出会い
「よいしょ」
薬草を摘んだ篭を背負う。今日は中々の収穫だ。
これなら一週間分の薬作りに困らないだろう。
ずっしりとした重みに笑みを浮かべながら、フィオは自宅兼仕事場の家へと帰路につく。
「あれ?なんだろう」
森の中、帰り道を足早に歩いていたフィオは道端の草むらに何かが落ちているのを見つけた。
草むらに近付き、向こう側を覗き込んだフィオは眼を瞬いた。
「...犬?」
そこには泥にまみれた犬らしき生き物が倒れていた。
見たところその姿は子犬でよく見るとケガをしていてかなり衰弱しているようだ。
「ど、どうしよう...」
その痛々しい姿に困惑しながらもフィオはおずおずと子犬に手を伸ばした。
その時、子犬の眼がうっすらと開いた。
「あっ」
その眼は綺麗な空色をしていた。
しかし、フィオの姿を見ると鋭い眼光へと変わり警戒を露にしていた。
「...」
見つめ合うこと数秒、フィオはその場にしゃがむと子犬に両手を伸ばして微笑んだ。
「大丈夫、怖くないよ。」
そう言いながらそっと子犬を抱き上げた。
警戒を解かない子犬は唸り声をあげていたが暴れる気力はないのかそのまま抱かれている。
「ケガしてるね。手当てしてあげるからおいで。」
両腕で抱き抱えながら優しく言葉をかける。
敵意はないよと伝わるようにそっと背を撫でる。
「...ガゥ」
小さく声を発した子犬は、フィオの言葉が通じたのか唸るのをやめそっと眼を閉じ眠ってしまった。
初めまして、セツナです。
初めての小説執筆、連載やっていこうと思います。
どれくらい長くなるか、投稿ペースも特に決めていないのでまったり更新したいと思います。
2017.12.19