第2話 悪魔だけが俺を救ってくれた
「あなたの魂と交換で何でも望みを叶えてあげましょう」
まるでヤギの骨の様な顔、長くてねじれた二本の角。
身体中を覆う漆黒の体毛、背中にも真っ黒な翼。
「もう、俺には死神が来たのか、ずいぶんと早い出迎えだな」
何も持たず、服すらもない裸の男。
身体にはまだしびれが残り、動くことすらおぼつかない。
「死神と間違えるとは失礼だな。我は悪魔である」
「どっちも似たような物だろう」
「全く違うわ。死神は死に導く者。悪魔は最後の希望を与える者」
「ほう。この状態の俺になんの希望があるというのか」
「どんな希望でも叶えてやろう。ただし、死とともにお前の魂はいただくがな」
「魂ね。それが何の意味がある。すべては裏切った奴たちへの意趣返ししか考えられない。
それが達成できた後なら、魂だろうが何だろうが好きにすればいい」
「それでは、我と契約を結ぶということだな」
「意趣返しに協力してくれるというのならな」
「ここに悪魔契約は成立した、その印をお前に印ずる」
後頭部に熱した鉄を押し付けられた痛みを感じる。
一瞬だが、長い時間であるようにも思われた。
「これで我とお前は、一心同体となった。なんでも希望を申せ」
「ほう。それなら、まずは最高の装備と必要な物品。そして使いきれない金をもらおうか」
「了解した。ほら、受け取れ」
裸の身体にはプラチナ・ドラゴン鎧が装着された。
鎧だけでなく、兜も、籠手も、盾も同じプラチナ・ドラゴンシリーズだ。
さらに右手にも、プラチナ・ドラゴン長剣が握られている。
傍らには、大袋があり、魔法道具も含めて最高ランクの道具が入っている。
その横には、中袋があり、中身はすべて白金貨でバンバンになっている。
「こんなものか?もちろん、しびれを含めてすべての異常状態はクリアしておいた」
身体からしびれは消え、体力も魔力も最高の状態になっている。
いや、最高以上の状態だ。
「なんだ?こんなに身体軽いとは」
「それは、プラチナ・ドラゴン装備の特徴だ。たくさんの付加効果を持っているからな。
それがどんな付加効果なのか。今はまだ、詳しく知りたいとは思わない。
要は、今。俺は無敵状態にあるということだけ分かれば十分だ。
こんな優しい悪魔。会いたいと思ったらやばいです。
1日4話アップ予定なので、ブクマしてくれると嬉しいです。