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精霊王になりまして  作者:
水精霊王誕生
11/55

シュバルツとの夜

 アルヴィスが目を覚ますと、辺りは暗く精霊たちは寝静まっていた。

 たくさんの小さな光が精霊樹の元に集まり小さく光を放っている、それは赤だったりオレンジだったり白だったり黄色だったり……たくさんの光が木々を飾る。



 「起きたのか」


 アルヴィスがその様を見ていると、シュバルツが歩いてくる。手には小さな卵を持っていて、その卵には青く少しばかり光っていた。

 それだけでなく、卵は他にもシュバルツの手の中に存在する、同じく青いもの、赤いものオレンジのもの白に黄色に黒色に。



 それらを幾つしむように精霊樹の根元に添えてからシュバルツはアルヴィスの隣へ座った。



 「……あれは、なに?」

 「…はじめて見たのか。微精霊の卵さ」


 シュヴァルツは困った様に「俺は説明が苦手なんだがな」とため息をこぼしアルヴィスの頭を優しく撫でる、それはまるで初めてであった時のように。優しく撫でる手からは戸惑いと慈しみが感じられて、アルヴィスはむず痒く感じた。


 「微精霊は精霊の子供で…シノ、エノ、ラノの3人の様なのが大人…つまり精霊と呼ばれるんだ」

 「僕らと違って小さいのに大人……」

 「ああ見えて生まれてから二十年はたってると思うぞあの3人は」


 苦笑いをしてアルヴィスを見てから、今度はその視線を精霊樹で光る精霊達に向けるシュバルツ。


 「精霊樹は精霊達の母だ。」

 「母?」

 「ああ、俺達の母が神であるように、精霊たちの母は精霊樹……意味が分かるか?」

 「ううん、分からない」


 シュバルツは少しその端正な顔を歪めて考える様に目を閉じてそのままゆっくりと語り出す。



 「昔、神は俺達精霊王を生み出した。ベルベナは今は広い世界だが昔は小さな世界だった。それこそやっと生命が生まれる程度のな」


 まるで見てきたかのような発言にアルヴィスは首を傾げるが、目を瞑ったままのシュバルツは気づかない。ただ、淡々と、お伽噺を話す様に流暢に話す。


 「小さな世界なら俺達精霊王だけで支えられた。だが広くなるにつれ俺達の力は遠くへと及ばなくなり、その場所には生命は生まれなかった。そして、悩む精霊王達を嘆いた神が精霊樹を作り出した。精霊たちにとって揺りかごで安らぎの木……それはやがて実を成した。」


 「もしかして……」


 「ああ、その実がさっきの微精霊の卵だったんだ。卵はそれぞれ孵ると、微精霊が生まれた、それを大切に育てた精霊王達は精霊を世界に放ち、自分の力が広がるようにしたんだ」



 シュバルツはアルヴィスの頭を撫でてどこか遠くを見る、それはずっと前にシシリーがしていた横顔とよく似ていた。



 「人と精霊王は違う。精霊王は万能ではない、ほかの生き物よりも古く存在し、長く生きることが出来、少し力があるだけで死ぬこともある。」


 アルヴィスが耐えかねてシュバルツの服の端をぎゅっと掴むと、それを宥めるようにシュバルツは撫でる。


 「僕らは精霊達のような羽根はないよ、僕らは人間みたいなものでしょ?僕はいつか人を助けに行きたいんだ…。」


 「精霊王は人には直接触れることは出来ない、触れれるのは───契約者しかいない」


 「契約者……?」


 「魂には印があって、その印がある精霊王と人間が近づくと共鳴し、誓いを思い出す。印のある人間のことを契約者という」


 「バルは…見つけた?」


 「ああ、見つけたよ。小さな女の子だ。」


 シュバルツは優しく笑う、その目が愛おしいと語る。アルヴィスはそんな存在が理解出来なく、首を傾げるだけだった。


 「アルヴィスもいつか知ることになる」


 「……本当に?」


 「ああ、精霊王は孤独にはならない。安心しろ」


 「うん」


 ポロポロと泣くアルヴィスをシュバルツは見つめ目を閉じる。そのなんとも言えない様な表情の意味を───この時のアルヴィスは知らなかった。

《まとめ》


・微精霊は精霊の子供

・微精霊は精霊樹に実る卵から生まれる

・精霊は大人になった微精霊の事を指す

・契約者と精霊王は魂に印があり、近づくと誓いを思い出す

・精霊王は人には触れれない…触れられるのは契約者のみ


……やっと契約者について書けた


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