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ナーガ

宙を漂う白い魚を指先でつついて、湖面にぺたんと座った少年を見ると、あちらも見ていたらしく目を逸らされる。


ひらひらと飛ぶ蝶と遊んでいるミドガルに相手を頼もうと思ったが、楽しそうなのを見ていると悪い気もしてくる。


魚を掴んで少年にぶん投げると、余程驚いたのか湖に消える。


「うわぁぁぁ! すまぬすまぬすまぬすまぬ」


湖に飛び込んで沈んで行く少年を掴んで、ドラゴンの姿になって湖から顔を出す。


三つの姿の中から二足で立てるものを選んで、湖底に足を付いて安定させる。


ひとまず落ち着いて手の上の少年を見ると、私の姿を見て座ったまま気絶している。


「器用な少年じゃな」


「ば……バハムート、殺されるぅぅぅ……」


後ろに倒れて再び気を失った少年を水際に下ろして、湖面に映る自分の姿を見てみる。


確かに突然現れたら怖いかもしれないが、ドラゴンの中でも三つも姿が変わるのは殆ど居ない。


それも多数あるドラゴンの種類でも、一番強い二足のバハムート型は、本当に数が少なくて絶滅が危惧されている。


そう言う自分もバハムート型をしていた気もしたが、パニックを引き起こさせたのはこちらなので文句は言えない。


少ないバハムート型が三人も一箇所に揃うのは、長い間生きていてあまり経験した事がない。


蝶々と小動物を沢山体に乗っけてきたミドガルが倒れている少年を見詰めて、疑う様な目で私の事をじっと見てくる。


「な、何だ。私は助けただけだ」


「お魚投げたのに〜?」


「反省はしておる、ならそもそもミドガルが話し掛ければ良かったのだ」


「あ〜、開き直りは駄目だぞ〜」


「むぅ、返す言葉も無い」


「取り敢えず~、街まで運ぼうよ〜。ジャンヌちゃんも、アリスちゃんも、きっと待ってるよ〜」


よたよたと森を歩き出したミドガルに続いて、背負った少年を出来るだけ揺らさないように歩く。

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