山脈に住む獣人について
「道中暇だし、暇ついでに山脈に住む獣人についても掘り下げようか」
『勉強のお時間か…ぅぅ』
『カナリア…頭まで鳥に…』
『はぁ!?』
何も言わないと喧嘩をし続けるふたりにアルヴィスはにっこりと笑っている。黙らせるのはもう諦めているらしい。ふたりの言い合いが落ち着いて来ると改めて続けた。
「獣人の起源はしってる?」
『軽くなら?えっと、獣人は元々獣で、賢くまた強くなった個体が人に近い形をとり始めたのが始まりって絵本で読んだわ』
「うん、僕もそう習ったよ?加えて言うなら今ほど人に近いわけじゃなかったみたいなんだ、獣の姿で二足歩行していたのが一番最初に獣人と呼ばれた存在で、その時は魔族や、亜人とも呼ばれてたらしいよ、いまそれを口にすると獣人のひとたちは怒るからよそで口にしないでね、カナリア」
亜人とは人間の亜種という意味が含まれており、差別が強い時代、人の形をしているものたちのことをひっくるめて亜人と呼んだ。その中にはドワーフや、エルフ、使族なども含まれていた。
「亜人という言葉が生まれた時…いちばん強い存在が人間達だったんだ、戦争を繰り返し敵である相手を人とは認めず、見下す意味合いもあったらしくてね、人間が数を減らすまでそれは続いて、色々な戦争の末人間が正しい人でありそれ以外は間違えという考えが廃止されたんだ」
ベルグの背に乗りのんびりと進むアルヴィスは肩で目を回しそうになっているカナリアをつつき正気に戻しながらも話はすすめるようだ。
「で、亜人という括りを無くすなら名前が必要になった。その名前が使族だったり、ドワーフだったりエルフだったり、獣人だったりするんだけど…獣人にとっての獣は神聖なものなんだって、祖先として誇りがあるとかで、それぞれの元の獣を神や祖先として扱ったり、まとめて同族とする場所もあるらしくて」
ややこしいけど、と続けざまにアルヴィスはベルグの首を撫でる。ぽんぽんと叩いてそして続けた。
「獣人とは獣である、祖先は英雄であり、誇りである…ってね、始まりは獣だったことはやはり間違いなくて、そしてたまに産まれてくる先祖返りがその裏付けとして大切にされてるみたいだよ」
『なんだか頭が痛くなってきた…先祖返りってなんなの?』
「獣人は獣であるとの言葉通りに獣になれるってことさ…そう考えるとカナリアのその姿も先祖返りがきっかけかもしれないね、君の父親って鳥の獣人なんだろう?」
予想外の話だったのか目を見開き固まるカナリアをベルグとアルヴィスはじっと見つめている。片方は呆れて、片方は微笑ましそうに。どちらがどの意味合いだったかは迷うことなく決まっているだろう。
『とりあえず今のところわかったわ!元々の話に戻りましょ!ねっ』
『逃げたか鳥頭』
『うるさいっ』
「まーたすぐ喧嘩するんだから…話を戻すよー?山脈に住む獣人についてね!」
傍から見れば1人だけしか話してないがもう既に山道に入っており、険しく普通の馬で入れないような道を選んでいる為、周りには人がいなかった。おかげでアルヴィスも生き生きとして話している。
「まず1番多いのが鳥、その次に多いのが狼、虎、うさぎ、熊、犬で数は少ない枠だと馬、山羊、蛇、狐かな」
『見事に山が好きな祖先を持つのね…意外なのは馬かしら?平原じゃないけど馬って山で住めるの?』
『私が難なく進めているだろう、住めるさ』
『あんたは例外でしょ、馬のツラ被ってんじゃないわよ』
ベルグにはショックな発言だったらしく珍しくとぼとぼと足取りが重くなり、それはカナリアが謝るまで続くこととなった。
「確かに山にいるのは珍しいよね、まぁでも、馬は馬でも獣人で、二足歩行だからね、それと山脈に住む理由はあるんだよ」
『どういうこと?』
「獣人達はその種類の多さから国としての形を取るのが難しいんだよ、特に天敵同士は仲が悪かったりするからね」
『あ、だから山脈は山脈なんだね』
「そう、国を持たない獣人達が他の種族に滅ぼされないようにする妥協案が守る場所をおなじとすることだったんだ…自分達の種族以外のリーダーは認めない、だからリーダーは立てれないんだよ」
それぞれの種族にとっての成り立ちがあり、それぞれの文化がある。干渉しないということが獣人達にとっては礼儀なのだ。
「まぁでも、商人とかは行き来してるみたいだから、それも楽しみだね」
『売ってる物も違うのかな?』
『使族の国だって人間の国とは売ってるものが異なるぞ、人間には翼がないから翼につけるアクセサリーや翼を出せる衣服も売っていない』
『えっ、そうなんだ…使族って他の国にあんまり行きたがらないもんねぇ、そりゃそうかぁ』
「じゃ、日が暮れる前に1つ目の集落にたどり着きたいから少し急ごうか、カナリアは揺れるの苦手だったら飛んで着いてきてね」
了解!と元気な返事がすると同時にカナリアは飛び立ち、ベルグはゆっくり歩いていたのを風を切るように走り始める。
カナリアはやっぱり馬のツラを被った馬もどきじゃんかと心の中で思った。口に出すとうるさいので何も言わず飛んで追いつくことに専念し始める。
巨体の青毛の馬に跨り、風のように走り、アルヴィスの勿忘草色の髪が風に少し舞い、その傍に金の鳥が飛ぶ。その光景は絵にすればきっと高く売れるだろうものだった。
感想をくださり、それに気づいて嬉しくて嬉しくてぺろっと書き上げました、設定とかの穴を修正しつつまたかけて行けたらいいな…完結させたいなぁ…っ
期間が開きすぎてるので書き方変わってたらごめんなさいいいい




