第18話 娼館の主
「兄貴。なんで反撃しないんですか」
「ごめん。無理だった」
なすすべもなく、黒服に抑え込まれた俺たち。
あっと言う間に縛られてしまう。
追い立てられるように連れてい掛けるのは「支配人室」と書かれた部屋。
「ボス。礼儀がなっていないイチゲン客を連れてきました」
「入れ」
部屋の中には、重厚なデスクがひとつとバカでかい革張りの椅子。
その椅子に座っているのは、肥満体な男。
「こいつ、さっきお伝えした、トップ3までを指名した客でさ」
「おいおい、金を持っていると言っていたじゃないか。どうした?」
「うちのトップ3をしょーもない扱いしたんで」
「ほう。どういうことだ?」
ボスが俺を見る。
にやりと笑ってやる。
「おまえはエターナル一家の者か?」
「エターナル一家だったら、どうだというんだ?」
「ちょっと聞きたいことがあってね」
「おまえ。ガイナか。A級冒険者のガイナか」
「ほう。俺を知っているのか。それなら話が早い。エターナル一家のこの街のボスに会いたい」
「会ってどうする気だ?」
こいつも、俺のパーティを壊滅させた一員なのだろう。
いきなりの俺の登場で警戒心バリバリだ。
「知っての通り、俺のパーティは裏切りやがったから壊滅させた」
「そうだってな。聞いているぞ」
「また冒険者やる気にならなくてな。だいたい街の奴らを守ったところでお礼のひとつも言いやがらないしな」
「それはそうだ。しょせん冒険者だって街人から見たらアウトローでしかないからな。俺たちと一緒で」
「そこだ。どうせアウトローなら、アウトローらしくなろうと思ってさ」
「ほう。それでエターナル一家に興味が出てきたということか」
「エターナル一家が一番なんだろう。俺は一番でなければ興味ないんだよ」
「当然一番さ。エターナル一家が」
機嫌がよくなった娼館の主は、葉巻を勧めてくる。
残念ながら、たばこは吸わないので断るが。
「この街もよ。エターナル一家が来る前は大変だったんだぞ」
「ほう」
「いつも、小さな集団同士が抗争ばかりやっていてよ」
「そりゃ、迷惑な話だな」
「だからよ。どうやっても勝てないエターナル一家の様な存在がいるのさ」
「じゃあ、二番目のとこは、エターナル一家に手出しはできないと?」
「もちろんさ。2番目なんてごみさ」
「そりゃ、そうだな」
一番じゃなきゃ意味がない。
二番になんて、なる気はない。
「なんとしてもボスに会いたくなってきたぞ」
「そうか」
「案内してくれるか」
「そうだな。丸腰ならいいだろう」
結局、武器や防具の類はすべて預かられて、丸腰でボスに会うことになった。
やっぱり一番だよね。
楽しく書いて、楽しく読んでもらえたらうれしいです。
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