第32話 オークは訓練にちょうどいいんです
「いいか。オークというのは、連係しているように見えてできていない魔物だ。それが分かると複数を相手しても余裕でこなせる」
「どういうことですか?」
「口で説明してもな。次のチャンスで教えてやろう。次は俺とリーダーだけでいくぞ」
「ありがとうございます」
チャンスはすぐ来た。
オークが5体だ。
「ちょうどいいな。俺はサポートに徹する。いけ!」
「はいっ」
リーダーが飛び出していき、俺が続く。
「先頭の奴があの中では一番強い。だから、わざと避けて二番手を狙う」
「はい」
リーダーは一番手のこん棒をかいくぐり、二番手の正面に位置した。
余裕をかましていた二番手が驚いた瞬間にリーダーの剣が腹に刺さる。
「いいぞ。そこで振り返って、一番手だ」
こん棒の重さで体勢を崩している一番手が振り向きざま、首に剣をぶち込む。
一番手が倒れる。
「よし、一番手、二番手を倒された奴らは烏合の衆だ。殲滅しろ」
ひびっているオーク相手に着実に剣をふるうリーダー。
最後の一体が逃げようとするのを後ろからバッサリやって完了した。
「あとは、息の根を止めるだけだ。確実に仕留めろよ」
5体すべてのオークが息がないのを確認すると、戦闘態勢を解いた。
「まぁ、こんなものだ。難しくないだろう」
「すごいです。私でもオーク五体相手にできるんですね」
「ああ。状況を見て支援するメンバーがいれば可能だ」
ふたりでメンバー達のところへ戻る。
「すごいじゃないですか。リーダー」
「いや、私じゃないよ。彼がすごいんだ」
「それはそうですね」
その後は他の二人の剣士と魔法使いの実地訓練を実施した。
「よし、次は魔法使いの戦い方をせ説明するぞ」
「はい」
「まずは、いかに少ない魔力でオークを倒すかってことだな」
「それはありますね。魔法使いはどうしてもそこがネックですから」
「一番いいのは、ファイヤーアローだな。一本だけ出す。こうやってな」
手の上に矢の形をした火が現れる。
「ええーーっ。魔法使えるんですか?」
「いわなかったか?俺は魔法剣士だって」
「聞いてない。聞いてない」
「あ、言い忘れていたか。というより、魔法など使う気がなかったからな、オーク如きに」
「そうですよね。必要なさそうです」
今度はふたりの魔法使いとして、実地訓練に入った。
「魔法使いの基本は不意打ちだ」
「はい」
実際にふたりでファイヤーアロー4本だけで、4体のオークの無力化に成功した。
後は剣士がなくとかするだろう。
「これくらいなら、相当数のオークを倒せるのは分かるな」
「はい。ファイヤーアローなら、僕の魔力でも50本は撃てます」
「そうだろうな」
結局、それぞれの実地訓練をしていたら、トータル54体のオークを倒してしまった。
「このくらいで十分か」
「十分どころではありません。予定数の3倍ですよ」
5人は意気揚々と引き上げて行った。
魔法もちょっとだけ使ってみました




