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叫び続けて②

戦勝記念の宴の中央で、完全に出来上がったオシナに絡まれ、私も酒を飲まなければいけなくなった。

一杯目で倒れてから記憶が無く、いつ間にか朝になっており、周りには酔い潰れた侍が、大量に転がっていた。


その中で1人片付けをしていたトコハナに水を貰い、何とか意識をはっきりさせる事に成功した。

そして、いつの間にか傷が完治していた体には、龍力が満たされていて、姿を元の大きさに戻しても、どこにも異常はなかった。


「戻った、戻ったではないか、礼を言うぞ。と言う訳で私も後片付けを手伝おう、1人で大半じゃなトコハナ」


「いつもこんな感じなので慣れましたよ、私は程々に嗜むってのを知っていますからね。皆さんは飲めるだけ飲むって人たちですから」


「苦労しておるなトコハナ、おぬしをこの壁の国に置いておくのは勿体無いな。もっと広い世界を知り、色んな文化を取り込み、何より息抜きをせねばな」


「じゃあ、この争いが終わったら連れて行ってください。アイネ殿の背中に乗れば、世界の果てだって辿り着ける筈ですからね」


話しながら作業を進めていき、片付けが完全に済むと、トコハナは髪を後ろで1つに結い、襷掛けをして何かの準備をする。

あんなに作業をしたのに、まだ他をするのかと思いながら付いて行くと、作物が育っている畑に着く。


土を手に取って親指で弄り、「良し」と言ってまた土を戻す。


「豊穣の神でも作っているのかと思う程良い出来じゃな、おぬしの能力の高さには驚かされる」


「私以上に能力が高い人は、世界にどれだけでも居ますよ。でも、主への忠誠心は誰にも負ける気がしません」


「そうじゃな、ではこの戦が終わった時。おぬしに世話を頼みたい者が居る、会ってくれるか?」


「アイネ殿の頼みならば断りませんとも、その代わり、世界旅行に必ず連れて行ってくださいね。それを楽しみにしてますから」


「それは重責じゃな、そんなに期待されては無理も出来ぬではないか」


「その目的もありますよ、共に戦場に居て、とても褒められる様な戦い方じゃないですから。以前の戦争でも、かなり無茶をして、復活までに50年の時を掛けたんですから。忘れた訳じゃないですよね?」


返す言葉も無い私は、これ以上痛いところを突かれないように、鱗を着物に変えて、トコハナと同じ様に襷掛けをする。

トコハナに見せる為に回ってみせると、私を見て仕方なさそうに微笑む。


「もぅ、折角綺麗なんですから、あまり傷付けたら駄目ですよ。いざと言う時に邪魔になりますからね」


「なんじゃいざと言う時とは、それより街に行かぬか? この国は独特の文化で見ていて面白いのだ」


「そうですね、民の暮らしを改めて確認するのも大切ですしね。その着物も立派ですけど、あまり立派なのは着ていかないでくださいね。質素にですよ」


「なんじゃ、折角綺麗にしてみたのに。おぬしが言うなら従うが、折角ならもっと見ていてほしかったのだがな」


「突然甘えてどうしたのですか? 貴方が甘えるなんて、不安な気持ちを紛らわせる時だと決まってますから、いつも甘やかす側なのに、1人で無理するからですよ」


「甘えて等おらぬだろ、私はただ純粋に見てほしかっただけじゃ、べーつに不安じゃないし? 私だって綺麗な衣服を着たら舞い上がる時だってあるじゃろう」


「貴方昔と違って面倒なんですね、若い頃は力が1番だったのに、今となっては殺すのにも抵抗があるだなんて」


「悪かったな弱くなって、おぬしに教えてもらった剣も衰えたかもしれぬ、ミョルニルとパラシュに頼りすぎたのかもしれぬな」


弱音を吐いていると、ミョルニルとパラシュが姿を現し、トコハナに挨拶をする。

挨拶を返したトコハナから視線を私に移し、ミョルニルはそっぽを向いて手を差し出し、パラシュは私を真っ直ぐに見て手を差し出す。


「これからもどんどん頼っても良いけど、若くないあんたに無理させるのもね。私の強さを分かってるなら尚更使いなさい」


「僕は君の理想を叶えると約束した、ならもっと僕を頼ってほしい。君に助けられたから、次は僕の番さ」


2人の手の平に恐る恐る手を乗せると、しっかりと小さな手に包まれ、本来あるべき姿になり、私の手にその重さと温かさが乗る。

微笑んだトコハナは腰の刀を抜き、私に向けて切っ先を向け、独特の構え方でぴたりと私に照準を合わせる。

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