる。
「筋肉がいくらあっても、当たらなければ意味がないですよ」
筋肉剣士を無視して、連れの女性に解説している。
もちろん、奴の腕の動きは完全に読み切っているから、簡単に避けられる。
「どうです?こんな頭の中も筋肉な男を放り出して、私と一緒に食事でも」
「それは・・・」
避けられてバランスを崩した筋肉男は体勢を整えると、こっちに突っ込んできた。
「あ、こいつのこと気になりますか?じゃあ、倒しておきますね」
突っ込んできたのを腕を伸ばして拳で受ける。自分の体重をすべてかけた突進だったから、拳に顔が辺り変な具合に顔が歪んでしまう。
崩れ落ちる筋肉剣士。
その背中にカカトからガツンと蹴りを入れる。
「ぐぐぐ」
あまりの衝撃に耐えられなくなって、筋肉剣士は気絶してしまった。
「おい、大丈夫か。魔法使いの青年よ」
「あ、はい。大丈夫です。ちょっとアザになったくらいですから」
魔法使い青年の連れ、つまり俺のハーレム要員の二人の女も近づいてくる。
「大丈夫?」
「はい」
「痛かったでしょう?」
「まあ、ちょっとは」
魔法使い青年は二人のハーレム要員に任せて、俺は筋肉剣士の連れの女にちょっかいを続ける。
「いやぁ、驚かせてしまってすみません。迷惑代として、食事でもいかかですか?」
「はい。ご一緒させていただきます」
「あれ?いいんですか、こいつは無視して」
「いいんですよ。元々、いやいや連れてこらされたみたいな物だし」
まぁ、いいと言うならいいんだろう。
ひと暴れできたし、今日は軽くこの女性と遊んでみるか。
「すみません。ちょっといいでしょうか?」
そんな騒動を見ていて声を掛けてくる若い男がいた。




