表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/55

叫び続けて⑧

フルングニルの遥か上空から、中身まで忠実に似せたデコイが爆発するのを見届け、巨体が地面に崩れ落ちたのを、しっかりと見届けてから降下する。

丁度遠くでは、オシナの領に攻め入った敵が撤退するのが見え、トコハナの下に向かう。


「まだ終わってねぇぞトール!」


「くどいわ戯けが!」


憂さ晴らしに山を削ろうと溜めていた龍力を、先程よりも威力の高い神の塔に変え、フルングニルの首を吹き飛ばす。

火球を大量に頭上の魔法陣から撃ち込み、後に残った体を焼き尽くす。


久し振りに戦闘らしい戦闘をしてしまった体が、100年にも渡る戦争の熱を思い出し、体に留まって高揚となる。

理性が押し潰された体のまま次の相手を探し回り、結局トコハナの下に辿り着く。


何も考えられなくなった頭のまま、背後から火球を叩き込むが、反転して居合いで火球を切り裂いたトコハナが、放った刀から衝撃波を生じさせる。

龍化させた左腕で衝撃波を殺し、黒く染まった剣を振るう。


「くっ……その力は、半端な剣では止められませんね。良いでしょう、このトコハナ、貴方の昂りを受け止めましょう。いざ参る」


「まぁ待たぬかトコハナ、先の戦いは私を出してくれんだじゃろ。こんな時くらい戦わせてくれへんか?」


刀を両手に持ったオシナが、私の剣を両手で受け止め、乱暴な力技で押し返す。

バハムート型に姿を変えた私を見て、オシナの隣にトコハナが肩を並べ、両方に散開して挟撃を狙う。


「甘いわ」


龍力を溜めながら上に飛び上がると、いつの間にかトコハナの刀が、私の上を舞っていた。

刀の前に突如現れたトコハナが、掴んだ刀を振り下ろして、ガードした私の腕目掛けて、真っ直ぐに思い一撃を放つ。


細腕にも関わらず、これ程の威力が出る原因を探ると、普段は隠している鬼の角を、珍しく額から出していた。

地面に向かって勢い良く弾き飛ばされた先には、当然の様にオシナが待ち構えていた。


「惰弱じゃな! そろそろ隠居したらどうじゃ?」


魔力を刀に乗せて衝撃波を放ったオシナは、切っ先を私にぴたりと合わせ、大きな魔力の塊を柱のように放つ。

フルングニルに使った神の塔を応用し、両手と翼を大きく広げ、左右に大漁の砲台を作り上げる。


「イージス」


大砲から龍力を放ち、オシナの魔力を全て打ち消し、余った龍力がトコハナとオシナに襲い掛かる。

大きな攻撃を放った後で、迎撃態勢が整っていなかった2人は、高密度な龍力の塊を真正面から受ける。


「はははははっ!!! やはり鬼はドラゴンには勝てぬわ」


「……お前、あたしらを怒らせよったな。加減はせんでええわトコハナ、このなり損ないに痛い目見せたり」


「御意。では、全力で参ります。鬼の力を思い知りなさい」


今まで真っ白だったトコハナの体に、赤い線がいくつも浮かび上がり、それまで侍の様な格好に陰陽師の要素が付け足され、左眼が金色に変わる。

トコハナが左手から虚空に滑らせた紙が形を変え、煙の中から3人の人間が現れる。


トコハナが振り上げた右腕が何かを合図したのか、式神が左右に散開し、トコハナが刀を逆手に持ち替える。

突如闇に囲まれた私の目には光が入らず、微かな光でもはっきり見える目ですら、何も景色を移さなくなった。


龍力を放って結界を壊そうと試みたが、闇の中に消えた龍力が見えなくなり、代わりにいくつもの衝撃が、硬い鱗を貫いて意識を引き剥がす。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ