第20話 罠
「やっちまえ」
ボスの一言で、後ろにいた4人は一斉に切りかかってきた。
無駄に大きいと感じる剣が向かってくる。
俺は無抵抗で切られるままにした。
がしっ。
すごい音がして、4本の剣が鎧に当たる。
しかし、プラチナドラゴンの鎧は、すべてを跳ね返す。
「効かないようだな」
まぁ、そんなものだ。
どうせ、こけおどし用の剣だしね。
「なにをしている」
ボスは焦っているな。
「今度はこっちの番だな」
振り返りざまに、切りかかってきた男4人を一気に片づける。
生首が4つ、ごろごろと床に転がる。
「相変わらず、切れ味がいいな。こいつ」
にやりとして、ボスに向かって言ってみる。
「ま、参りました。命だけはお助けを」
ええっ、そんな反応?
「なんだ、お前。弱いな。この街で一番ではないのか?」
「あなたが一番です。間違いありません」
「なんだ、それ。認めてしまうのかよ。つまらんな」
土下座でもしそうなボスにあきれてしまった。
こういう連中は弱い相手は徹底的に食い物にするが、自分より強いと分かると卑屈になるんだな。
「こ、これを渡すのでお許しを」
「なんだ、それは」
金色の紋章が付いたバッチを差し出してきた。
「エターナル一家のボスの印です」
「ほう、見せてみろ」
「はい」
バッチを受け取ろうと、一歩前に進んだ瞬間。
俺の足元の床がいきなり無くなった・・・落とし穴だ。
俺は一気に地下に落ちていく。
頭の上に四角く、落ちた穴が見える。
「ははは。ざまぁみろ。力だけじゃないんだよ。頭が重要なんだよ」
「ほう。頭も悪いのか、お前は」
「ひぃぃぃ」
だれけど、下に落ちたのは、5mだけ。
そこから、ふわりと浮いて、元の場所まで上がってきた。
何もなかった様に。
「あれ?俺は魔法剣士だと知らなかったの?それもと魔法使いは箒がないと飛べないと勘違いしていたとか?」
「うわっ。ごめんなさい。ごめんなさい」
「もういい。いくぞ」
ごろん。
丸々と太ったボスの首が転がる。
ころころ。
もうひとつ転がった物がある。
エターナル一家のボスバッチだ。
ころころと足元に転がってくるから、落とし穴に蹴り入れた。
「こんな物、いらんわな」
しかし、参ったな。
あまりに弱すぎる。
街一番の悪役がこれでは参ってしまう。
もっと強い敵が出てきてくれないと暇つぶしにもなりやしない。
あっさり勝ち・・・そろそろエンディング? と思いきや。意外な敵が・・・
楽しく書いて、楽しく読んでもらえたらうれしいです。
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