僕はweb小説サイトのアカウントを消して転生した
web小説サイトのマイページにログインすると、画面の左上に赤文字で「新着メッセージが届きました」と表示されていた。
書いた感想に対しての返信だろうか?
それとも?
僕は新着メッセージをクリックした。
「新しいコメントが書き込まれました」
お、これは。
僕もこのweb小説サイトで作品を書いており、それに対してのコメントが書き込まれたのだ。
二ヶ月ぶりのコメントだ。
僕はワクワクしながらコメントが書き込まれたページへと飛んだ。
良い点
最初は良かった。
悪い点
数多くの作品をエタらせたまま、次の作品を書き、一つもまともに完結させないこと。
コメント
読者を馬鹿にするな。
さっさと退会して下さい。
…………
別にエタらせたかった訳じゃないんだけどな。
書けなくなったのだ。
何とか完結させたいと思い、リハビリがてら書いていた作品。
それが読者の逆鱗に触れたらしい……
ああ、もうどうでもいいや。
時間をかけて書いた作品がゴミのように思えて僕はweb小説サイトのアカウントを消した。
書いていた作品も消えた。
これからは読み専に戻ろう。
そう思って衝動的にアカウントを消したはいいが、アカウントのブックマーク機能は便利だ。
僕は退会したばかりだというのに再びアカウントを取得するのであった。
そういえば、僕の作品にコメントした奴には名前がなかった。
僕の作品はアカウント登録しているユーザーしかコメント出来ない設定にしてあった。
ということはわざわざアカウントを取得して僕の作品にコメントした後にアカウントを削除したのか。
複数のアカウントの所持は禁止されている。
そこまでしてコメントするほど僕が作品をエタらせたのが憎かったか?
複数のアカウント所持は禁止だが、一瞬だけ複数アカウント所持ですぐに削除するならば運営側からは何のペナルティを受けないのだろう。
僕に「さっさと退会して下さい」と書き込んだユーザーはサブアカウントで暴言を吐きつつ、メインアカウントの方では今もこのweb小説サイトのどこかで善人面して誰かの作品にコメントしているに違いない。
そう思うと腹が立ってきた。
僕は自分のアカウントを消したことに後悔はないが、どうにも腹の虫がおさまらない。
怒りを何かにぶつけたかったが何にぶつければいいか分からなかった。
気がつけば僕は再びweb小説サイトで怒りの感情のまま文章を書き、投稿しているのであった。
僕に退会しろと言った屑野郎が呪われますように。